【 初恋の思い入れの強さはその後の恋愛に影響する 】という研究報告があります。
のんだくれはこの説に対してヘッドバンギング並みに頷く派なんですが、これはルアーにも当てはまるんじゃないかと思っています。
過去に自己記録をキャッチしたり、記憶に残る状況をもたらしてくれたルアーがその後のフィッシングスタイルに与える影響って、誰にでも少なからずあるじゃないですか。
そういう思い入れだったり記憶という点では初恋と変わらないと思うんです。
ということで今日のゲストは、のんだくれの初恋のルアーであり、ディープクランク好きを決定づけた反乱軍戦士、レーベルのディープウィRです。
ディープウィRはボディ長50mm、3/8ozの標準的なフローターダイバーで、70年代のアルファベットウォーズを戦い抜いた名品としてあまりにも有名な存在です。
3/4ozのミニR、7/8ozのマキシR、スーパーRらと共に Freshwater R-Series のチーム名を貰い、その名は日本にまで轟きました。
当時はダイワのディストリビューションで日本国内にデリバリーされていて、高価な “舶来品” が買えない小中生の股間を熱くしていましたね。
ダイワが取り扱ったのはウィR、ミニRの2サイズのみだったので、長兄マキシRの存在を知らされていなかったガキどもが “なんでミニRの方がデカいねん!” と突っ込むのはお約束でした。
のんだくれがこのルアーと出会ったのは忘れもしない中学2年の夏。
かつて名古屋市千種(ちくさ)区に存在した木俣釣具店がその場所でした。
昔の釣具屋特有の、練り餌の匂いが漂う薄暗い店内の真ん中に置かれた大きなショーケースの中から熱い視線を感じたのが馴れ初めでした。
新聞配達アルバイトで貯めたお金で買った最初のルアーだったこともあり、ナイロンのベルクロ財布から引っ張り出した聖徳太子との交換儀式を今でもはっきりと覚えています。
ディープウィRの特徴はなんといってもこのリップでしょう。
リトリーブに機敏に反応して小気味良いウォブリングの鼓動をアングラーに投げかけながらスルスルと潜ってくれる頼もしいやつです。
当時ののんだくれは皿池のオカッパリがメインで、ディープダイバーの性能をフルに活かせるような状況ではなかったのですが、どういうわけかこのダイバーを選択。
しかしこの謎チョイスがその後ののんだくれのフィッシングスタイルに大きな影響を及ぼすことになるのです。
何を投げても反応のないどピーカンの真夏の午後、葦が点在するシャローボトムをガリガリと掘りながら疾走するディープウィRに35〜40cmのバスがラッシュしたのです。
当時はまだブラックバス自体が珍しく、ブラックがいる池を求めて遠征するのは当たり前の時代。
バスを一尾でも釣ればサイズに関係なくドヤ顔ができた時代に遭遇した連発はあまりにも衝撃的で、それ以来シャローでザリガニ巻きをしないと満足できないカラダになってしまったのでしたw
一度イイ思いをしてしまうとネジひとつにも愛情が湧くというもんです。
ボディの中に入ってるリップの付け根はどんな形してるんだろうとか、なんでこのヒートンは先っぽが出てるんだとか寝ても覚めても頭の中はディープウィRの事ばかり。
これぞまさしく初恋ですよねw
のんだくれのヲタ気質はこのディープウィRから始まったと言っても過言ではないのです。
一度走り始めた恋心はもう誰にも止められません。
カラーにだって異常なほどの執着をみせちゃうワケです。
日本には棲息していないクラッピーがどんな魚なんだろうと思いを馳せる日々の始まりですww
初めてアメリカで釣りをした時、釣り慣れたバスよりも外道で来たクラッピーの方が嬉しかったぐらい😁
日本市場におけるウィRシリーズはこのクラッピーをはじめとしたナチュラライズドカラーが起爆剤となってブレイクを果たしましたが、その時点で本国では既に26色ものカラーがリリースされていました。
1978年のオーダーフォームに掲載されていたレギュラーカラーをまとめたものがこちら。
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このカラーリストはRシリーズに共通のものですが、当時のレーベルはルアーのモデルNo.の後にカラーコードを足したものが品番となっていました。
例えばディープウィRのクラッピーカラーの場合は、この画像のラベルにある通りモデルNo.D93とカラーコード72を合わせたD9372 が品番となり、ミニRのクラッピーカラーの場合はD9472、同様にマキシRもD9572といった具合に体系化されていたのです。

画像出典:https://earlyfishinglures.com/
しかしこの方法だとカラーごとにラベルを制作しなければならず、それゆえロスの発生率も高いことから80年代の初めにはこのナンバリング手法は使われなくなってしまいました。
あのコットンコーデルも同様の手法を採用していましたが、コーデルはもっと早い段階でやめているので、余程効率が悪かったんでしょうね。
そうそう、かのストームも初期の頃は同様のラベリング手法を採用していました。
それについてはこっちのポストに書いてありますのでキモヲタに耐性のある方はどうぞ。

フックはバスを連発した当時のままのオリジナルで、レーベルのスタンダートであるブロンズのクローポイント。
リングもブロンズのものが採用されています。
この形状のフックはもう生産されていないので交換したくても出来ないのがちょっと寂しいですよね。
この時期のレーベルに近年のフックを装着した時の違和感というかコレジャナイ感は半端ないですからねw
リップにしっかりとエンボスモールドされたネームは当時のレーベルのアイデンティティでもありました。
ガリガリに削れた傷だらけのリップが壮絶なザリガニ巻きを語っていますね。
このルアーは過去に2回ほどハードな根がかりに遭いましたが、ルアーを失くしたくない一心で冷たい池に潜って回収したという執念の一品でもありますw
今思うと、あの時溺死しててもおかしくなかったなと😱
ウィRはレーベルを代表するルアーなのでコーデルのビッグオーの様に永遠に存在しつづけるものと安心していましたが、ミッドウィRに立場を譲ったかと思ったらそのまま生産終了に。
まるで一青窈の『翡翠』の歌詞のような儚い終わり方にのんだくれは嘆き悲しみましたが、消えてしまうのも初恋の宿命ですからこれも仕方ないことなのかもしれませんね。