長く使うからこそ見えるルアーの本質
ひとつのルアーを長ーーーいこと使ってると、最初に見えなかった特性や使い方、そしてフィールド自体の変化による魚の行動パターンの変わり方など新しい発見をすることがあります。
それはルアーの形状がシンプルであるほど、基本に忠実であるほどその傾向があるといえますが、のんだくれの溺愛アイテム、チャグバグもそんなルアーのひとつです。
出会いは横長のダイワカタログ
コイツとの付き合いは、初代ノンラトル版から数えるとかれこれ40年ぐらいになりますか。
当時、横長だったダイワのカタログに並ぶチャグバグに電撃ショックを受けてから実際に手に入れるまで結構な時間がかかりましたが、一番最初にプラケースのチャグバグをゲットした時、生涯のパートナーになるんだと直感しました。(3割誇張中)
当初からぶっちぎりの釣れっぷり
生涯のパートナーはチト大げさにしても、その釣れ具合は当時からハンパじゃありませんでした。
テツ西山氏が名著・ヒットバスルアーで初代チャグバグが紹介されていた通り、ポッパーでありながらもスケーティングを得意としていて、バス用のペンシルポッパーとしては先駆け的な存在でしたね。
真夏のどピーカンでもディープからバスを引き上げてくれるその実力は、ハナタレのガキが魂を売るには十分なものでした。
そして後にラトルを装備して、名実ともにラウドなベイトに昇華したのはご存じのとおりですね。
さてさて、そんなチャグバグ君ですが、この40年の間で自身の使い方にかなりの変化がありました。
変遷と言うほど大層なものではありませんが、自分の釣りスタイルや釣り場の環境と共に、より釣れるアクションが分かってきたとでも言いましょうか。
大き過ぎず深過ぎないカップがキモ
チャグバグのキモは何と言ってもこのカップです。
国産ルアーでは考えられないほどの粗雑な貼り合わせなので、これを見ただけでスルーしちゃう人も多いと思いますが、このカップは見た目ショボいのに、気持ち良くスケーティングしつつもククッと止まるという相反する要素を見事にクリアした逸品です。
おそらく上手く水を掴みながらも抵抗を逃すアゴのシェイプが絶妙なんだと思いますが、使えば使うほどこのカップの完成度には感心させられます。
もちろんスケーティングだけでなく、テーブルターンやタダ巻き、ツバ吐き、ノイジー的なウォブリング、もちろんチャガーとしても使える万能選手なので、チューンも含めてありとあらゆるシチュエーションで使ってきましたが、ここ数年はある動きのみで喰わせられるようになりました。
ルアーの演出は時代と共に派手から地味へ
その動きとは、ひと言で言うと《いかにスプラッシュを上げずに動かすか》です。
ロッドアクションへの高い応答性ゆえ、どうしてもクイックに動かしてしまいがちなチャグバグですが、最近のスレたフィールドは早い動きでは余程の高活性でなければバイトまで持ち込めません。
よってスローに、スローに動かすんです。
しかし遅過ぎてもダメ。 さらにポーズもダメ。
スプラッシュは上げないけど、ハラの遊動ラトルがテールからヘッドまで動いてしっかり鳴るぐらいのモーションで、水押しを強調する感じで首振りリズムを組み立てると、バスの反応が明らかに違うんです。
細心の注意は必要だがやる価値はアリ
実はチャグバグは目からエラにかけての造形がスプラッシュを上げる構造になってる関係上、あえてそれに逆らって飛沫を出さずにノンストップでスローに動かし続けるのは、集中力が要る作業なので結構タイヘンなんです。
しかしそれをやりとおすだけの価値はあります。
以前はスローに動かすよりも機敏にシュパシュパした方が釣れたんですが、今はそういったクイックな動きへの反応はホントに鈍くなりましたね。
記憶を遡ってみると、10年位前に友達が連れて行ってくれたプライベートポンドがシュパシュパアクションで食わせられた最後だったかも。
爆釣ポンドでチャグバグのあらゆる可能性をチェック
