【徹底検証】”ベンドビルワート”は本当に駄作だったのか?20年経った今改めて検証してみた ウィグルワート Wiggle Wart / ストーム Rapala Storm

クランクベイトシャローダイバーストームルアーズ Storm Lures/Post-Rapala

 

 

鳴り物入りで登場するも、コレクターにもガチユーザーにも大不評だったラパラストームの初代ウィグルワート。

あまりの出来の悪さにラパラに直訴するユーザーが相次いだとも言われており、良くも悪くもラパラストームの知名度を世界的に上げることになった立役者のひとつです。

しかし本当に世界レベルのダメルアーだったのでしょうか。

そんな素朴なギモンを抱いたので旧ストームのウィグルワートとラパラストームの初代ウィグルワートを徹底的に比較してみました。

というわけで、今回の千一夜はいつもとは趣向を変えて新旧ワートの検証記事としてお送りします。

 



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そもそもラパラワートとは何ぞや

 

ラパラワートを解説する前にオリジナルのウィグルワートを理解しておかなければなりません。

 

歴史的ヒットとなったオリジナルモデル

 

ウィグルワートは1975年にストームマニュファクチャリングカンパニー(以下旧ストーム)が発売したクランクベイト。

のちに多くのトッププロが “Wart thing (ワート的な)” という言葉を多用する根源となったウィグルワートは、”ブルブルする不快なもの” というその名を体現するかのごとくバスの不快感を煽り、その結果輝かしい実績を挙げてきました。

ウィグルワートは今までにない形状のルアーとして1974年に特許を申請しましたが、認可されるまで実に4年の年月がかかっている事から、認可までの道のりには相当な苦労があったと想像されます。

 

 

その後、爆発的急成長の波に乗ったバスプロショップスの猛烈なプッシュもあり、80年代初めにはホッテントットに並ぶミリオンセラーとなり、以降旧ストームの屋台骨を支える商品となります。

 

 

 

しかし1990年代後半になると、旧ストーム創業者であるウィリアム&ゲイリーのストーム兄弟のリタイアメントによる会社の権利売却話が浮上します。

そこに手を挙げたのが当時のラパラ/ノーマークグループで、ストームは無事にラパラ傘下に移籍を果たします。

そしてラパラによってリメイクされたのがベンドビルワート(リップが曲がっている事からこう呼ばれている)、つまり初代ラパラワートだったのです。

 

あ、今思い出しましたが、以前どこかの記事でストーム創業者の ”ウィリアム”・ストームと書いたところ、”ビル・ストームの間違いではないか” と指摘を受けたことがありますが、ビルはウィリアムのニックネームなので同一人物です。

トーマスがトム、ケネスがケン、マシューがマットになるアレですね。

ラトルトラップで有名なビル・ルイスも本名はウィリアムですし、マンズベイトカンパニーのトム・マンの本名もウィリアム・トーマス・マンで、ごく近い友人からはビルと呼ばれていたようです。

 

 

トム・マンがファーストネームではなくあえてミドルネームから取ったニックネームを使っていたのは、彼のビジネスセンスによるものだと言われています。

つまり商売上の ”芸名” としては、ビルよりもトムの方が響きが良く覚えやすかったからなのではないかと。

それを裏付けるかのように、トムの奥さんでマンズの副社長でもあったナンシー・マンは仕事上ではアン・マン Ann Mann を名乗り、親戚?兄弟?でマーケティングディレクターだったロバート・マンもビジネス上はロブ・マン Rob Mann を名乗るなどニックネームで統一されていました。

そして釣具カタログとしては珍しく、”あなたのビジネスをサポートするスタッフ” として主要スタッフの顔写真も載せていました。

生前のトム・マンを知る友人曰く、彼は稀に見る ”人たらし” だったとの事なので、こういったエピソードからもそれが伺えますね。

なのでストームもそれに倣ってニックネームで通していたのではないかと。



 

鳴り物入りのはずがブーイングの嵐に

 

さてさて話を元に戻しましょう。

そんな過程を経て1999年にラパラからリリースされた新生ウィグルワートでしたが、その評価は惨憺たるものでした。

製造の効率化を重視し、リップを替える事によりサブサーフェス/ミッド/レギュラー/ディープの4タイプで展開出来る仕様にしたのが仇となったのです。

 

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今となって見てみれば、それぞれのルアーの性能は決して劣っていると言うことはなく、むしろ高評価に値するものもありますが、旧ストームファンからは猛烈なブーイングを受ける事に。

