アングラーの操作次第で多彩なサウンドが楽しめるポッパー/チャガーの秀作 KVDスプラッシュJr. KVD Splash Jr. / ストライクキング Strike King

ストライクキング Strikekingトップウォーターポッパー•チャガー

ルアーには ”最終形” と呼ばれているカタチがあります。

ルアーの特性や機能を突き詰めていくと、最終的に似たカタチになることからそう呼ばれており、ペンシルベイトでいうところのオリジナルザラスプークやリップレスクランクでいうところのラトルトラップ、ノイジーでいうところのジタバグがその代表例として知られています。

実はこの最終形というデザインは各メーカーにとって、機能面だけでなくマーケティング的にも外せないカタチ。

ルアーの外見を見ただけで性能がある程度判別できるというのは、販売する上で大きなメリットになるからです。

よって最終形としての基本を抑えつつ、オリジナリティを主張するのがメーカーのウデの見せ所。

今日紹介するKVDスプラッシュJr.は、その辺りを巧みに展開して成功したポッパーの ”最終形” のひとつです。

KVDスプラッシュJr.とは

KVDスプラッシュJr. はご存じ機動戦士ヴァンダムシリーズのポッパー担当として2013年にリリースされました。

元々ストライクキングにはスピッティンキング Spit-N-King というポッパーがラインナップしていましたが、スピッティンキングはいわゆる ”最終形” とは少し違うアプローチだったため、KVDの冠を載せた定番ポッパーを投入してきたのです。

KVDスプラッシュJr. は、既にポッパー市場を席巻していたリコ Rico(日本でいうところのマイケル)やイエローマジックのまんま。

最終形と言われるレベルになると、多くの会社が同様の形状のものを出してくるのでコピーだのパクっただのと非難される心配が無くなり、メーカー側も心置きなくパクることができますw

しかしその反面、先発組と互角に戦えるだけの強い ”何か” が必要であり、マネしたからといってセールスが伸びるわけでもないのがビジネス的にムズカシイところでもあります。