そこはコト・デ・カザ Coto De Cazaというゲーテッドコミュニティ(Gated Community=居住者とその関係者しかセキュリティを通れない超高級住宅街)の中にある完全にクローズドな貯水池で、誰も釣りをしないのでプレッシャーとは全く無縁の場所。
人生ならぬ魚生で一度もルアーを見た事がないようなバス達が、デッドスティッキングから超ファーストトゥイッチまで、チャグバグのあらゆる動きに全て反応してくれたのがめちゃくちゃ嬉しくて、”さすがにこの動きには食って来れねぇだろ”的な無茶なアクションをひたすらやってました。
今考えたら、他のルアーにも入魂するいい機会だったのに、もったいない事したなー。
一体何してんでしょうね、のんだくれは😅
チャグバグのアイデンティティ【フロッグパターン】
このカラーはストームの代表的なカラー… というよりも、チャグバグを代表する、アイデンティティとも言えるホットフロッグ。
チャグバグを使う時はカラーは全く気にしてないので、その時に目が合ったものをラインに結ぶんですが、コイツはハデなカラーリングだけに自己顕示欲も強くて、よく目が合いますね。
でも、その分しっかり働いてくれるからカワイイんですよね。
ストームの、いやチャグバグのフロッグパターンは全部で8種類あると言われていますが、同じメキシコ工場製でもパッケージに同梱されていたカタログから二つ折りの簡素なインサートペーパーになってからはホットフロッグとチャートフロッグ以外は生産されていないらしい(これは未確認情報ですが多くのストームコレクターの同音異口情報)ので、心当たりある方はボックスをひっくり返してみては?
これはのんだくれの手元にあったフロッグ達。
左からチャートリュースフロッグ、スネーキーフロッグ、ブルフロッグ、ホットフロッグ。
スネーキーフロッグ(Snakey=蛇っぽい)ってネーミングがシビれますね
倉庫を探せばまだ出てくると思いますが、この時期の倉庫捜索は命に関わる一大イベントなのでご勘弁を。
メキシコ生まれの証?ブロンズトレブル
コイツはメキシコ工場出身なので、ブロンズフックがついてます。
あらゆるフックサイズはもちろん、ダブルフック、シングルフックも試しましたが、やっぱりデフォルトのものが一番相性がイイですね。
ちなみに工場出荷時にはリアフックにティンセルが付いてますが、それも取っちゃうのがのんだくれスタイル。
あ、別に意味はありませんよ。 感覚の問題です、感覚の。
メキシコ生産にまつわる経済のオハナシ
余談ですが、ストームの歴史を語る上で必ず登場する「メキシコ工場製」なるワード。
厳密に言うと、最後のフック装着とパッケージング作業だけをメキシコで行っていただけの Assembled in Mexico で、それ以外の工程は全てオクラホマ工場で行われていました。
この Assembled in Mexico というキーワードは1980年代から1990年代中頃にかけての米国製品に多く見られるもので、部品を一旦メキシコへ輸出したのち完成品をアメリカへ輸入する事で、企業の生産コスト圧縮とメキシコ側の雇用創出を狙った、メキシコの新自由経済主義政策と米国の対メキシコ経済支援策から生まれた生産スキームのひとつです。
この施策に乗っかった米国メーカーには、メキシコとの輸出入関税が免除されるだけでなく、米国内で問題になりつつあった人件費高騰にも対応できるという大きなニンジンが与えられました。
当然ルアー生産者だけでなく、米国のあらゆる製造業者はメキシコを目指してその恩恵を受けることが出来たワケですが、結果として働き口をなくした米国の労働者から大きな不満とともに起こった Buy Made in the USA(米国製品を買おう) 運動の引き金ともなりました。
釣具に限らずこの時期の広告宣伝に Made in USA を大きく謳うものが多いのはこのためです。
しかしメキシコ生産は当初から不良品率が高止まりしていた事に加えて人件費も無視できないほど高騰し始め、さらに麻薬カルテル同士の縄張り争いの影響もあって90年代終盤にはメキシコから生産拠点を引き上げるメーカーが相次ぎました。
