今さら話ですが、市場に出回っているほとんどのルアーは誰もが使いこなせるよう、万人受け要素を大きく確保してあります。
そして何も手を加えなくても魚を連れてきてくれるようにはなっていますが、中には少しカスタマイズするだけで劇的な変化が楽しめるものも。
今日紹介するバンタムのコマックサーフェスはカスタマイズの初級編にピッタリのルアーです。
コマックサーフェスとは
コマックサーフェスはその名前からも分かる通り、マクベスのダウンサイジング版、通称コマックをサーフェス用にアレンジした水面爆撃兵器です。
マクベスシリーズが持つバランスの良さをサブサーフェスでも生かすべく誕生しました。

見方によってはダイワがリリースしたデカピーナッツⅡSSRブレードチューンへのシマノ的回答と取れたりもして、往年のシマノvsダイワの覇権争いを知る者としてはちょっと嬉しかったりします。
近年の両社は変な棲み分け意識みたいなものが見え隠れして昔のようなバチバチ感があまり見られなかったので、こういうのはイイ事ですね。
当のシマノがどういうスタンスなのかは知りませんがw
コマックサーフェスのサイズ・重さ
コマックサーフェスは全長50ミリ、自重13gとウェイクベイト/スーパーシャロークランクとしては標準的なサイズにまとめられています。
キビキビとした強いアクションが求められる SSRクランクにとって50ミリというサイズは、浮力や使い勝手など総合的なバランスにおいてこのサイズ感が一つの答えになっているんでしょうね。
コマックサーフェスの特徴
水攪拌とフラッシング効果を狙ったブレード
コマックサーフェスの最大の特徴は ”テールにブレードを装着するための専用設計”が成されている事。
既存のクランクボディにブレードを装着しました的な安易な作りではないところがスバラシポイントその1。
画像の通りのんだくれはブレードを交換して使用していますが、この詳細は後ほど。
強いアクションと障害物回避性能を兼ね備えたワイドリップ
そしてこのワイドなリップがブレードのパワーに負けない泳ぎを生み出します。
リトリーブするとやや前傾姿勢になってしっかりとフックをガードしてくれるので、ブッシュ脇やレイダウンなどもストレスなく攻める事が可能。
スナッグレス性能とフッキング性能を両立させたボディデザイン
そしてスナッグレスとフッキングという相反する要素を両立させているのがこのボディ下部の出っ張りです。
スクエアビルクランクであるコマックは重心位置を最大限まで下げるためにこの様な出っ張ったデザインになっていますが、コマックサーフェスでは出っ張りの中にウェイトは仕込まれていません。
しかしこの突起がある事でフックがボディに張り付かないのでフッキング率を犠牲にしないというなかなか考えられた設計。
ぶっちゃけこのアイデアは米国ハンドメイドクランクの一部にも見られるものですが、量産クランクでコレを実現してくれたのはシマノしか無いのでは?
基本的にサーフェスクランクだけれどカバー攻略要素も忘れてないよという開発姿勢は、あらゆるフィールドでの使い勝手が考慮されている証でもあり、このルアーのニヤリポイントのひとつになっています。
コマックにはないサウンドシステム


画像出展:https://fish.shimano.com/
そしてコマックサーフェスにはラトルが搭載されていることも忘れてはならないポイント。
コマックも2022年追加予定のマクベスシャローもノンラトルなので、大きなラトルチャンバーを擁したボディはラトル好きにはタマりませんね。
ちなみにシマノはこのラトルサウンドを ”重低音” と表現していますが、それは ”このサイズにしては” というレベルなので、実際にはミドルサウンドだと受け止めて置いた方が良いかと。
とはいえラトル音はジキジキとコトコトの中間ぐらいでよく響くので不満はナシ。
のんだくれも含めてラトル好きのアングラーは、単に音の高低だけでなくラトルがもたらすボディ振動にもこだわりますが、そういった小うるさい連中を黙らせるだけの調律はされているのでご安心を。
コマックサーフェスのアクション
アクションは大きなローリングを主体としたウォブリング。
ウェイカーだけあってトルクのあるパワフルな泳ぎを見せてくれます。
この手のブレード付きクランクは往々にして動きがマイルドになりがちですが、アングラーの手元にもしっかりとした手応えと振動を伝えてくれるので投げ続けるモチベーションにもなります。
さすが専用設計だけのことはあります。
カタログでは最大潜行深度30センチとありましたが、ナイロン16lbで巻いた感覚では20センチぐらいしか潜ってないと思われ。
この程度の潜行深度だとロングロッドを使えばアングラーから離れていても巻き始めから水面キープできるので有難いですね。
ちなみにのんだくれはウェイクベイト/スーパーシャロークランクを使う際はラインメンディングとレンジコントロールを考慮して8ftのMHロッドを使用。
ややモデレート寄りでちょっと柔らかいかなというぐらいのロッドを多用しています。
カスタマイズで性格を大きく変えられるコマックサーフェス
そんなコマックサーフェスはブレードをカスタムする事でアクションの特性を大きく変える事ができます。
いや、ブレードの抵抗にも負けない泳ぎがあるんだから、その特性を積極的に活用しないのは超もったいない!
デフォルトで装着されている専用ブレードはロゴが刻印された”専用”のものですが、それは万人受けする仕様というだけで必ずしもベストではないのです。
意図的にバイトチャンスを作るブレードチューン
ちなみにのんだくれはサイズを#1にアップしたディープカップのコロラドに交換しています。
これは早巻きメインで使っているのですが、ウォブリングを抑えつつ水の攪拌を強め、ブレードが水面を割った時にルアーの泳ぎが大きく乱れる効果を狙ったもの。
ピッチの早い明滅をしながら水面直下を疾走し、ここぞというところでブレードを水面から飛び出させ、ルアーがフラッとした瞬間にバイトさせようというイヤらしい下心の表れですw
カラードブレードをチョイスしたのは、マディウォーターでの視認性向上のためとボディカラー(キラービー?)と合わせての事。
そういう意味では、コマックサーフェスにはレディバグなど独特なカラーリングがラインナップされているのに、ブレード色は一律でシルバークロームしかないというのはちょっと寂しいですね。
コスト的な問題はあるにせよ、”専用ブレード” を謳うのであればカラーにまでこだわって欲しかったな。
ブレードの形状や大きさによって動きや効果が変わる


