オカッパリが主流の日本ではなかなかメインストリームになれないディープダイビングクランクベイト。
特に実戦フィールドのほとんどをシャローが占める野池アングラーにとってはスルー対象と言ってもいいレベルでしょう。
しかしディープクランクはシャローアングラーに数多くのメリットをもたらす強力な武器のひとつ。
その中でも3XDはマストハブと断言してもいいぐらい、Go-Toな存在です。
今日の千一夜は今までディープクランクをスルーしてきたシャローフィッシャーに贈ります。
3XDとは
3XDはストライクキングのプロモデルXDシリーズ中、最も小さなクランクベイト。
御存知の通りXDは Extra Deep の略ですが、3XDは元々あったプロモデルクランクベイトHC3の進化バージョンとして登場したという出自があります。

HC3と3XD。ホディサイズはほぼ同じだが特性はまるで違う
”A Small-Bodied Deep Diver” というキャッチコピーで90年代に登場したHC3は他のプロモデルシリーズ同様、数々の輝かしい挙績を残していましたが、時代の流れとともに古さも目立つようになりシリーズ自体の活性化も含めて投入されたのがXDでした。
マグナムクランクのブームや琵琶湖ロクマルのイメージで、何かと長兄10XDにスポットライトが当たりがちですが、この3XDこそ全てのアングラーが持つべきダイビングクランクではないかと。

サイズ・重さ
3XDのサイズはボディ50ミリ、自重10.3g。
サイズ的にはダイワのピーナッツⅡとデカピーの中間ぐらいなので、非常に扱いやすい大きさにまとめられています。
仕様
XDシリーズ共通のワイド&アングルドビル
このルアーの特徴は水掴み抜群のアングルドビル。
ラインアイの前で一段角度が付いているので水流を掴みながらも横に受け流し、グイグイと潜ります。
リップ樹脂内の気泡はストライクキングのお家芸みたいなもんなので気にしない気にしない。


