何のしがらみもなく、目についたルアーからどんどん記事にしているこのブログですが、中には紹介するのを躊躇ってしまうルアーも少なからずあります。
これ紹介したらまた手に入りづらくなるなーと私欲が蠢いてしまうのがその理由ですが、それは読者の皆さんも同じようで、頼むからアレだけは紹介しないで!と懇願されることもしばしば。
でもそう言われると余計に出したくなってしまうのがのんだくれの悪い癖w、その人がスマホ片手に絶望する姿を見たいがために書くことにしました。
ということで今回の千一夜は反則中の反則ルアー、スミスウィックのトゥースピックです。
結論から言うと、このルアーの釣れっぷりは半端ないです。
良く釣れるルアーのことをエサと称したりしますが、このトゥースピックはエサとかの次元を超越してます。
仲間内ではこれを使ったら非難GOGO!になるだけでなく、姑息な卑怯者として永遠にディスられます笑
そのぐらい破壊力のあるルアーなのです。
トゥースピックは “爪楊枝” の名前が示す通り、69ミリ 6.5gのスリムなペンシルベイト。
今のルアーと比較すると激しくショボい外見ゆえ、釣れそうなオーラは全く感じられません。
しかも素材がウッドなのでちょっと使うだけで塗装が割れてボロボロになり、破壊力を知らないアングラーなら中古屋のハンガーにぶら下がっててもスルーするのは必至。
しかーし! ”内面を見る眼を持つアングラーだけに微笑んでくれる” という爆釣の女神のルールを地でいくルアーなのです。
このルアーの最大の特徴は垂直浮きであること。
垂直浮きのルアーなら世の中に溢れかえってるでしょ!と言われそうですが、このルアーはそれらのルアーにはない強みがあるんです。
それはこの爪楊枝サイズならではの、小さな小さなポップ音。
いや、ポップ音と表現することすら気が引けるような小さな飛沫音がこのルアーのウリなのです。
垂直浮きの状態から軽くチョンとやると、小さな飛沫を出しながら軽くダイブしてすぐ水面に戻るのですが、たったこれだけの挙動でバスがもんどり打って飛び出してくるんです。
しかもこのトゥースピックがスゴいのは、他のルアーが沈黙した時に威力を発揮するところ。
アングラーお得意の後付け理論wを振り回せば、水面での姿勢が弱った小魚に似てるとか、飛沫音がスイッチを入れるとかいろんな理屈をこねることはできますが、そんな浅い理論だけでは説明できないほど反応がイイ。
しかもこんなスリム体型なのに、その気になれば早巻きでスラッシャーとしても使える芸達者ぶり。
恐ろしいルアーですよ、このトゥースピックは。
そんなトゥースピックのアクションを司る心臓部が、テールにリグられたこのウェイトボール。
ウェイトをボディ内部に納めたルアーを見慣れた目には眉をひそめたくなるようなアグリーっぷりですが、トゥースピックはこのウェイトなしでは成立しません。
この絶妙なサイズのウェイトボールがこの位置でしっかりと肝を据えていてくれることで、ケツがブレずに綺麗なダイブをしてくれるんです。
そしてボディの最後端に重心を設置することでキャスタビリティも飛躍的に向上し、たった6.5gしかないにも関わらず、ベイトタックルでもストレスなく投げられます。
このウェイトありきでボディサイズが決められたのか、それともその逆パターンなのかは分かりませんが、この爪楊枝ボディとの相性はまさにシンデレラフィット。
そのぐらいのパーフェクトマッチングなんです。
ちなみにスミスウィックには同じようなウェイト構造を持つダンサーというルアーもありますが、これはこれで全く違った味付けになっているので、いつか機会があったら記事として紹介しましょう。
しかしこのトゥースピック、ただ釣れるだけではないんです。
見てくださいよ、ヲタ悶絶必至のこの中途半端なナチュラルプリントを😁
スタンプがズレてプリントがボケちゃってるだけでなく、プリントとの整合感を全く無視したスミスウィックアイがシビれます。
しかも目のイエローを入れた後に吊るして乾燥したんだろうなと当時の状況が想像できるグラデーション。
エアブラシでシュッシュッと済ませてしまう今のルアーにはない手塗り感は貴重ですよね。
でも謎なのは、スミスウィックのルアーの中でこのトゥースピックだけ目玉の位置が下になっていること。
先述のダンサーは普通のスミスウィックアイなのに、なんでこれだけが目玉が後ろ向きになってるんでしょうか。
水面静止時に目玉が水中に入るようになってるのかとも思いましたが、正解は未だ見つからず。
このアイの秘密についてどなたかご存知の人がいたら是非ご連絡を。
フックはイーグルクローのカドミウムフックをスミスウィック伝統?の細めのサーフェスリグで留めています。
このルアーはコレクション用なのでフックをオリジナルのまま残してますが、イーグルクローのカドミウムは割と簡単にポリッと折れてしまうので、実戦で配備するなら交換した方がベター。
でも普通のフックに交換すると雰囲気が全然変わっちゃうので、ヲタ的には気が引けるところですけどね。
フックといえば、このトゥースピックはリアの方がワンサイズ大きなフックが装着されています。
これは前の方にかかる重心を減らしたかったからなのか、それとも浮力調整のためこうなっているのか、真相は謎。
40年以上も前の海外ルアーに隠された秘密を解くのは 11 x 11 のルービックキューブの目を揃えるぐらいムズカシイ事なのです。
ネームを軽んじるスミスウィック家のルールに則って、このトゥースピックのネームも激薄インクによるスタンプで霞んでいます。
しかも思いっきりリグに被ってるという虐げられっぷり😭
これは訴えてもいいレベルですよね。
ここでのんだくれが気になるのはトゥースピックという名前で ®️ 登録商標を取っていること。
どこにでもある爪楊枝という名前でわざわざレジスターを取ったということは、スミスウィックがコピー商品を恐れていた?
確かに誰にでもマネできるシンプル形状&構造だし、トゥースピックに激似のバスバフラー Bass Buffler なるルアーをかのサムグリフィンが出していたのも事実。
この登録商標もスミスウィックの謎のひとつなんですよねー
かつては日本国内でも普通に販売されていたルアーですが、外見のシンプルさゆえあまりツリビトの琴線に触れなかったらしく、中古でもなかなか出てこないという絶滅危惧種。
でももしどこかで出会うことがあったら、多少予算オーバーでも死ぬ気で獲りに行ってください。
そのぐらい釣れるルアーなんです。
そして、その手に入れたルアーを参考にして、現代にトゥースピックを蘇らせて欲しいんです。
だって壊滅的に釣れるルアーなのに、このサイズ&形状&構造のルアーは今どのメーカーからも出てないんですよ?
供給されるようになれば、あのオーバーハングの奥にも躊躇なく投げられるようになるんです!😁
悪魔的に釣れるルアーを作ったことで周りから卑怯者呼ばわりされる事になってものんだくれは責任取りませんけど😂