どのメーカーにも言えることですが、ムーブメント級の大ヒット商品が出ると、そのメーカーの同じカテゴリーに属する他商品が霞んでしまうことがあります。
そしてその煽りを食らって性能が見過ごされてしまうモノも。
このプロモデルクランクベイトシリーズ4S(以下シリーズ4S)はまさにそんなルアーではないかと。
実力があるのにも関わらず、KVDスクエアビルの空前の大ヒットにより看板クランクの座から下ろされてしまった悲運のクランクです。
シリーズ4Sとは
シリーズ4SはKVDシリーズが登場するまでストライクキングのクランク部門を受け持っていた花形選手です。
確か1999年ごろのデビューだったと記憶していますが、ストライクキングが今の体制になってリスタートを切った当初からラインナップに組み込まれていた古参クランク。
同じタイミングでリリースされたダイビングモデル、シリーズ4のシャローバージョンとして誕生しました。
発売から既に20年以上が経っているオールドタイマーですが、古参だからと言って侮るなかれ。
存在は地味ながらもKVDシリーズにも劣らない…. いやKVDを凌駕する実力の持ち主なのです。
シリーズ4Sのサイズ・重さ
シリーズ4Sは60ミリ、3/8oz(実測は17.5g😂)の中型シャローダイビングクランクベイト。
サイズ的にはKVD2.5とほぼ同等の大きさにまとめられています。
デビュー当時は大きく見えたものですが、マグナムクランクが市場に氾濫している今となっては釣れごろサイズに見えちゃうからニンゲンの感覚なんてテキトーなもんです。
プロモデルクランクベイトシリーズは文字通り ”プロが選んだクランクベイト” をコンセプトに開発されており、この4Sの他に多くの兄弟がいます。
It’s a No-Brainer!! (何も考えずにとりあえずこれを使えの意)という広告コピーが表す通り、マークデイビスをはじめ、多くの契約プロが自信を持って発表しただけあってなかなかのラインナップなのですが、数が多すぎてモデルの違いがよく分からんという声も時々聞こえてくるので、この機会に全シリーズのスペックをまとめてみました。
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注釈にもある通りここにはXD (Xtra Deep) シリーズは含まれていません。
それにも関わらず8つものモデルがラインナップしていることから、ストライクキングがこのシリーズに込めた意気込みがどれほどのものだったかが伝わってきますね。
シリーズ4Sのアクション
シリーズ4Sのアクションはブリブリ系の強いウォブリング。
ひと昔前の典型的なアメリカンクランクのそれと言っていいでしょう。
それゆえ好き嫌いが分かれるところですが、タイトな食わせ系(と呼ばれる)クランクベイトが多くなった今はむしろアリアリのアリではないかと。
水切れの良いリップ
そんな泳ぎを生み出すリップは、根本を絞ったスクエアビルちっくな形状。
強烈に水を攪拌するウォブリングアクションなのに疲れにくいのは、この形状によるところもあるのかも。
画像では分かりませんが、エッジを薄く処理しつつもセンター部分にはしっかりとした厚みが持たせてあるので、リップラップなどにガシガシ当ててもモウマンタイ。
まあ障害物に当てたぐらいで割れるリップならばプロモデルなんて名乗れませんからね😁
KVDスクエアビルとシリーズ4Sの3つの違い
リップラップに強いクランクと聞くと、”じゃKVDスクエアビルとどう違うのさ?” というギモンも浮かんできますよね。
それについても解説してみましょう。
まず両者の決定的な違いは浮力の差です。
KVDスクエアビルはリトリーブを止めると急速に浮上するのに対し、シリーズ4Sはゆらーりと浮き上がるミッドフロート設定。
浮上スピードは決して遅くはありませんが、障害物などに当たってリトリーブを止めた時、浮上が始まるまでに一瞬の間が生まれるので、このわずかな差がバイト数として出てくるケースも十分にあると思います。
2つ目の違いは泳ぎです。
シリーズ4Sの強いウォブリングに対しKVDスクエアビルの方は、基本はウォブリングでありながらもそこに強い浮力に抗うかのようなイヤイヤロールアクションが加味されます。
