アラシ ラトリンウェイククランク Arashi Rattlin Wake / ストーム Storm

 

ラパラ傘下に入った直後にストームが行ったストームファンへの配慮に欠けた商品改良は、予想以上のブーイングを巻き起こしました。

あれはあれでなかなか良く出来たルアーでしたが、オリジナルモデルの名前だけを借りた全く別モノの登場に旧来のストームファンは怒り狂い、新生ストームは船出早々に “史上最悪の改悪” のレッテルを貼られてしまいます。

その後、ラパラストームはオリジナルモデルに忠実なその名も”オリジナルシリーズ”をリリースする事で、かろうじて面目を保てたという感じでしたね。

 



 

 

しかしその後のストームブランドは細々と新商品を発表するものの、これだ!というブレイクスルーがないまま時だけが過ぎてゆきました。

そんな中、起死回生の一発として2014年に狼煙を上げたのが、エリートプロ、ブランドン パラニュークを大フィーチャーしたアラシシリーズでした。

このシリーズは大きなブレイクこそないものの、ガチ使いのクランカーからも高い評価を得るなど人気があり、のんだくれの大好物でもあります。

今日はその中からラトリンウェイククランクを紹介しましょう。

 

 

多くのブランドから無数のクランクがリリースされていて、ただでさえ戦国時代状態のクランクベイトマーケットにストームが新商品を投入すると聞けば、嫌でも期待は高まります。

そりゃそうですよ。

昔の失敗がありますから、あの教訓は忘れてないよね?と誰もが思っちゃいますもん。

 



 

 

そんなアゲインスト吹き荒れる中、アラシ シリーズは、スクエアビル、フラットサイド、ダイビングモデルと守備レンジを拡大し続け、満を持してサーフェスの土俵にこのウェイクを送り込んできたのです。

結論から言うとこのクランク、”ある一点を除いては” 超オススメのウェイクベイトです。

その一点は後々説明するとして、まずはこのクランクのスゴいところを紹介しましょう。

 

 

このクランクの最大の特徴は、アラシシリーズ共通のセルフチューニングアイを持っている事。

これはラインアイをあえて固定せずにフリーにする事でルアー自らがバランスセンタリングしながら泳ぐシステムで、少しテイストは違いますが、古くはマンズが導入していた事でも知られています。

 



 

 

つまり、クランクベイトフィッシングには必要不可欠なラインアイのチューニングが不要になるというものです。

確かに何もしない状態でも偏って泳ぐ事はないので、このシステムは間違いなく作用していますね。

 

 

しかし単にまっすぐ泳ぐだけで戦国時代を生き抜けるほど甘くないのがクランクベイトの世界。

アラシウェイクは、サーキットボードリップのキレとセルフセンタリング機能のコンビーネーションワークにより、強い水流をうまく左右へ受け流して非常に強いローリングを生み出すことに成功しています。

今までありとあらゆるウェイクベイトを投げてきましたが、このロールアクションの大きさはなかなかのもの。

のんだくれ的にロールアクションが最も大きなクランクはマンズのベイビーワンマイナスだと思っていますが、このウェイククランクはそれに匹敵する強さです。

やはりこれはアラシの他のシリーズよりも大幅にボディ体積を増やして浮力アップさせたのも効いているんでしょうね。

さらにこのクランクは巻きスピードによっては、何もしなくてもリトリーブ軌道が蛇行する、いわゆる千鳥る状態になります。

千鳥足アクションにどれほどバスを寄せるパワーがあるのか少々疑問なところはありますが、それでもこのクランクの特徴の一つであることは間違いありません。

 



 

 

ボディにはその強いローリングアクションをさらに強化する仕掛けが隠されています。

一見ファットに見えるボディですが、実はボディサイドが少しだけフラットになっているんです。

ファットクランクとフラットサイドクランクの特性の違いは説明しなくても皆さんご存知ですよね?

