ヘドンのビッグバドが日本のバスフィッシングにもたらした影響はとてつもないものでした。
とても魚が釣れるとは思えない造形のルアーでもちゃんと釣れるというバスフィッシング本来の楽しさを再認識させてくれたのはもちろん、波動系ノイジーなるカテゴリーを定着させただけでなく、あのヘドンにベビーバドを作らせてしまったんですから。

当時のショップには雨後の筍の如く “バド系” なるルアー達が並び、玉石混交状態となったのはみなさんご存知の通りですね。
そんな中、ほとんど脚光を浴びることなく消えていった悲劇のバドフォロワー、B.B.プルトップが今日のゲストでございます。
このルアーはケンクラフトと並ぶ上州屋のブランド、バスバスターズの一員として大小2サイズ展開でリリースされました。
アルミ缶まんまのシルバークロームやコーチドッグカラーなど目を引くカラーリングだったので覚えている方も多いと思います。
今日のゲストはそのうちの兄貴の方。
ヘッド to テールで66mmのボディはまんまバドと同じサイズで、テールにブレードを装備するなど、完全に二匹目のドジョウを狙った商品であることが分かります。
しかし、実際に使ってみると、ビッグバドにはない要素がテンコ盛りでシビれるルアーなんです。
あ、今思いましたがサイズ比較はオリザラじゃなくてビッグバドにすれば良かったな😅
ビッグバドと最も違うのはこのリップのセッティング。
ビッグバドの45度にスラントしたロングリップに対し、このB.B.プルトップは80度のウェイクビルを装備することであくまでもウェイクベイト/シャローランナーとしてのアイデンティティを主張しています。
気になるその性能は “広告に偽りなし” の完全ウェイクベイト。
アクションの立ち上がりこそ少々モタつきますが、一旦動き出してしまえばビッグバドと同等… とは言えないものの、それに近い泳ぎを見せてくれます。
が、残念ながらスローなタダ巻きに関してはやっぱりオリジナルであるビッグバドに軍配が上がります。
このBBプルトップもそれなりに水を掴んで泳いでくれるのですが、泳ぎにバドの様なパワフルさが見られないんです。
ビッグバドのあの大型ロングリップと強大な浮力が生み出すトルクフルな動きが唯一無二であることを再認識させられました。
しかーし!
波動系としての泳ぎはイマイチでも、トップウォータープラグとして見ると、実はスゲー性能の持ち主なんです。
それはこのリップが生み出すチャグサウンドと不規則なスイミングアクション。
静止状態から軽くロッドを煽ると、大量の細い泡を水中に巻き込みながらジョブッ!といい感じでダイブしてくれます。
プルトップを模したリップの凹みがカップ的な役割を果たすのか、軽いロッド操作だけでいい感じの捕食音を発してくれるんです。
そのままゆっくりリトリーブすれば、水深2〜30cmのレンジをズイールのアンカニーチャップも真っ青のゆらゆら不規則ダートスイムも。
リトリーブを止めればボディを揺らしながら水面に戻り、軽くチョンとやれば素直な首振り&スプラッシュも披露してくれます。
しかもその首振りはほぼ移動なしの一点テーブルターン。
カバーやオーバーハングの奥で首振りさせたら絶対出るだろうなーと妄想が始まってしまいそうなぐらい、美味しそうな動きなんです。
のんだくれは昔ビッグバドのリップを取ってペンシルベイトにしたことがありますが、それよりも遥かにイイ感じのアクションに仕上がっているので、もしかしたらこれはリトリーブメインの波動系ではなくペンシルベイトとして開発されたんじゃないかと思ってしまうほど。
これを設計した人はかなりのトップウォーターフリークなんじゃないかと勝手な想像をしてみたり😁
テールはボディのど真ん中にリグられています。
ビッグバド的に言えばヒートン直付けですね。
パッケージにもカションカションと音が出るようにリトリーブしてくれという旨の説明書きがされていたので、相当ビッグバドを意識して… というか目指していたと思われますが、先述の通り泳ぎにパワーがないのでリトリーブではこのブレードの良さを引き出せていません。
しかし首振りアクションにおいては、このブレードがカウンターウェイト的な役割を果たすと同時にクラッキングサウンドも発するので、これはこれで重要な役目を担っています。
のんだくれは実際ブレードを取っ払って投げてみましたが、明らかに首振りのレスポンスが落ちてしまったので、このブレードは弄らない方がイイですね。
カラーはコーチドッグ風味のマットホットタイガー。
このBBプルトップが掲載されているカタログやカラーチャートを見たことがないので一体何色あるのか把握してませんが、しっかりした塗りを見る限り、他のカラーリングも欲しくなりますよね。
フックは前後とも#2のラウンドベンド形状が標準装備。
物理的にフック同士が絡む距離ではありますが、実釣ではほとんど干渉することはありません。
さらにクイックに首振りさせたりダイブ中に細かいトゥイッチを入れても、リップがフロントフックに掛かったりエビ状態になることが皆無と言っても良いぐらい無いので、渾身のワンキャストが無駄になることがありません。
この辺は一期一会のトップウォータープラッガーにとっては地味に嬉しいパフォーマンスですよね。
しかしビッグバドチューニングでは定番のフロントフックのスプリットリングを二連結にした途端にラインを拾ってエビになるのでデフォルトのままで何もしないのが一番です。
ネームプリントは素っ気なく背中にスタンプされています。
パッケージに印刷されていたポップで可愛い感じの B.B.PULL TOP のロゴをココにプリントしてくれれば良いのに… と思った御仁はきっと多いはず。
って、そんな事思うのはのんだくれだけですか。ああそうですかすみません😭
それはそうとこのB.B.プルトップというネーミング、缶のフタという意味の他に “ブラックバスをトップレンジまで引っ張り上げる” という意味を含めてるとニラんでるんですが、皆さんはどう思います?
同時期に発売されたバスバスターズのBBシャッドが初心者向け?だったこともあり、同じイメージでこのBBプルトップも括られてしまったのかセールス的には芳しくなかったようで末期には198円で投げ売りされてたりもしました。
今となってはバスフィッシングバブルの残り香でしかありませんが、この手のルアーはこの先2度と発売されることは無いと思うので、一味違ったダーターをお探しの人は頑張って探してみては?