ストームは1990年代の終わりにラパラへの移籍が決定したので新世紀を待たずしてメキシコ生産はなくなりましたが、もしあのまま独立企業として存続していたら今頃生産拠点はどの国になってたでしょうね。
ちなみに今のストームルアーのほとんどはインドネシアで生産*されています。
*2022年07月補足修正: 現在はエストニア生産にシフトしています。
溺愛のドットネームプリント
もう何度このハラのネームプリントについて書いたでしょう😁
でもいつ見てもイイ感じです。
まあネームを気にする人なんておらんと思うので、どーでもイイついでに書くと、このチャグバグのネーム、ヘッド側からプリントされてるのと、テール側からプリントされてる2種類があります。
それを知ったところで何?って話ですが。
のんだくれはストームのこのドットのネームプリントがあまりにも好き過ぎて、一時期こんなのを作ったりもしてました。
関西在住の某広告屋さんwに、ドットの欠け具合も精密に再現してもらって作ったんですが、これに味をしめて年代別でオリザラやベビトーのネームプリントTシャツ作ったりとやりたい放題笑
もう何年も作ってませんが、ブログも再開した事だしまた作ってみようかなぁ。
誰か欲しい人います?
使った事ない人は釣り人生の半分損してます
一時期は中古屋に溢れかえってましたが、最近はほとんど見なくなりましたね。
ストックは十分にあるので今さらガチで集めようとは思っていませんが、まだ使った事がないという方がいらっしゃったら、是非ゲットしてその威力にシビれていただきたいもんでございます。
しかし今日のブログは単なる自己マンでしかないなー。
*2010年投稿時に頂いたコメントをそのまま転載しています。
1. なっかん July 12, 2010 21:16
オイラはノンラトルよりも、ラトリンの方が好きっす。特にクリアボディよりも、ストーム独特のプラがいいっすね。カラカラ、カラカラと心地いいのが好きですわ~
2. 水澄まし July 12, 2010 22:11
今晩は!
のんだくれさん以上にチャグバグについて語れる人は居ませんから単なる自己満で大いに結構(笑
要はペンシルとして使えと言う事ですね。
これプレゼントじゃ無いんでしょ(笑
3. とびっく July 12, 2010 22:28
こんばんは(・∀・)ノ またイイ事をお教えいただきありがとうございますm(__)m ノンラトルの方ばかり中古屋で捕獲してましたがこれからはラトリンもチェックしときます。ワームバーンでカラーリングが溶けてないヤツ限定で(笑)
4. カープヒロシマ July 12, 2010 22:34
こんなにも一つのルアーを…
感服いたしました!
女性はどうでしょう?(爆)
5. むら July 12, 2010 23:47
30年使い込んでるって凄いなぁ。
考えたら俺にはそこまで使い込んでるルアーってないなぁ・・・ふむ。
かなり興味が出たので今度探してみます♪
^( ̄▽ ̄)^ぱたぱたぱたぱたぁ~
6. twmaster July 13, 2010 08:58
3クリア系のカラーが少ないですよねぇ。
最近、ソルト用で、見かけるようになって気になりますけど
7. 彫刻か July 13, 2010 16:01
チャグバグいいルアーですね。
マットで鮮やかなカラーが網膜にバシッと
くるんですよね。
塗料の質はあまり良くなかったけど
現在はどうなんでしょう
8. HED-ON82 July 13, 2010 18:47
こんにちは。
チャグバグはいいね~~ ルアーって感じがするし良く釣れますね。
でもノンラトルばかりです・・・ラトリンはなんか色がちゃチイくて・・・
小さいのと大きいのもありますよね、どうなんでしょうか? 大きいのは見つけたら連行しておりますが、未だに釣れてません。
フックのフェザーって、これまたチャィだし。
9. いるか July 14, 2010 11:37
その動きは水平浮きに近いトップ、特にシングルスイッシャーやクレイジークローラー等ノイジーでも効きますね!