ファットボディにフラットサイドの要素を取り込むことで、ローリングアクションの効果をより引き出そうという狙いです。

事実このウェイククランクをスローに巻くと、ボディの周りにいくつもの小さな渦巻きができるのが見えるので、フラットサイド効果は確かにあるのではないかと。

 

 

そんなフラットサイド効果をさらに強化するのがこのボディエンドに配されたグルーヴ(溝)です。

大きくロールしながらテールを振る動きを無駄なくヴォルテックスに変換しようとする開発陣のヤル気が伝わってきますね。

この溝を粘土で埋めてしまうとノーマルとどんな違いが出るのかを何度かやってみましたが、まだ強い水流に耐えられる粘土wが見つかっておらず、未だ実証ならず。

いつか結果が出たらまた報告します。

 



 

 

そんな強いローリングアクションを支えているのが、独自のウェイトシステムです。

画像では見難いのですが、超ロープロファイルの専用設計ウェイトが設置されているのが分かります。

このウェイトの厚みは目測で約2.5mm。

 

 

そして”ラトリン”の看板となっているラトルボールは、一番振り幅の大きなテール部に設置されたラトルチャンバーに納められています。

ラトルマニア(そんな人がいるかどうは知りませんがw)が見たら、このラトルボールの移動幅がどれほどのサウンドと衝撃波を出すのか大体分かりますよね?

これはのんだくれの勝手な推察ですが、一般的なクランクベイトよりも後ろに重心を置くことで、リトリーブして前傾姿勢になった時にラインアイからラトルボールまでウェイトが一直線上に並ぶことでロールアクションが出やすくしてるんじゃないかと。

まあこればっかりはデザイナーに聞かないと分かりませんけどね。

 



 

 

考え抜かれているのはボディだけではありません。

前後ともフックハンガーをロテート、つまり捻って横アイにしています。

これは単に前後のフック同士が絡まないというだけでなく、ボディアクションにつられてフックが大きく振られるのを抑える効果があり、フックのブレを少なくしてフックアップ率を上げるのに役立っています。

激釣れクランクの名品・ダイワのT.D.クランクのフロントフックがほとんどブレないのでフックアップ率が高いと言われているのは皆さんご存知ですよね?

アレと同じ理論を採用してるんです。

 

 

…と、ここまで読むとイイ事づくしのクランクじゃん!と思いがちですが、実はコイツにもちょっと欠点があるんです。

それはファーストリトリーブに弱い事。

ストームのサイトやYouTube動画では、スローからスーパーファーストまで対応すると謳っていますが、実は速巻きの安定性はあまり高くありません。
(余談ですがこのYouTube動画はこのウェイククランクの一番美味しいリトリーブスピードでのアクションが収められていません。せっかくの動画なのにもったいないなー)

ミッド〜ややファーストぐらいの速度であれば大きな引き波とともに手元にもしっかりとした手応えを投げかけてくれるんですが、いわゆるバーニングレベルの速巻きになると途端にバランスを崩してトビウオになっちゃうんです。

これはちょっと看板に偽りありと言わざるを得ません。

速巻きの定義は人それぞれなので一概には言えませんが、他のウェイクベイトなら普通に泳ぎ切るような速度でもあっさりと破綻してしまうのはちょっといだだけないなと。

のんだくれが思うに、それはおそらくセルフチューンシステムの限界なのではないかと。

そもそも千鳥足アクション自体がバランスの不安定さから来るものなので、それを言い出すとセルフチューンシステムを否定することになりますが、アラシの他のモデルはファーストでもしっかり泳いでくれるので、多分リップとセルフチューンシステムのバランスが詰め切れていないか、そもそもウェイクベイトとの相性の問題なんだろうなと。

とはいえ、ミッドスピードでのアクションと引き波は他のウェイクベイトを凌駕するので、早い話、バーニングで使わなきゃイイだけの話です。

要するに適材適所ってヤツですね。

もしどうしてもこれを速巻きで使いたいなら、テールにスタビライザーとなるフェザーフックを装着すればややウォブリングパワーは落ちるもののワイルドスピード仕様になりますので、ヴィンディーゼルになりたい方は是非。

 



 

 

そんなナイスなウェイククランクですが、イマイチ入手しづらいのが難点。

発売からすでに6年経っているモデルである事と、一時期タックルベリーなどの中古釣具販売店に大量に出回った事で売れ残り商品イメージがついてしまったので、既存のショップが新たな在庫として入荷させる事はほぼ無いと思われます。

なので、このウェイクは見つけたら例え定価であってもマストバイ案件。

このポストを読んで、”あのラインを大きな引き波でトレースしたらイケそうだな…” などと妄想しちゃった人には特にオススメ。

10月も後半に突入し、紅葉の声もちらほら届くようになった今だからこそ、このウェイククランクはシャローのやる気バスを仕留めるツールとして生きてきますぞ。