おそらく従来のユーザーの目には、予想をはるかに上回る ”改良” が、旧ストームが築き上げてきた歴史とクラフトマンシップを台無しにしたと映ったんでしょうね。

当時のんだくれも失望したユーザーの一人(ワートではなくチャグバグの方でw)でしたが、その時のラパラに対する不信感は相当なものでした。

そんな不信感が影響したのかセールスも思うように伸びず、早い段階で生産を終了してしまったのです。

 

初代ラパラワートのサイズ・重さ

 

初代ラパラワートのサイズは50ミリ、11.7g。

各部の仕様は違えど、旧ストームのウィグルワートとほぼ同じサイズで設計されています。

 

 

しかしいくら似せて作ったとしても、仕様が変われば性格が変わってしまうのはルアーの常、このルアーもその掟に逆らえませんでした。

 

新旧ウィグルワートの相違点

 

最も大きな違いは先述の通りやはり差し込み式のリップを採用している事でしょう。

この方式を採用したが故に、のちに名品と呼ばれるサブワートが誕生した事実はあるにせよ、一体化リップを見慣れていた旧ストームファンにとってこれは受け入れ難い仕様変更でした。

 

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サブサーフェスからディープまで4種類のリップを差し替える互換性のため、リップはそれぞれの角度に曲げられたものを採用しており、これがベンドビルワートの名称の由来となっています。

旧ストームと比較するとリップ角度は初代ラパラワートの方が大きくスラントしていることがわかります。

 

 

そしてそのリップ形状も根本の部分の幅など、微妙に違っていることがわかります。

 

 

もちろんボディもリップ同様に微妙にサイズが変わっており、横幅ではラパラワートの方がコンマ5ミリ広く、逆に高さではコンマ3ミリ低くなっているなど、ボディ断面がやや扁平に近くなっています。

そんな物理上の違いを押さえた上でアクションを見ると色々なことが見えて来るのです。

 

アクションの違い

 

まず最初に、アクションを比較するためには条件を揃えておく必要があります。

よって、ここでは旧ウィグルワートの中でも評価の高い1985年前後の不透明プラ素材のモデルを使用します。

 

 

この時期のモデルは透明プラのモデルと比較して重量が軽いためにアクションレスポンスが高く、ラトルのトーンも安定して高いのです。

参考まで両者のウェイトは上が10.9g、透明プラの方は11.4gです。

さらにフックも#4のショートシャンクで統一。

初期のウィグルワートには#6サイズのフックが装着されていましたがアクションの違いを見極めるため#4で比較し、使用ラインはナイロンの16ポンドとします。

 

立ち上がりが早いのはラパラワート

 

まずアクションの立ち上がりが早いのはラパラワートの方です。

そして急角度で先行するのもやはりラパラワート。

リップの角度が旧ウィグルワートに比べて立っているのでこれは想定内ですが、旧ウィグルワートでも遅いと感じることは決してなく、あくまでも両者を比べた場合の話。

泳ぎは両者とも強いウォブリングで水を攪拌する動きですが、よーく見比べてみると、ラパラワートの方がリトリーブ軌道が左右に振れる、いわゆる千鳥アクションがややマイルドな印象。

おそらくこれがブーイングの嵐になった最大の原因でしょう。

しかしラパラワートが千鳥らないかというと決してそうでもなく、その違いはかなり注意深く見ないとわからないレベル。

千鳥るとか暴れるアクションという点では、旧ウィグルワートよりもコットンコーデルのウィグルオーや13フィッシングのゴルディートの方が上ではないかと。

 

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ウィグルオーはリップの面積こそ小さいものの、表の凹アールがワートよりも深いのが利いてますね。

とはいえこれはラインの太さなどタックルセッティングによっても左右されると思うので、セッティング次第では違いがわからないケースも考えられます。

 

そしてもうひとつの違いは浮力です。

0.9gのウェイト差は思いのほか大きく、ラパラワートの浮力はどちらかというと弱め。

逆にリトリーブを止めると浮上するまでに一瞬の間が生まれるので、早いルアーを追いきれない早春には当てて止めるメソッドの効果を最大限に引き出す事ができるのではないかと。

この浮力の弱さはスプロのロックスター RkStar に近いものがあります。

 

 

ロックスターは汽水域での使用を想定してロッククローラーよりも比重を重く設定してあるのですが、初代ラパラワートはそのセッティングに非常に似ているのです。

 

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ラトル音でもラパラワートに軍配が

 

