オールタイムクラシック All-Time Classic という言葉があります。
”ずっと昔からあって誰もが認める定番” という意味ですが、英語とは違って日本語の ”定番” はマーケティング上、響きの良いワードとして都合良く使われているので、一体何が本当の定番なのか分からなくなることも。
もちろんそれはルアーにも言える事で、え?それ定番なの?的な物もチラホラ。
そんな時は、原点に立ち返る意味でも本物の定番に触れるべきではないかと。
という事で今日は、先日新カラーがリリースされてクランカー達をワクワクさせているボーマーの定番クランク、スクエアAを紹介します。
スクエアAとは
スクエアAはボーマーがプラドコ傘下になってからリリースした対カバー用クランクベイト。
”大きなルアーが入らないようなシャローの狭いスポットを荒らさずに攻略できるクランクベイト” をコンセプトに開発されました。
ウォルマートなどの量販店には必ずと言っていいほど置いてあり、4ドル前後という価格設定(他のプラドコ製品はほとんどが9ドル前後)からもボーマーブランドの裾野を広げる重要な戦略商品である事が分かります。
スクエアAのサイズ・重さ
当初スクエアAは3サイズ展開でのデビューでしたが、途中最大サイズの5/8ozが生産終了となり、現在は2兄弟でその血統を守っています。
画像のモデルはB05SLのコードで呼ばれる50ミリ、3/8ozで、この下に1/4ozのB04SLが控えています。
スクエアAの特徴
ショート&ファットなボディ
スクエアAの最大の特徴はこのショート&ファットのボディシェイプ。
我こそカバークランクなり!と高らかに誇示しているかのようなオーラを感じます。
当たっても跳ね過ぎないディフレクトアクション
そしてそのボディをガードするかのように両側に張り出したリップもチェックポイント。
スクエアと名乗っておきながら、角を面取りしたリップにすることでコフィンリップ的な要素を盛り込んでいます。
このスクエアビルでもコフィンビルでもない形状のリップは、障害物に当たっても跳ね過ぎることがなく、ボーマーがいうところのディフレクトDeflect(=避ける)アクションにより、カバーに寄り添うようにスルスルと抜けてくるのが特徴。
このあたりにスクエアAの開発コンセプトが生きてますね。
そう考えると、スクエアAの5/8ozサイズが生産中止になったのは理解出来なくもありません。
これはのんだくれの勝手な想像ですが、おそらくボーマー的にはいくらこのリップであっても5/8ozサイズは ”狭いスポットを荒らさずに攻略” するにはちょっと強過ぎたのではないかと。
それにボーマーにはカバーで有効なクランクベイトとして既にファットAの5/8ozがラインナップしていたので、それと被るのを避けたかったのかもしれません。

ボーマーのファットA 5/8oz。スクエアA以上のファットボディと、大きなダイビングリップによって見かけによらずカバーに強いクランクとして知られている。
ラトルサウンドは中音カタカタだが問題も
ラトルサウンドは高くもなく低くもない中音のカタカタサウンドに調律されています。
高音か低音のどちらかに調律されている今のクランクベイトばかりを見ていると、ちょっと物足りなさを感じるかもしれませんが、場を荒らさないという意味ではこのぐらいがベストなんでしょう。
しかしこのラトルには少々問題が。
製造時期によってはラトルボールがチャンバー内で一時的に固着するタマが散見されるのです。
おそらくモールドやソニックウェルドの精度の問題だと思われますが、中には完全に固着してしまった ”ノンラトル仕様” も。
ノンラトルはノンラトルで使いどころがあるのでクランカーにとっては思わぬラッキーアイテムですが、ラトルサウンドを楽しみにしているアングラーにとってはブーイング対象なので、ラトルマニアは注意が必要です。
この点、スミスが最近販売した新色はどうなっているんでしょうね。
アクションは少しだけパワーを抑えたウォブリング