3XDと3HCのリップ比較
アングルだけでなく幅もしっかり確保してあるのでスナッグレス効果もバッチリ。
いかにも潜りそうなルックスは、まんま ”名は体を表す” を体現しており、エクストラディープの名に恥じない仕様に。
それだけではありません。
XDシリーズは空力的にも配慮がなされているようで飛距離もなかなかのもの。
飛行姿勢が安定しているせいかほぼ同ウェイトの3HCと比較すると、明らかに最後の伸びが違います。
キャスタビリティが潜行深度に大きく影響するダイビングクランクにとって、これは地味ながらも大きなアドバンテージでしょう。
軽くて割れにくい素材
また、使われているプラスチック素材が軽くて割れにくいのもポイント高し。
個人的にダイビングクランクは積極的にガシガシ当てに行くだけでなく、リップラップなどではかなり強いリッピングで当ててリアクションバイトを狙うことが多いため、割れにくい素材の採用は◎。
近年はボーン素材に代表される高音ラトルが市場の好みになったこともあり、クランクベイトにはカラカラと響く素材が良く採用されるようになりましたが、素材硬度が上がるとリップが割れたり欠けたりしやすくなるため、のんだくれのようなハードヒッターにはイマイチ使いづらかったりします。
その点、3XDのリップ耐久性は米国プロお墨付きなので有り難い限りです。
岩に当てる事でデカいのを連発した経験から、スクエアビルは強く当ててナンボだと思ってる。
強い快楽がその後の性癖に影響するアレと同じ。
故にリップ折れで戦線離脱する者多数。
補修すれば使えるけど直した途端使わなくなるという謎の法則も存在する。 pic.twitter.com/LifsyqcdIU— ルアー千一夜☆公式 (@lure1001) March 23, 2023
大活躍のノイズメーカー
ラトルサウンドが強く響くのも3XDの売りのひとつ。
固定ウェイトx2、遊動ラトルx1のアンサンブル構成ながら、ラトルトラップ系のマルチサウンドを発するのもHC3との大きな違い。(もしかしたら近年モノのHC3は変わってるかも)
プラスチック素材も相まって、自らのボディでサウンドをアンプリファイ(増幅)しているかのような響きが楽しめます。
3Dぷにぷにアイ
アイは3Dドームアイを採用。
これはプロモデルシリーズからの伝統なので。爪でグニグニ押して感触を楽しむのが正しい愛で方。
ちなみにボディカラーによって白目と赤目の2種類があります。
赤目はスモールマウスバスの目を表していると思いますが、使うフィールドによってはレッドイヤーサンフィッシュの眼状紋になるかもしれませんね。
日本にはそんなオサカナは居ませんが。
個人的には赤目のカラーがある場合は大抵赤目を選んでます。
理由はカンタン、過去に赤目のクランクでイイ思いをしたことがあるからw
赤目は大好物なのに赤針はイマイチ好きになれないとか、ただのワガママでしかありませんがw、ツリビトのこだわりなんて所詮その程度のもので、些細なことでコンフィデンスも上がるんですからそれでイイんです😁
強めのキビキビウォブリング
気になるアクションはキレのあるウォブリング。
このサイズのクランクとしてはかなり強いアクションと言えるでしょう。
しかしリトリーブ抵抗が大きいと感じることはなく、このサイズの10ftダイバーとしては軽い方かと。
まぁマグナムクランクの巻き抵抗に慣れ過ぎちゃってるというのもありますがw
特筆すべきは、このクラスでは数少ない急潜行タイプである事。
水面で出撃命令を待っている時の姿勢はそれほどでもないのに、リトリーブ開始とともに九七式艦上攻撃機が戦艦アリゾナに投下した徹甲爆弾の如く、ほぼ垂直のダイブを披露してくれます。
斜度35度以上の ”崖” を滑走するエクストリームスキーヤー達の事を畏敬の念を込めて【スティープダイバーズSteep Divers】と呼んでいますが、この3XDはクランク界のスティープダイバーと呼んでもいいでしょう。
これこそがXDシリーズの最大の売りであり、それを使いこなすのがアングラーにとっての醍醐味なのです。
そのサイズゆえ潜行深度は10ft程度ですが、潜行角度ならばシリーズ中ナンバーワンではないかと。
あらゆるニーズに対応する汎用性
そんな死角の少ないクランクベイトなのでシャローからディープまで、オープンからカバークランキングまで使える状況は無限大。
アングラーのあらゆる要求に高次元で応えてくれます。
そして3XDでなければ成立しにくい使い方も。
それは超デッドスローのボトムウォーキング。
デッドスローでもしっかり泳ぐ事とスティープダイバーの特性を活かし、ラバージグのようにボトムをズル引きするのです。
ガーッと巻いてボトムに到達したらロッドの横パンピングだけでコリコリとボトムの変化を感じながらスローにルアーを動かし、リールは糸フケを取るだけ。
たったこれだけの事ですが、めちゃくちゃ面白いのです。
そして通常のクランクならば泳がないようなデッドスローでもしっかりとラトルを鳴らす泳ぎをしてくれるのです。
ダイビングクランクベイトをラバージグの様にスローに使うのは昔からあるメソッドですが、3XDは潜行能力と浮力のバランスが絶妙なので2m前後のボトムならデッドスローでも確実にボトムが取れます。


3XDとバンディットのシリーズ300
これと同じ事をよく似たスペックのクランクベイト、例えばバンディットのシリーズ300や兄貴サイズの5XDでやろうとすると、浮力があるため同じリトリーブスピードではボトムを取り続けることが出来ず、しかも泳ぎもユラユラ程度になってしまいます。
300は300でまた違った強みがあるのであまり比較対象にはなりませんが、3XDのスローリトリーブでのボトムトレース性能は最強レベルであることは間違いないでしょう。
カラー
そんな3XDで絶対の信頼を置いているカラーがこのルートビア。
詳しくは3HCの記事で書いたのでそちらを読んでいただければ理解していただけると思いますが、水に馴染むグリーンから膨張色のホワイト、そしてオレンジの基本構成に加え、光の入射角によって鮮やかに輝くグリーンフレークは、障害物に当たって姿勢を崩した時に強い明滅効果を生むので水深2m程度のステイン〜マディウォーターでは最強だと信じてます。
これにオイスターカラーがあればもうインビンシブル!
ただ惜しいのはXDシリーズに限らずストライクキングのカラーチャートにはゴースト/トランスパレント系の選択肢が少ない事。
まあ単にラトル揺らしてニヤニヤしたいだけなんですけど、3XDにはクリアのNUDEカラーすら設定がないのでもうちょっと頑張って欲しいなぁ😩


