久しく開かずの間だった倉庫を整理してみたらいろんなルアーが出てきました。
その中にはかつて四番バッターだったルアーもあったりして、整理しに倉庫に入ってんのに懐かしいのを見つける度にいちいちタイムスリップするから作業なんて進みゃしねえ。
そんな中で出てきたのは今日のゲスト、マンズのディープレイザーバック。
以前記事にしたレイザーバックの後期モデルです。

正直言うと、このルアーの存在はすっかり忘れてました。
80年代、琵琶湖に通ってた時期はレイザーバックがないと俺の釣りは成立しない!ぐらいに溺愛してましたが、時の流れとともに記憶の彼方に押しやられてしまいました。
このルアーはのんだくれに数多くのオサカナを連れてきてくれたんですが、次々に登場する新商品に目を奪われ、一軍ボックスからも追いやられ… 😭
そう考えるとツリビトってほんとに薄情ですよね😅
ディープレイザーバックはディーププラスシリーズが登場するまで、マンズの第一線を守る防人的存在でした。
ショートリップを持つシャローモデルとともに、レイザーバック、ピッグ、ピグレットのサイズバリエーション展開で米国南部のクランクベイトシーンを席巻していたのは有名なオハナシ。
その中でも56ミリ、14gのサイズであるこのレイザーバックは、手頃なサイズや2.5m程度まで潜行するなど汎用性も高く人気のモデルでした。
このクランクベイトの特徴は、無骨なステイを持つダイビングリップです。
後付けリップである初代モデルから一体成形構造に変わった二代目モデルのリップは、最近のクランクベイトを見慣れた目には異様に映るほどの厚みですが、実はこの造形がイイ仕事をしてくれるのです。
その仕事とは、非常にタイトなピリピリとしたウォブリングアクション。
それまでのマンズのクランクといえば、南部水系に多いマディウォーターでルアーの存在感を際立たせるため、ブリブリと激しく泳ぐものがほとんどでしたが、このディープレイザーバックの泳ぎは肩透かしを喰らうほどのタイトアクション。
マンズの設計者が狙ってこのセッティングにしたのかどうかは分かりませんが、この緊張感溢れるピリピリアクションが実によく魚を連れてきてくれました。
あの当時のクランクベイトは、押し並べて水をかき回してナンボ的な感じがあったので、逆張り的なヒットを狙ったのかもしれません。
しかも巻き心地がすこぶるイイ!
リップの付け根がキュッと絞られているのが功を奏しているのか、アングラーにしっかりと鼓動を伝えつつも巻き抵抗が軽いんです。
それなのにスルスルと潜っていくという、ディープクランクのお手本のような存在。
そりゃ釣れないわけないですよね。
釣れるとなればお約束の買い漁りですよ😁
当時比較的入手しやすかった事もあって、違うカラーを見つける度に買ってた記憶があります。
のんだくれは当時まだ学生でしたが、アルバイトを4つ掛け持ちしていて財布には常に聖徳太子が何人も住んでいたので、アホみたいに買ってました。
あの頃が一番金持ってたなぁ… 遠い目
その中でも一番のオキニはこのナチュラルパターン。
マンズのナチュラルプリントはどこか劇画的なタッチがあってイイですよね。
でも一番釣れたのはこのナチュラルではなくてクロームカラーでしたが。
当時はクロームというカラーリングが効いてると思い込んでましたが、今改めて見てみると、クロームだけはいわゆるボーン素材のプラスチックで、ラトル音が甲高い個体でした。
クロームカラーの重量もナチュラルプリントのものよりも1g以上軽く、これがアクションによりキビキビ感を与えていたんでしょうね。
ディープレイザーバックと同じぐらいの頻度で投げていたクランクにビルノーマンのディープリトルNがありましたが、それのクロームカラーもボーン素材なので、やっぱり当時から明確な違いがあったんでしょうね。
当時の琵琶湖は投げればとりあえず釣れちゃうようなパラダイス状態だったので、ルアーの特性とか深く考えることはありませんでしたが、今思うと、もっと考えて投げてればパラダイスがヘブンになってただろーなと。
しかし、クロームはボーン素材という方程式が全てに当てはまらないのもマンズのお約束。
手元のディープレイザーバックの中にはクロームカラーなのにボーン素材ではないモノもあったりするので、ボーンかどうかを確認するには現物を振るしか術はないようです。
上の画像でもわかる通り、同時期に買ったモノなのにカラーによってスプリットリングが違う事でその辺のイレギュラーさが分かりますけどね😂
フックはこの時期のマンズお約束のロングシャンククローポイント。
このフックはシャッドマンやマンダンサーなどにも装備されていますが、ある時期から一斉にショートシャンクに変わります。
見た目的にもクローポイントはショートの方がカッチョいいのでそれはそれでオッケーですけどね。
しかしフックを見てカッチョいいとか、我ながらキモいなー😂
しかし残念なのは、モールドが変わったことによって、初代モデルにあったエンボスネームが消滅してしまったこと。
せっかく名品の称号をもらっておきながら、ネームがないのはマズイんでないかい?
詰めが甘いのがアメリカンルアーと言われればそれまでですが、こういうのを見る度に、あ”ーもう!ってなっちゃいますよね。
え? そんなこと思ってんのはのんだくれだけ?
ちなみにレイザーバックとは、剃刀(=レイザー)のように切り立つ背中(=バック)を持つイノシシのこと。
アメリカンフットボールのアーカンソーレイザーバックスのマスコットとしても有名ですが、我々ルアヲタの間ではそのレイザーバックスのイノシシロゴをそのままルアーにしたノベルティがある事でも良く知られています。
日本では当時の輸入元がローマ字読みの “レザーバック” で紹介したので、そっちの呼び名の方が通りが良くなってますが、ルアーの名前なんて好きに呼べばいいんですからご自由に。
名前の読みの違いを言い出したら、関西流の”シャド”ラップや、ザラ”ポーチ”(正式にはプーチ=ワンコの意)、ベイヨンボギィまで全部取り締まらなきゃならなくなるので、めいめい好きな呼び方すりゃエエんです😁
かつてはマンズ王国の稼ぎ頭だったこのレイザーバックも、80年代後半に全米を席巻したディープクランクによるニーリングブームでデビューしたディーププラスシリーズ(20+とか15+のアレ)の台頭で退役することに。
そう考えると、タックルには流行り廃りがあるとはいえ、一時代を築いたものでも引導を渡される時はあっけないもんですよね。
オマケ
当時のカタログをポストしたツイートがあったのでオマケで載せておきます。
1984年のブックレットカタログに掲載されていたものですが今晩のオカズにでも是非。
マンズのディープレイザーバックはバスフィッシング史上最も過小評価されてたクランクベイト。
クロームカラーは今でも無敵だと思うんだけど、ロストが怖いからもう投げられない。 pic.twitter.com/5ovSufOrRX
— ルアー千一夜☆公式 (@lure1001) March 17, 2021