左上から下:トマホーク/ウィローリーフ/ダコタ
右上から下:フラットインディアナ/インディアナ/カラードインディアナ
そしてブレードの種類によっても動きや効果を変えられるのもカスタマイズの楽しみのひとつ。かなり乱暴ですがブレードも特性をまとめてみたので参考まで。
ブレードの種類 | 大まかな特徴(同サイズのブレードと比較した場合) |
---|---|
コロラド | バイブレーション/水噛み強めでルアーのアクションは小さくなりがち |
ウィローリーフ | フラッシング大/ルアーアクションへの影響は最小 |
インディアナ | 回転の立ち上がり早い/水噛みはコロラドとウィローの中間 |
トマホーク | 立ち上がりは遅いが、水面を割っても回転し続ける |
ダコタ | 立ち上がりは最も遅いがトルクは最も小さく、水面直下の回転でスプラッシュを飛ばす |
オリンピック(マグウィロー) | 抵抗が大きいのでクランクのテールには不向きだがリップレスシンキングミノーなどには◎ |
言うまでもなくブレードはメーカーによって形状もカップの深さも違うので得られる効果の程度もまちまちです。
接続にベアリングスイベルではなくヨリモドシを使う事で回転性能を落としたり、あえて回転させずヒラヒラさせるだけというのも手です。
さらにブレードにウェイトを貼ったり、接続にスプリットリングを使わずPEで結束するのもアリ。
これらの効果を説明するとなると一晩あっても足りないので詳しくは過去記事を参照プリーズ。

余談ですが、コマックサーフェスのブレード接続に使われているスプリットリングはすぐに伸びて使い物にならなくなるので、交換の際には極小リングの用意もお忘れなく。
コマックサーフェスのフック
コマックサーフェスのフックはハヤブサ製のTBL930、#4サイズがデフォルトになっています。
リップとのバランスやフッキングを考えると交換する場合でも同じモデルを選んだ方が良さそうですね。
コマックサーフェスのネーム
ネームプリントはバンタムロゴと一緒に背中に入っています。
マクベスよりは大きく目立ちますが、もうちょっと大きくしても良かったんじゃないかと。
それにこの筆記体フォントはコマックサーフェイスが持つパワフルでアトラクティブなイメージには合ってないんですよね。
マクベスと同様に、やっつけ仕事的なにほひがしなくもない。
そう考えるとフォントって大事だなー
おわりに
とまあこんな具合にコマックサーフェスはなかなか出来たルアーなので、買おうかどうしようか迷ってた人はもちろん、初夏のシャロー攻略兵器を探している人にもオススメできる逸品です。
新品のルアーをあれこれイジるのは勇気が要りますが、ブレード交換ぐらいだったらいつでも現状復帰できますしね。
そして量販店に行けば大抵置いてあるルアーなので、難なく手に入るところもマル。
でも逆に中古市場で探そうと思うとなかなか見つからないかも。
それだけ手放される事が少ないルアーなんでしょうね。
ルアーのカスタマイズはどこまでいっても自己満足の域を出ないと否定的な見方もありますが、イジったルアーで釣った時の充実感は既製品では味わえないものがあります。
”バーサタイル”というワードが死語となり、ピンポイントな状況で釣れるルアーが優れたルアーであるという考えがスタンダードになりつつある昨今、このコマックサーフェスのようにチューンやカスタマイズを受け入れてくれる懐の広さを持ったルアーってめちゃくちゃ貴重だと思いません?