それがやりたいが為に、オイラのトップ竿は先調子で張り強めです。
10. 赤ベロ July 21, 2010 00:29
今頃はアメリカを満喫している頃でしょうか(笑)
日本を発つ前の最後の紹介がチャグバグとは本当に思い入れがありますね!
帰国してからの、向こうのみやげ話しを楽しみにしています。
11. のんだくれ July 26, 2010 04:10
なっかん
やっぱりオリジナル派とラトリン派と分かれますね。
のんだくれも昔はオリジナル派でしたけど、最近はほぼ100%ラトリンモデルしか使いませんね。
12. のんだくれ July 26, 2010 04:12
水澄ましさん
はっはっはっ! そう言っていただけると鼻血が出ます。(笑)
プレセントしても全然オッケーですが、今さらながら感が… (汗)
13. のんだくれ July 26, 2010 04:13
とびっくさん
ワームバーンで溶けてるヤツほどオススメなんですよ!!
ラトリン版の乳白色ボディは、塗装を取ると一段と高いラトルサウンドに変身するんです!
実はそれをもっと昇華させるチューンもあるんですが、それはまた別の機会に。(笑)
14. のんだくれ July 26, 2010 04:14
カープさん
えーと、女性はですね… ここでは書けません。(大汗)
15. のんだくれ July 26, 2010 04:15
むらさん
チャグバグなんて最近誰も使ってませんからね、周囲からは『何それ?』ですが、めちゃんこ釣れますよ!
16. のんだくれ July 26, 2010 04:17
横井さん
現行ではクリアボディはマッドフラッシュしかありませんからね、マニアにはちょっとさみしいですね。
17. のんだくれ July 26, 2010 04:18
彫刻かさん
現行の塗装はかなり良くなりましたよ。 というか完全に別物です。(笑)
昔の塗装を知る人にとってはちょっと物足りないかも。
18. のんだくれ July 26, 2010 04:23
HED-ON82さん
一番小さいサイズのベビーバグはあれは完全なる惰性の産物です。
いや、ちゃんと釣れるんですよ。 首も振るしツバも吐くし。
でものんだくれ的には、あのベビーバグはチャグバグの名を載せたいが
ために作ったとしか思えないんですよね。
なので評価は50点。
中古屋で見つけてもスルーしましょう。
…とは言いつつも見つけると買っちゃうんですが。(汗)
19. のんだくれ July 26, 2010 04:24
いるかさん
のんだくれのトップロッドもほぼそんな感じですね。
今回アメリカでオクマブランドのいい感じのロッドを買ったんですが、思いっきり折っちゃいました。(号泣)
20. のんだくれ July 26, 2010 04:24
赤ベロさん
満喫しすぎて鼻血が出そうになりました。(笑)
21. shige August 15, 2010 06:10
5最近30年ぶりに近くの公園の池でルアー釣りをてみました。 まずは、トップ チャグバグです。3投目にガツン、その後、早朝2週間ほど通っていますが、周りの人たち、最近のバイブレーションやワーム、高価なペンシルでは、まったく反応なしなのに、私のチャグバグだけ、どんどん水面に出てきます。ハイプレッシャーな池ですが、1時間に40cmクラスが3匹つれたりします。バスもこのようなトップルアーは見慣れていないのでしょうか。非常に面白いルアーだと、30年ぶりに再認識しました。夏の早朝夕方はカラーを変化させれば、どんどん釣れます。
22. のんだくれ August 15, 2010 22:21
shigeさん
おぉ! そういう話は何度聞いてもイイですねー。(笑) ←まるで自分が設計したかのよう
のんだくれもチャグバグだけに反応するというケースを今まで何度も味わってます。
同じラトリンモデルでも音の違いによって反応が変わったりすることもしばしばです。
でも多分これはチャグバグだけに限った話じゃないんですよね。
実力が理解できないまま通り過ぎてるルアーがまだまだたっくさんあるんでしょうねー。
それを全部知りたい気もするし、知らない方が幸せの様な気もするし… (笑)