ロングビルスポット / コットンコーデル

はじめに

このロングビルスポットの記事リライトをするにあたり、以前の記事を読み返してみたんですが、これがまあ酷いったらありゃしない。

何が言いたいのか分からないのは言うに及ばず、ゴミだのアメリカ人の考える事はワカランだの、このルアーの事をボロクソにこき下ろしてるだけの文章で、自分で書いたにも関わらず読んでて怒りがこみ上げて来るほど。

そもそもルアーや製作者に対するリスペクトが微塵も感じられなかったので、今回はもう一度ルアーとちゃんと向き合って、リライトではなく全部最初から書き上げてみようかと。

なのでちょっと長くなりますがお付き合いくださいませ。

 

 

このロングビルスポットが登場したのは1980年代中頃、確か84年ぐらいだったと記憶しています。

バイブレーションプラグ(当時はリップレスクランクだなんて誰も言ってなかった)の名品スポットにリップが付いた!という見た目のインパクトが先行してしまって、当初から割とキワモノ寄りのカテゴリーに振り分けられていました。

 

 

のんだくれもその話題性から一応買いはしたものの、代打指名することすらせず、一軍ボックスから二軍、そしてストック用ボックスへとそのポジションを落としていくなど、真剣に実戦起用するなど考えもしませんでした。

しかーし!

今回記事を書くにあたりあらゆる状況で投げ込んでみたところ、実はなかなかのヤリ手クランクであることが分かったのです。

 

 

まず何と言ってもこのヘッドからまっすぐに伸びたリップですよね。

なんかこういうノーズを持った恐竜がいた様な気がしますが、この特徴がロングビルスポットの最大の長所であり最大の欠点でもあります。

このロングビルスポットが登場した時、すでにコーデルのスポットシリーズはサイズバリエーションはもちろん、フローティング、シンキング、サスペンドの浮沈設定、そしてトップウォーター用などなど、あらゆるラインナップが揃った一大ファミリーとなっていました。

しかもそのどれもが基本形であるバイブレーションプラグの域を出ない、いや、出ることが出来ないまま終わっていました。

 

 

よって、このロングビルスポットが登場した時も、とりあえずフローティングにしてリップ付けちゃえ!的な苦し紛れのにほひを勝手に感じ取ってしまっていたのです。

しかしこのロングビルは苦し紛れどころか、従来のスポットとは全く違う、スゲーやつだったのです。

 

サイズはご覧の通り。

リップがあるので大きく見えますが、ボディのみでは一般的なリップレスクランクと同じ3インチ、75mmです。

ウェイトはフローティングなのでレギュラーのスポットよりもやや軽い3/8オンス。

 

 

これが水に入ると、こんな感じでご主人様からの命令を待ちます。

そして肝心のアクションですが… このアクションこそがロングビルスポットのキモだったんです。

実はこのロングビル君、いわゆるリップ系のウォブルアクションではなく、リップレスクランクのタイトなローリングアクション。

前に突き出したリップに支点があるので、リップレスクランクと全く同じとは言えませんが、間違いなくスポット家の血筋を引いた動きなのです。

つまり、単にリップをつけただけの派生モデルではなく、リップがないと攻めにくいスポットを ”リップレスクランクの動き” で攻略するために開発されたモデルだったのです。

 

 

パラ葦やリップラップなど、リップレスクランクを巻くとヘッドががっちりハマってスタックしまうような状況でも、このリップがバンパーとなるのでスムーズにクリアできる設計なのです。

そういたスポットで使いやすくする為のフローティング仕様であり、ほんの少しだけウォブリングに寄せたセッティングになっていたのです。

当時はそんなことにも気づかず、B級だの意味わからんだのボロクソに言ってましたが、天下のコットンコーデルは、のんだくれのような凡人には分からないディープなところまでよーーーく考え抜いていたのです。

恐るべしコーデル。

 

 

幅18mmの極細リップが障害物を感知し、岩などの間にボディががっちりとハマってしまうというリップレスクランクの弱点を克服するというコンセプトがこの画像からも何となく理解できますね。

リップの無いオリジナルスポットが苦手とするフォワードロール、つまり正面でんぐり返しもこのリップならば難なくこなせるでしょう。

 

 

そんなスゲー技の持ち主だったのかと思うと、この怪しい光を放つGフィルムもなんだか愛おしく見えてしまいます😁

このGフィルムは80年代プラドコを代表するフィニッシュのひとつで、超マイクロビーズ入りの塗装皮膜、Gフィニッシュの次に登場したインサートフィルムです。

光の入射角によって反射板となったり、トランスパレント(透過)化したりと、当時としては画期的な技術でした。

これはのんだくれの勝手な想像ですが、このフィルムの技術はおそらく3Mかデュポンが当時のプラスチックリサーチ社(プラドコの前身)に持ち込んだのではないかと思います。

いくらプラスチックリサーチが巨大な会社でも、フィルムをゼロから開発するのはコスト的にもちょっと考えにくいんですよね。

3Mはいわずと知れたフィルムやテープの先進技術を持つ会社ですし、デュポンは第二次世界大戦中の軍事供給の担い手として爆発的な成長を遂げ、当時からあらゆる分野で最新の技術を持っており、あのストレーンも元々はデュポンの技術が採用されていました。

かつてのへドンがいち早くヘデリン素材を採用したように、ルアーはその時代の最新素材を積極的に取り入れる傾向があるので、デュポンか3M、そのどちらかが「ウチにエエ商品ありまっせ イッヒッヒ 」的に持ち込んだんじゃないかと。

どう思います? このヲタな妄想😁

 

 

ボディ内部にはヘッド部に大ラトルが4個、ボディ部に小ラトルが4個、合計8個のラトルが封入されています。

ラトルサウンドは軽いカラカラ音で、オリジナルスポットとは明らかに音質が違います。

粉を吹いてる感じではないので、おそらく素材はブラスではないかと。

 

 

ネームプリントはこの通りボディサイドに誇らしげに入ってます。

このカリグラフィ的なネーム、サイコーです。

のんだくれ的には世の中に出回ってるルアー全てがこういうネームプリントであって欲しいです😁

 

 

発売から既に30年以上の時が経ち、最近ではタックルベリーなどの中古屋でも見かけることが無くなったルアーですが、もしまだボックスに残ってるという方がいたら、是非泳がせてあげてください。

当時、コーデルが密かに企てていた世界征服計画の一部を体験することができるかも知れませんよ😁😁😁

 

あ、余計なお世話ですが、リアフックを取っ払ってダブルフックのワンフッカー仕様にすると、気持ちいいくらいのすり抜け系クランクに変身します。

特に、リップレスクランク投げるなんてなんてとんでもない!系のアシ際スポットでは、おいおいスピナーベイトかよ!と笑っちゃうほど根掛かりせずに戻ってくるので、死ぬほどヒマだったら試してみてください。