【ファストラックシリーズにザリもいたとは!】
先日のファストラックの記事を見て、こんなコメントやメールを複数頂きました。
のんだくれ的には結構知られているもんだとばっかり思ってましたが、意外にもマイナー君だったようですね。
ということで、今日はある方の要望にお応えしてファーストラックリップ搭載の最新鋭ザリ、ファストラックウィクロフィッシュでございます!
あ、最新鋭ってのは当時の話ですからね、当時の😁
ファストラックウィクローフィッシュとは
ファストラックウィクローフィッシュはレーベルが1980年代終わりにリリースした早巻き対応のザリガニ型クランクベイト。
これ以前にリリースされていたファストラックラインの一員として追加されました。

1984年のField & Stream Magazineに掲載されたファストラックシリーズのデビュー広告。”スピードの貴公子” のコピーと共に最速を謳っていた
時速20マイルでもちゃんと泳ぐことをウリに淡海問わず大ヒットしたシリーズの派生モデルとして誕生しました。
サイズ・重さ
ファストラックザリのサイズはボディ60ミリ、自重8.8g。
レーベルの他のザリガニと共通ボディを採用しています。

内部にはよく響くラトルを内蔵していますが、内部構造が違うのかラトルサウンドはノーマルのレーベルザリよりもやや高いトーンでどちらかというとワンノッカー的な響きとなっています。
最大のウリはファストラックリップ
そしてなんと言ってもウリはこのファストラックリップ。
どんなに早く巻いてもリトリーブスピードに追従出来るという意味のFASTRAC(=FAST TRACKが語源)というワードを作り出しちゃうあたりにレーベルの本気度が伺えます。
レーベルはラパラのCDマグナムに搭載されていたメタルリップを追撃すべくジョーブレイカーをリリースしたワケですが、ジョーブレイカーのヒットにより『コレ、プラスチックでもイケるんじゃね?』とファストラックリップが開発されたと言われています。

“Breaking the WHAT???”
“JAW!!” pic.twitter.com/08yJDHeNNW— ルアー千一夜☆公式 (@lure1001) September 15, 2022
ザリガニを早巻きしてどうすんの?なんて質問はしちゃいけません。
80年代のアメリカンルアーは百花繚乱玉石混交魑魅魍魎の戦国時代。
何か一つのトピックを強調することでセールスが大きく変わる時代だったのです。
裏を返せば、そんな時代だったからこそ生まれたルアーでもあるわけですが。
意外にもアクションはウォブリング
アクションは強めのウォブリング。
他のレーベルザリガニ達と比較しても遜色ないほどの強いアクションです。
ファーストリトリーブ対応という謳い文句からだとタイトなピリピリ泳ぎを想像しますが、見事に期待を裏切ってくれるところがウレシイですね。
気になるリトリーブ追従性は、まあこんなもんでしょというのが素直な感想。
ウィR などのクランクベイトと比較すると追従性は間違いなくアップしていますが、それはちゃんとトゥルーチューンをした上でのオハナシ。
ぶっちゃけ箱出しの状態ではヲイヲイなタマもw
でもそれでイイんです。
そもそもクランクベイトはトゥルーチューンという一手間で完成するルアーなので、吊るしのままでオサカナ釣ろうなんて虫が良すぎます。
クランクはアングラーの愛情があってこそ釣れるものなんだと理解しないと。
レーベルならではのザリ造形
そしてレーベルザリといえばこの造形、
特にこのウェストのクビレ部分にシビレますね。
強靭なハサミで武装したボディ前部とはうって変わって、無防備でシュッとしてるこの部分に何故か魅力を感じちゃうんですよね。
剛と柔のメリハリとでも言いましょうか。
ちなみにカラーはオリジナルのウィクローフィッシュに準じていますが、もったいないことにゴースト系のカラーはラインナップしていません。
後年になってタイニークローフィッシュにはヌマエビっぽい半透明カラーが追加されましたが、残念ながらウィ系は採用されず。
ゴーストカラーが出てたら間違いなく売れてたのになぁと思うとちょっともったいない感じもしますね。
フックはストレートポイントの#6
フックはクローポイントフックではなくストレートポイントを採用。
このルアーの発売はファーストラインナップからやや遅れて80年代の終わりだったこともあり、お得意のイーグルクローは採用されてません。
ただ各方面の話を聞く限り、このクローフィッシュはかなり早い時期からストレートポイントのフックに替えられていたようですね。
こういう具合にマイナーチェンジ時期が不明瞭なトコがレーベルがコレクターにとって暗黒のブランドと言われる所以なのです。
入手はどこで?
そんなファストラックウィクローフィッシュですが入手には苦労させられるかもしれません。
個人的にはそんなムズいルアーだという感覚はありませんでしたが、実際に市場で探してみるとまず出てこないのです。
通常生産数が少ないルアーでもそれなりに出てくるものですが、このファストラックザリに出会うことはまずないので、もしかしたら国内販売されてなかった可能性も。
なので探すならebayなど海外市場で検索したほうが早いと思います。
ちなみにのんだくれは90年代に米コレクターから入手しました。
おわりに
ザリガニ型のルアーはそのものズバリな見た目ががビギナー向けを連想させるのか、バス歴が長くなるにつれ投げなくなるルアーの典型。
しかし使ってみると分かりますが、これ結構バカにできないルアーなんですよね。
その外見に惑わされて意外と気づきにくいんですが、ザリガニの形をしたレイジーアイク系のへの字ルアーなのです。
への字型ルアーは一般的なファット系クランクと違って強く大きなローリングで水を撹拌し、明滅も強いのでトラウト狙いでは超ド定番なルアー。
バスルアーではヘドンのタドポリーが有名ですね。

レーベルクローはそんな釣れ釣れルアーのファクターをザリガニのドレスに隠したルアーでもあるのです。
そりゃ釣れないワケありません。
特にレーベルは複数タイプのリップ形状をラインナップしていてシャローからボトムまで探れるし、何よりも安定供給されてるってのがイイですね。
そんな釣れ釣れザリが中古屋に大量に棲息してると思ったら、たとえファストラックリップじゃなくても使ってみたくなりません?😁