これは典型的なファットボディを持つKVDスクエアビルの特性の違いと、更に障害物に当たった時に横に跳ねやすいよう泳ぎを調教した結果だと思いますが、浮力とこの泳ぎの違いだけでも両方持つ価値はあるのではないかと。
3つ目の違いはラトルの有無です。
え?KVDスクエアビルにもラトル入りのハードノックモデルがあるじゃん!とお思いの方もいることでしょう。
実は今でこそKVDスクエアビルクランクにもラトル内臓モデルがラインナップしていますが、KVDスクエアビルがデビューした当時はノンラトルのみの設定。
その後しばらくしてからBPS特注のラトリンモデルが登場したという時系列なので、デビュー時の両者のラトルの有無というのは非常に大きな違いだったのです。
じゃ両方ともラトル搭載となった今は違いは無くなってしまったのかというとそれも違います。
実はKVDスクエアビルが硬質プラならではの高周波ラトルで、シリーズ4Sは遊動ラトルも含めた複数のラトルボールによる中低音寄りのサウンドと、両者のラトルサウンドが被らないようにちゃんと考えてくれているのです。
この辺りの抜かりのなさはさすがストライクキングって感じですよね😁
シリーズ4Sの使い方
強いウォブリング特性を持つクランクとなれば、サーチベイトとして巻き倒してあげるのがクランカーとしての使命。
カバークランキングはKVDスクエアビルに任せて、シリーズ4Sはガンガン投げてガンガン巻いてあげましょう。
せっかくバスの側線を刺激するストロングな泳ぎを持っているのに、チマチマとカバーなんかを撃ってたら超もったいない!
それこそ宝の持ち腐れです。
特にシリーズ4Sはクランクベイトにしてはウィードを捌きやすいので、ウィードのエッジに沿ってグリグリ巻くのにも適しています。
のんだくれの友人の某クランカーはそんな具合で両方を使い分けてイイ思いをしています。
彼曰く『シリーズ4Sは神だ』と。
ぶっちゃけのんだくれはこのシリーズ4Sが神だと思えるほどオサカナを釣っていませんがw、そのポテンシャルは十分にあると思っているので、あとはどれだけ投げ込めるかですね😅
実はマイナーチェンジを繰り返しているシリーズ4S
そんなシリーズ4Sですが、長い期間の間に何度もマイナーチェンジを繰り返していたりします。
さすがにその具体的な内容は知りませんが、のんだくれが知る限りでは2回モールドが変わっているのです。
その最たるモノがこのパーティングライン。
2005年ごろのモデルにはくっきりと張り合わせ線が出ているのですが、現行モデルではラインが確認できません。
これに伴って内部構造の変更もあったのか、製造時期によってルアー自体の重さも0.5g前後の差が見られます。
とはいえ外観の寸法はほとんど変わっておらす、アクションの変化もほぼ見分けがつかないレベルなのでどっちが良いとか悪いとかはありません。
シリーズ4Sのカラー

ノーマンのルートビアとストライクキングのルートビア
ストライクキングといえばセクシーシャッドカラーを思い出しますが、このスプラッターバックパターン、通称ルートビアも忘れてはイケマセン。
シリーズ3のポストでも書きましたが、このカラーはオイスターと並んで個人的にイチオシの色でもあります。

ルートビアカラーは多少の違いはあれど米国メーカーのほとんどが採用している釣れ釣れのカラーとしても知られています。
その中でもストライクキングのものはウォーターメロンとホワイトのコントラストが強く出ていて水質を選ばない超オキニ色。
ブラックではなくダークブラウンで吹いた荒めのスプラッターペイントも萌えポイントです。
そういえばこのシリーズ、デビュー当時はチップレジスタントフィニッシュ Chip-Resistant Finish(キズがつきにくい塗装)というちょっとザラついた塗装をしてましたが、最近は全部ツルツルになってますね。
もうその塗装やめちゃったのかな。
シリーズ4S 唯一の欠点
そんな最強のクランクにも欠点があります。
それはこの3Dアイ。
米国人は3Dアイが大好物なので何でもかんでもこの目を貼りたがりますが、実はシリーズ4Sと3Dアイは相性が最悪なのですw
