梅雨ですねー。トップウォーターが似合う季節ですねー。
しとしと振る雨の中、誰も居ない山間部のリザーバーでいつ来るとも知れないバイトを求めて立木にキャストを繰り返す様子が最高に絵になる季節です。
そんな時に使いたいのがこのプラスチックの妖精・ビッグラッシュスケーター。
釣れなくても動かしてるだけで楽しいルアーです。
ビッグラッシュにプラスチックのインジェクションモデルが追加される!
このニュースは当時の水面派アングラーを心底シビれさせました。
バルサもイイ。ウッドももちろんイイ。
でもプラスチックであるがゆえの軽快感も有ったら嬉しいよねと思ってた矢先に飛び込んできたニュースだっただけにそれはそれは大変な騒ぎになりました。
そしておっさんのガマン汁も尽きそうになった頃に颯爽とデビューしたのがこのスケーターセラフでした。
わざわざカギ括弧でスケーターであることを強調し、いずれウォーカーも出すからな ニヤリ というにほひも漂わせながらの登場に舞い上がって、がっつり買い込んだのが昨日のことのようです。
このルアーのウリは、バルサのオリジナルモデルの流麗なシェイプを忠実に再現していること。
鋭角ノーズからボリュームのあるヘッドへと続くシェイプが水を切り裂きながら左右へ押しのけ、それをスリムに絞られたテールへとスムースに流すオリジナルの基本設計を踏襲することで、それぞれの素材の違いを楽しめるようになっているのはうれしいですね。
そしてもちろんその性能もお墨付き。
クイックなステップではスプラッシュを飛ばし、ロッドをスウィープさせれば驚異的なロングスケーティングも思いのまま。
性能がちゃんと引き継がれているという安心感は、ここぞという時にも頼れますよね。
でもセラフにはバルサモデルにはない強みも盛り込まれているんです。
それがこのスパッと切り落としたようなテールエンドの処理。
バルサのオリジナルモデルよりもほんの少しだけ角が立ったデザインになっているんですが、これがイイ仕事をしてくれるんです
その仕事内容は真っ直ぐにリトリーブすればすぐに分かります。
テールエンドの角が立っていることで小さな対流が発生し、ヘッド部分が作り出すV字の引き波とは別のV字波を生み出し、ダブルVの引き波が楽しめるんです。
ぶっちゃけV字波がダブルだろうがトリプルだろうが釣果に大きな差が出ることはないと思いますが、則さんが提唱したトップウォータースタイルに則って、どうでもいい事にはこだわりたいじゃないですか。
そしてこれでデカいのを釣った暁には、ビッグラッシュセラフはヤベーよ。あのダブルVがめっちゃ効くからな。と全く科学的根拠のない後付け理由でイバることも出来ちゃうんですから🤣
そしてセラフの最大のお楽しみは内部構造が見えるというところ。
ウェイト構造だったりヒートンの入り具合だったりが丸見えなので、水面派だけでなくヲタのハートまでもがっちりと鷲掴み。
今でこそスタンダードと言えるようになりましたが、ヘッド部の円筒形カウンターウェイトは当時珍しく、何度も焼酎のアテになってくれました。
そしてザウルスのルアーはカラーリングにもこだわりがあるのが嬉しいですね、
70年代のバスオレノやニップアイディディに影響を受けた則さんらしい色使いで、実釣派だけでなくコレクターのハートをもしっかり掴むという大罪をさらりとやってのけてくれました。
リギングはフロントがオリジナルのサーフェスリグ、リアが伝統のヒートンで、クローポイントのフックがこれでもかというぐらいに似合ってますね。
でもこのサーフェスリグ、重大な欠陥があるんです。
この画像からも分かる通りネジ受け側の構造体の穴が真っ直ぐ通っていないので、フックを交換する際にネジの挿入角がちょっとでもズレると、構造体が根本からポリッと折れてネジが効かなくなってしまうんです。
この画像でも変なところに力がかかって膨らんでいるのが分かりますよね。
実はこれ、ビッグラッシュだけでなくセラフシリーズが共通して持っている先天性疾患で、フック交換を試す際に高確率で起きる通過儀礼になっちゃってます。
まあ折れたら折れたで対処方法もあるんですが、セラフシリーズはプラスチック成形ならではの精度と強度をウリにしてただけにちょっとザンネン。
でも手間のかかる子ほど可愛いと言いますし、こういう部分も含めてのセラフだと思えば納得ですけどね😂
ネームはデザインロゴをボディサイドに入れるという、サイドペイントならではのもの。
ゴールドのスタンプがオールドエバンスっぽくてイイ味を出してますね。
使ってるうちにハゲてきちゃうのがアレでしたが。
初期のモデルにはこんな具合にスポーツザウルスのロゴも入っていて、ネームヲタも喜ばせてくれました。
しかもボディの両側という出血大サービス。
ネームプリントが入ったルアーは星の数ほどありますが、同じブランド名がボディの両側に入っているのはおそらくスポーツザウルスが唯一ではないかと。
スポーツザウルスが倒産した流れでセラフのブランクやパーツが大量に市場流出し、その影響で中古市場価格も暴落、そしてその性能とは裏腹に未だに過小評価されていたりもしますが、フラットな目で見ると実はなかなか優秀なルアー。
紆余曲折ありながら今も則さんのフィロソフィを伝承してくれているザウルスに感謝しつつ、ゆったりと楽しみたいルアーのひとつです。