KVDスプラッシュJr.のサイズ・重さ

KVDスプラッシュJr. のサイズは58ミリ、6.9g。

68ミリのオリジナルサイズも同時にリリースされました。

オリジナルはオリジナルで良く出来たルアーですが、音と飛沫で食わせるなら圧倒的にJr.サイズがオススメです。

KVDスプラッシュJr.の特徴

KVDスプラッシュJr. は上顎が前に突き出したカップがウリ。

その名に恥じない飛沫とサウンドを撒き散らします。

さらに内部にはフィーディング状態の小魚が出すカチカチ音を再現すべく、軽いサウンドで響くラトルを内蔵するというダブルのサウンド構成。

カップ形状は縦に長い楕円形とすることで、ワイドなカップを持つスピッティンキングとの違いを明確にしています。

ちなみにスピッティンキングも良いルアーでしたが、数年間KVDと併売されるも最終的に生産を終えてしまいました。

やはりKVDの名前には勝てなかったんでしょうねw

KVDスプラッシュJr.のアクション

運動性能は可もなく不可もなく

ぶっちゃけアクションについては突出した要素は見当たらず。

ライバルとされるポッパーと比べたら可もなく不可もなくといったところでしょう。

ショートタグでは軽くダイブするし、首振りの機敏性も過不足ないレベル。

浮力バランスも詰めてあるので、マシンガンポッピングにもしっかり追従する安定性を見せてくれます。

そもそもライバル達が高水準なので、肩を並べるだけでも十分なレベルに達していると思わないといけませんw

スプラッシュは細かい飛沫を広範囲に撒き散らすいうよりは、水のカタマリを飛ばすという感じなので、どちらかといえばスピットに近いかも。

まあこの辺りはスプラッシュとスピットの定義次第というか、使い手の好みや受け止め方の違いでしょうね。

動きに関しては良くも悪くも定番のポッパーですが、それだけに安心して買える商品であるとも言えます。

そのサイズゆえキャスタビリティにはやや難ありですが、そもそもJr.サイズの役目は中〜近距離のバスを動きや音で誘う事なので全くのモウマンタイ。

遠くに飛ばしたければオリジナルサイズを使えばイイのです。

特筆すべきはポップサウンド

しかし平均点なのは動きだけで、ポップサウンドは別格。

実はこのKVDスプラッシュJr. 、めちゃくちゃイイ音を鳴らすのです。

ぺチッという小さな破裂音からボトムにまで響き渡るような重いチャグサウンドまで入力次第でいろんな音が楽しめるよう調律されています。

その中でも特にオキニなのは、ストローク気味のショートタグで出せる ”ポフッ!” という音。

ボワンでもなく、ドゥーン!でもない弱々しいポップ音が、めちゃくちゃ美味しそうなのです。

ニンゲンが良いと思うサウンドが釣れるかどうかは置いといて、この音を聞きたいがためにKVDスプラッシュJr. を投げるほどw

英語でポップ音を表す擬音にブループ Bloop というのがあり、KVDスプラッシュのプロモーションにもそのワードが使われていますが、そのシンプルな字面には収まりきらない多彩なサウンドが楽しめるのです。

ストライクキングがこのポップサウンドにどの程度の熱意を注いだのかはわかりませんが、KVDフロッグが割と早い時点で消えてしまったように彼の名前が持つ訴求力だけでは弱いので、おそらくこれがこのルアーのオリジナリティなんだろうなと。

KVDスプラッシュJr.のカラー

ストライクキングだけあってカラーバリエーションが多いのもKVDスプラッシュのウリのひとつ。

KVDスクエアビルほどではないにせよ、クリアからマディまであらゆる水質や光線量に応じたカラーが選べます。

その中で特にオススメなのがこのオイスターカラー。

あちこちのポストで書いてるので、またかよと言われそうですがw、状況を選ばないオールマイティさとその威力ではセクシーシャッドを凌ぐと信じています。

 

 

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個人的にはこのオイスター以外に、ジンクリアのボディを持った ”ヌード” を押さえておけば他のカラーは要らんとさえ思ってますw

 

フックは#4サイズのファインワイヤーを採用

フックは前後とも#4サイズを採用していますが、フックによっては喫水線が変わり、ポップ音も変わってくるのでフック交換の際には重量にも配慮したいところ。

そういう意味ではスナップ使用も音に影響します。

テールのフェザーは他社ポッパーに比べるとやや少なめですが、これは首振りレスポンスと高速ポッピング時の安定性を考慮した最大公約数なんでしょう。

しっかりと赤スレッドで固められていて、長く使っても解けないところもポイント高し。

ネームプリントがないのがストライクキングの証?

しかし残念なのは他のストライクキングルアー同様、ネームプリントがないところ。

これだけ良いルアーなのに、ネームがないのは超ザンネンとしか言いようがありません。

まるで ”ネームなしでもウチのルアーって分かるから要らなくね?” とストライクキングのドヤ顔を見せつけられているようですw

ストライクキングほどのブランドになると生産量はハンパないので、ネーム入れの一工程が減るだけで相当なコストダウンになるのは理解できますが、思い入れ要素が減っちゃうのはツラいもんがありますね。

米人は日本人ほどルアーに対する思い入れが無いので、ルアーにネームを入れないのは国民性の観点からも仕方ないことかもしれませんが、近年米国でも中古ルアーを扱う店が増えてきてきるので、二次市場で知名度を上げるという意味でも再考して欲しいもんです。(誰目線?!)

おわりに

近年日本のトップウォーターはハネモノに代表されるタダ巻き系が席巻していて、ポッパーなどのステーショナリーベイト(=Stationary Bait/一点で止めて誘えるルアーの総称。文房具のステーショナリー Stationeryとはスペルが違う)の存在感が薄くなっています。

もしかしたら日本ではポッパーはペンシルベイトと並んで絶滅の危機に瀕してるかもしれません。

しかし音で引き付けてポーズで食わせるポッパーは、タダ巻き系とは別次元の破壊力を持っているだけに絶対に忘れて欲しくないルアーでもあります。

自身の間合いで食わせるという駆け引きの醍醐味も味わえますしね。

昔とはフィールドの状況が変わってきておりポッパーが通用しないケースも増えてると思いますが、魚の本質的なところは変わらないので、最近ポップ音出してないなーという人は久々に間合いで勝負を挑んでみては?

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