それは画像を見れば一目瞭然、ボディ側の接着面がフラットになっていないため、使っているうちに高確率でアイが剥がれてしまうという先天的疾患を持っているのです。
目がなくなってしまったルアーって、なんか釣れる気がしないんですよね。
魚から見たらコレが目だとは思ってないかも知れませんが、ルアーフィッシングはメンタル要素が大きく左右しがちな釣りなだけにこれは何とかして欲しいなと。
まぁ無くなっても貼り直せばいいんですけど、貼るならシールとかにした方が良いと思います。
なぜなが近年出回ってるリアル系の3Dアイを貼ったらキモい顔になっちゃったのでw
シリーズ4Sのフック
シリーズ4Sのフックは変則サイズの#3ショートシャンクを採用。
ちょっと前まで変則番手のフックはなかなか手に入りませんでしたが最近は国産もバリエーションが増えたので交換時に悩まなくてもよくなりましたね。
ちなみにシリーズ4Sの旧モデルはレギュラーシャンクが標準でした。
シリーズ4Sのネーム
しかし残念なのはネームがないこと。
これだけのキャンバスが用意されていながら名前が入ってないのは勿体無いの極致です😭
とはいえ全くネームがないルアーが全て残念というわけではありません。
なぜなら名前が分からないために中古屋で身元確認ができず、名称不明として捨て値で出ることも多くなるから。
実はこのシリーズ4Sに限らずストライクキングのルアーは捨て値率が高く、破格プライスで買えることが多いのです。
そう考えると、我々エンドユーザーにとってはネームがない方が良いのかもしれませんね😂
どこで買えるのか
しかし問題は入手方法。
釣れるルアーなのにこれを置いている店があまりないのです。
のんだくれは米国出張の際に買いだめしていたほど。
しかしそんなアングラーに救世主が現れました。
琵琶湖大津と横利根川に拠点を置くSDGマリンがXD以外のプロモデルシリーズも在庫してくれているんです。

しかも半端ないカラーバリエーションで。
さらに他店に比べて安い!
価格の秘密はSDGマリンの仕入れルートにあります。
SDG柏木社長の個人的付き合いによる Top to Top の話し合いで中間業者ナシのダイレクト入荷なのでコストが抑えられているのです。
一般的にストライクキングは海外業者との取引には指定中間業者を入れたがるブランドなんですが、SDGマリンとは直接取引しています。
つまり問屋などの中間業者を咬ませない分、コストが抑えられるというワケ。
さらに嬉しいところは、売れ筋ではないけれど実績のあるカラーをがっつり入れてくれていること。
あーこの色探してたー😭 的なヤツがめっちゃ有ります。
普通の店は売れそうなカラーだけをつまみ食い的に少量仕入れるだけですが、SDGマリンは明らかに売れ筋ではないマイナーカラーもドカンと在庫してくれてるので超安心。
こういうショップの存在はホント嬉しいですよね。
ルアーの通販はやっていないっぽいですが、あの圧倒的物量を見るだけでも眼福なので、ボートディーラーだからと構えてしまうのではなく、ちょっと勇気を出して店に踏み入れてみてください。
のんだくれは仕事でSDGマリンに行ったのに、その在庫量に仕事を忘れて買い物しまくりでしたw
あの店はマジでヤバいです。
良い1日だった てか、SDGマリンのルアーコーナーはっきり言って……やヴい……今日 カードスキャナー故障していてくれて ありがとうって 位……やヴい……だってさ XDが ¥880 税込なんだぜ!(ФωФ) pic.twitter.com/brQJlkOmdR
— レボおじさんデカハネGP2021参戦 (@revoojisan) November 7, 2021
まとめ
かつてはストライクキングの金看板を背負っていた名クランクだったので、性能は言うまでもなく実績も十分。
持っておいて絶対に損はないクランクベイトのひとつでしょう。
この強いウォブリングは早春のクランキングでも活躍するだろうし、今までのクランクローテーションに組み入れるだけでも違う世界が見えてくるかも。
特に国産クランクばっかり見てるバスには効果があると思うのでこの機会におひとついかが?