仕事柄、のんだくれの下にはルアーに関するいろんな質問が届きます。
その中で特に多いのがクランクベイトに関するもの。特にウィグルワートの代替となるクランクは何?という質問が目立ちます。
そんな時に真っ先に答えるのが、このマドバグのG28。
マドバグシリーズの末弟です。
先に結論を言っちゃうと、今日のゲスト、マドバグG28はスゲーです。
小粒で激しく暴れるクランクベイトの代表にウィワートがありますが、アレと互角に戦える暴れクランクです。

しかしその古典的とも言えるルックスとワンフッカーという見た目が災いして、誰からも相手にされていないという悲劇の存在。
でもコレのスゴさを知っちゃうともう手放せなくなりますよ。
G28は40ミリ、1/8ozのタイニークランク。(実際のウェイトは7.5gとカタログ値の倍以上あるのはご愛嬌)
マドバグというルアー自体は元々他社ルアーの権利をフレッドアーボガストが買い取ったものですが、このG28は移籍後に産声を上げた “アーボガスト産”で、トラウトやパンフィッシュ用として開発されました。
よってメインターゲットの違いから、アクション特性も兄貴達とは全く違った味付けがなされています。
かえってそのセッティングがタフなバスに効くのです。
G28のアクションを一言で表すと、超ハイピッチでハチャメチャなウォブリング系。
いや、”系” ではなくてもうウォブリングオンリーと言ってもいいでしょう。
そんな激しく暴れるアクションの源になっているのはこのメタルリップ。
リップ形状だけ見ると兄貴達と同じ三又シェイプですが、G28のリップだけは素材がアルミではなく、極薄の鋼材が使用されています。
この極薄リップがワンフッカーのボディとタッグを組むことで絶妙なバランスとなり、ほぼロールなしの激しいウィグルアクションを生み出すのです。
でも7グラム程度のチビクランクじゃライトタックル限定でしょ? などと訝しむなかれ。
G28はこの空力ボディのおかげで重心移動も積んでないのに16ポンドナイロンを引っ張ってストレスなく飛んでくれます。
以前からマドバグは飛行姿勢が安定しているクランクとして定評がありますが、その性能がこのチビボディで証明された形になっています。
たった7グラム、されど7グラムなのです。
そして最大のポイントはワンフッカーであること。
そのメリットはルアーの重心つまりアクションの支点が後ろにあることでケツがしっかりと据えられ、ボディの前方だけを激しく振るアクションが “安定して” 出せること。
文字にしてしまうと大したことありませんが、これは2フッカーのクランクではなかなか難しい芸当なのです。
ワイドウォブルが得意なG20兄貴でもG28の暴れっぷりには敵いません。
しかもそのアクションはファーストリトリーブでも破綻しないという無双っぷり。
これは、ワンフッカーゆえの一点重心、極薄だけど必要な慣性モーメントを生み出すメタルリップ、セルフセンタリングされるリングアイが三位一体となって実現した夢のクランクなのです!(断言)
しかしそんなクランクにも弱点はあります
浮力が弱いせいか、ウィードレス効果が高いと言われている三又リップを持ってしても障害物に弱いのです。
マドバグはスタックしないクランクベイトとして知られているだけに、それを知らずに使うとちょっと肩透かしを喰らうかもしれませんね。
でもそこは適材適所。
そういうもんだと思って使い分けてあげるのがオーナーの愛ってもんです。
そもそもウィワートだって根がかりに強いわけではありませんから。
フックはフレッドアーボガストお得意のロングシャンクカドミウムがヒートン直結でリグられています。
この個体は1980年代のもので#4サイズが装着されていますが、90年代以降に製造されたG28は#6にサイズダウンされています。
新モデルはおそらく浮力アップによるレスポンス向上を狙ったと思われますが、重心が軽くなることで動きはおとなしくなってしまいます。
だからと言って新モデルを見切るのは早いですぞ。 ちゃんと対応策はあるんです。
その方法は後ほどゆっくりと。
そしてマドバグ最大のヲタポイントがこのエンボスモールドですよ。
小さなボディにもかかわらず社名とネームの両方をしっかり入れてくれているのはポイント高いですよね。
リグ穴を避けてまで CO.を入れているあたりに、ブランドとしてのプライドを感じます… と言いたいところですが、これも年代によってネームがないものもあったりして、ヲイ!と突っ込みたくなるところ😂
ちなみにマドバグは正式には、MUD-BUG といった具合に間にダッシュマークを入れるのが正しい表記。
これはのんだくれの勝手な推測ですが、マドバグという名前で商標を取るために入れられたダッシュではないかと。
単にMUD BUGだけだとザリガニを表す一般名詞なので、固有名詞として商標を取るにはダッシュを入れる必要があったと思はれ。 しらんけど。
といった具合にかなーり使えるクランクベイトなんですが、実は全然人気ありません。
その理由はワンフッカーだから。
一番最初に書いたように、なんか良いクランクないですか?と聞かれてこのマドバグG28を見せると、ほとんどの人はテンション激落ちとなり、”なんか他にイイ感じのないですかね?”となります。
”他にイイの” って何だよ😂
でも実はのんだくれはその反応を楽しんでるんですよね。
というのも、このG28をどう捉えるかでその人の釣りに対する考え方が見えるから。
G28の特性を聞いて目を輝かせる人は、釣りに対する追求心が旺盛なのでスタイルにあまり拘らない人で、普段からめちゃくちゃ釣ってる人が多いんです。
もちろん好みやカタチにこだわるスタイルもあって然りなので、どっちが良い悪いではないんですけど、こういう些細な会話からフィッシングスタイルが読み取れるルアーはのんだくれにとっては非常に面白い存在。
単にのんだくれの性格が悪いだけという説もありますが😂😂😂
とまあこのG28はいろんな意味で便利なルアーなんですが、どうやら既に生産終了となっている模様。
今年の初めに関西圏の量販店でマドバグ祭りが開催されたようですが、それ以外ではなかなか見られないルアーなので、見つけたら是非とも確保して現場投入してもらいたいなと。
さてさて前置きがずいぶん長くなりましたが、最後に90年代以降のモデルを初期モデルに近づける方法を置いておきますね。
新しいモデルはプラスチック素材が軽くなっているのとフックサイズを小さくしたことで、画像のようなしっかりとした浮かれポンチになっています。
浮力アップしたことでカバークランキングに使えるようになったのは良いんですが、ケツの重心が軽くなったことで粗暴な性格は影を潜めてしまいました。
よって、G28の野生を呼び覚ましたい人はこの画像のようにフックをサイズアップして重量足してあげると良いでしょう。
でもフックを変えるだけじゃダメなんです。
スプリットリングを入れたりヒートンも長いものを使うなど、ボディの下方にしっかりと重心を据えることがキモなんです。
こうすることで初期の動きにかなり近くなります。
ウェイトを貼る方法もアリだと思いますが、アクション的にはリグを交換する方法が一番しっくりきました。
80年代までのモノは元々のプラ素材が違うのでどんなにイジっても全く同じにはなりませんが、ケツを据えるだけで本来のDNAが目覚めるんだったらやらないテはありませんよね。
G28は手を加えないハイフロートバージョンのままでも有能なクランクですが、ハマるポイントを探してあれこれやってみるのも楽しい作業なので、このGWのおうち時間にコソコソやってみてはいかがでせうか。