気になる泳ぎは典型的なウォブリングアクション。
このショート&ファットボディから想像される泳ぎよりもパワーを抑えた感じなので、人によっては拍子抜けしてしまうかもしれません。
しかしこれも先述の ”場を荒らさない” コンセプトを実現するための敢えての設定。
基本はカバークランキングなんだけれども泳ぎのパワーを抑えることで、狭いスポットのバスをスプーク(怖がらせる)させないセッティングになっているのです。
それに伴って浮力も若干抑え気味にしてあるので、枝などを乗り越えた直後に一瞬その場でステイするような美味しそうな挙動もお手のもの。
パワーを抑えた泳ぎとはいえ、シャッドなどのようにナチュラル系に振ったセッティングでもないので、オープンウォーターで巻き倒すのに十分なブルブル感も備えていて巻きメインのアングラーも退屈させません。
この辺の塩梅はさすが老舗のボーマーといったところですね。
クラシックなカラーしかないのがちょっと残念
元々モデルAの流れを組んだルアーだけにデビュー当時はカラーバリエーションも多かったのですが、近年は画像のザリガニ系を筆頭にホットタイガーなどの蛍光マットカラーとクローム系といった具合にバリエーションが減ってしまったのが残念ポイント。
でもこれは低価格で大量に販売する戦略商品ゆえ仕方のないこと。
カラーが増えれば増えるだけ製造コストも管理コストも嵩むからです。
個人的にはマディウォーターでしか使わないのでクロー系とブルーバックチャートさえあれば問題ありませんが、ルアーは釣れば釣るほど違うカラーが欲しくなるだけに悩ましいところでもありますね😁
フックは#6サイズがデフォルト
フックは前後とも#6サイズが標準となっていますが、デフォルトではショートシャンク/ラウンドベンドが装備されています。
画像のスクエアAをトリプルグリップに交換してあるのは、カバークランキングではなく巻きメインで使うため。
普通のレギュラーシャンクのトレブルだとリップがフックを咥えてしまう事象が多発するためポイントが内向きになっているトリプルグリップを使っています。
ちなみにカバー用のモデルはリアフックを#8にサイズダウンするとさらに抜けが良くなります。
ネームはゴージャスな三点アピール
ネームプリントはボディの両側にブランド名とルアー名、リップにブランドロゴをエンボスモールドしたゴージャス仕様となっています。
いずれも旧ロゴを使ってくれているのが嬉しいですね。
ところでスミス物のリップモールドは旧ロゴのままなんでしょうか。それとも新ロゴ?
しかしこのリップのモールドは全半の BOM は力強いのに、後半の BER になると弱々しくなっててなんか笑えますねw
今画像を見て気づきましたが、リップに付いている小さな傷が先述の ”フックを咥えてしまう” 事象の跡ですね。
これ結構イラッとするんですよねー😂
スクエアAはどこで買える?
そんなスクエアAは中古新品いずれも割と簡単に入手が可能。
しかも金額的にも実売900円を切るなど良心的。
黄色だったら3〜400円でよく見かけます。
カバークランクは常にロストと隣り合わせだけに安くて入手しやすいのは本当に嬉しいですね。
おわりに
このスクエアAに限った話ではありませんが、定番と言われるクランクは持ってても意外と使わないことが多いですよね。
コーデルのビッグオーを持ってる人は沢山いるけど、実戦でガチ投入してるアングラーがどれだけいるかといったらおそらくほとんどの人は三軍ボックスに幽閉しちゃってるのとおんなじです。
でもこういう定番こそ使ってみると、あれ?結構イイじゃん😍と目ウロコになったりするものです。
知り合いのInsane級ガチクランカーw曰く、”ビッグオーの凄さが分かって初めてクランクベイト使いを名乗れる” らしいので(ホントかよw)、たまにこういう定番を投げて自分の熟練度を確かめるのもアリかもしれません。
最新のクランクもいいけど、こういったオールタイムクラシックでロクマルを釣った時の玄人感ってハンパじゃないですからね😂