ストライクキングのNUDEカラー。XDシリーズには6,8,10サイズにのみ設定されている(2023年3月現在)
フック
フックは前後とも#4サイズのブラックニッケルショートシャンクを採用。
当たり前の事ですが、フック同士が干渉しないセッティングになっているところも地味にプラスポイント。
近年のストライクキングはフック供給元を公開していませんが、おそらく昔から変わらずダイイチフックを使い続けていると思われ。
余談ですが、エラから流血した瀕死のベイトフィッシュを模したブリーディングベイトシリーズBleeding Bait Series(記事上から二番目の比較画像)は赤針が標準になっていました。
注)ブリーディングベイトカラーはレギュラーカラーに昇格したため現在は赤針ではない。
ネームはリップにエンボスモールド
ストライクキングはネームを入れないメーカーだからね… という定説を覆したのがXDシリーズ。
なんとリップにしっかりとエンボスモールドで刻まれています。
が、リップの水キレに配慮したのか凸がマイルドなので存在感はかなり薄め。
個体によってはほとんど読めないものあり、ヤル気があるのかないのかよく分からん仕様になってます。
例えアクションを殺す事になっても、ここはレーベル並に主張して欲しかったなぁ。
入手はカンタン
そんな3XDは既に数多くの実績もあるし、魚矢が大々的に入れてることもあって入手はカンタン。
アメリカンルアーを置いてるショップならほぼ扱いはあるでしょう。
そしてピーナッツとまではいかないまでも実売1,000円前後とサイフに優しいのは嬉しい限り。
という事を書くと早速ネット検索すると思いますが、ストライクキングのクランクを買うならば是非とも琵琶湖と横利根のSDGマリンに足を運んでほしいのです。
なぜならSDGマリンがストックするストライクキングはカラー数が半端ないから。
ネットで検索されるためにとりあえず入れてますというショップが散見される中、こんなの誰が買うねん!という不人気カラーまでバッチリ揃えた超強気のラインナップは一見の価値あり。
それにスマホの画像だとイマイチなカラーでも現物はめっちゃ良かったなんて経験は誰しもあるはず。
もちろんストライクキングだけでなく他ではなかなかお目にかかれないアイテムが多数あるので、交通費を使っても損はしないでしょう。
あーやっぱりバスフィッシングって夢があるなぁと思わせてくれる店なので、偏屈GGYアングラーこそ足を伸ばして、少年アングラーだった頃の心を取り戻してほしいなと😁
あ、こんな事書くとSDGマリンからなんか貰ってると誤解されそうですが、何も貰ってませんからね。
何年か前に香港の空港で偶然柏木社長とばったり会って、ファーストクラスラウンジでヴーヴクリコをご馳走になっただけですハイ😂
おわりに
近年は優秀なダイビングクランクが沢山出てきたこともあり、以前に比べればダイバーの有効性は広まったと言えるでしょう。
しかし普段からシャローエリアを主戦場にしているアングラーにまでその良さが浸透しているかと言われればまだまだのレベル。
スクエアビルでは対応できない事、ダイビングビルだからこそ攻められるシャロースポットはまだまだあるのです。
リップのサイズだけで勝手にレンジや用途を限定してしまうのは、大きな大きな機会損失ですぞ。
このシルエットにピンと来たら是非。
このクランクはどこの誰でしょう。
これが分かったら狂人確定。
多分自分も答えられんと思う。 pic.twitter.com/OdgcOMP6AL— ルアー千一夜☆公式 (@lure1001) December 14, 2022