そしてクランカーとしては泳ぎの次に気になるラトル音ですが、これは圧倒的にラパラワートの方が大きくかつ甲高いサウンドを発します。

音を文字にするのは非常に難しいのですが、あえて表現するならば旧ウィグルワートがややこもったカタカタ音なのに対し、ラパラワートは高いカラカラ音に低音のゴロゴロが混じったマルチサウンド。

これはCA Prop 65の規制(詳しくはオリジナルウィグルワートの記事参照)によって鉛ウェイトが使えなくなり、スチールボールを採用している事も大きな理由ですが、それ以外にもラトルチャンバーの構造にも理由があると思われます。

つまりチャンバーの壁の厚さや内部にヒットポイントを作るなどピアノの調律と同じように共鳴を織り込んだ設計がされているのではないかと。

 

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って、書いておきながら実は偶然の産物だったりしたら大笑いですがw

 

カラーはやはりグリーンクローダッド

 

ラパラワートのアドバンテージはカラーにも及びます、

ウィグルワートの鉄板色、グリーンクローダッドもこの通りの緻密さで気合いが感じられます。

現行のオリジナルウィグルワートのカラーチャートにもグリーンクローダッドがラインナップしていますが、それはいかにも合理化しました候なパターンで、ここまでの細かい表現がされていないのが残念です。

やれば出来るのにやらないという典型ですね。

 

 

フックは#4サイズを採用

 

フックは前後とも#4サイズのショートシャンクを採用。

前後フックハンガーの距離が近いのでショートシャンクでないとフックが干渉しまくって釣りになりません。

遠い昔、黄色でウィグルワートが投げ売りされていた時代は、リアのフックを外したシングルフッカー仕様にして際どいスポットにブチ込んだりしていましたが、もう今はそんな恐ろしいコトをする勇気はありませんw

 

ネームはイナズマ無しの初期ロゴ

 

ネームはリップにストームの刻印のみ。

しかしそのロゴは ‘O’ を貫くイナズマがない初期ロゴになっている点にご注目。

それがどうしたと言われたら返す言葉はありませんがw

 

 

でもわがままを言わせてもらえば、せっかく画期的なリップシステムを採用したんだからネームにもちょっとは気を遣って欲しかったですね。

だってハラなんかこの通りまっさらですよ。

こんなキャンバスがあるのに何も入れないなんてどーかしてますよね。

 

初代ラパラワートの入手方法

 

20年も前に生産が終わっているルアーなので、入手は中古市場に限られます。

しかし意外と出物は多く、相場的にもリーズナブルなので入手に苦労することはないでしょう。

こういうことを書くと、中古でも1,000円とかするんでしょ?という声が返ってきますが、その金額が高いか安いかはともかく、本格的に手に入らなくなったらみんな2,000円とかでもポチるんだから手に入るうちにゲットしておいた方が精神的満足度は高くなることをお忘れなく。

ほとんどの場合、”あん時買っときゃ良かったー😭” な状況を作り出しているのは自分自身なんですから😁

 

結論は ”言われているほど悪くない”

 

ガチ比較を目的として久しぶりに両者を投げ比べてみた結論としては、”ラパラワートは世間で言われているほど悪くない” です。

いや、ラトルサウンドの高さや浮力の弱さはむしろ旧ワートよりもずっと使えるのではないかと。

ちょっと違うかもしれませんが、これってオリザラの評価、3rdと呼ばれるソリザラと現行ザラの評価が分かれるのにちょっと似てますよね。

オールド派はスロー&ステディなスタイルで使う事が多いので水押しが強いと言われている比重が重いソリザラを好むのに対し、実釣派はペースの早いノンストップドッグウォークで使う事が多いので軽快な動きの現行の方を好むなど、意見が割れるのに似てるなと。

 

 

要するに使い所の違いなんですよね。

それにノスタルジー系の感情的要素や釣ったという成功体験が加味されるので ”あっちの方が絶対にイイ!” ってなっちゃう。

趣味の世界だからこだわりはあって然りなんだけど、特にこだわりを持ってないアングラーがSNSなどを介してそういった発信を見ると、自身で検証をしたわけでもないのにそれを鵜呑みにしちゃう。

そして受け売りでそれをSNSとかで流しちゃうことによってイメージが出来上がるんだろうなと。

もちろん人によって受け止め方はさまざま。

全てがそうではないけれど、世の中でイマイチと言われているルアーを投げ込んでみると意外と良かったりする事が多いので、割と的を射てるんじゃないかと。

そう思うと、人の意見に左右されない確固たる信念を持つのって改めてムズカシイ事だなと。



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ルアー千一夜
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