海外のルアーは、国産ルアーと違って我々が思っているよりも頻繁に仕様を変更しています。
よくあるのがいわゆる “モールドが変わった” というヤツですね。
仕様変更の理由はルアーやメーカーよってさまざまですが、基本的には “改良” を目的としています。
ところが中には “改悪” に相当するような仕様変更もあったりして、我々ルアヲタは新しいものが出るたびに新旧モデル比較という、楽しくも悩ましい作業に勤しむことに。
改良にせよ改悪にせよ、通常はどちらかのパフォーマンスが優れているというのが普通ですが、時には新旧それぞれがめちゃくちゃイイ!という稀なケースも。
今日のゲスト、エクスキャリバールアーズのスーパースプークJr.はその最たるものではないかと。
スーパースプークJr.は、ペンシルベイトの王座をザラスプークから奪い取った名品として知られるスーパースプークの弟分です。

ルアーのサイズ違いを展開する順序は、同時ラインナップか、もしくはオリジナルモデルの1〜2シーズン後というのが通常のパターンですが、このスーパースプークJr.はオリジナル発売から4年後という異例のタームでリリースされました。
おそらくオリジナルサイズのスーパースプークが異常なほど好調なセールスだったので、中途半端なモノは出せない!というメーカーの意気込みを反映していたんでしょう。
それを裏付けるかのようにこのスーパースプークJr.は、ポップンイメージと同時にリリースされ、”A Daily Double (連勝複式)” というキャッチコピーをと共に、他のエクスキャリバーのルアーとは別格の扱いで大々的にプロモーションされました。
ポップンイメージはポップンイメージで、同じく異例のヒットとなっていたスピッティンイメージのバリエーションだったので、両者とも失敗が許されなかったんでしょうね。
スーパースプークは88ミリ、14g というコンパクトサイズにまとめられたペンシルベイトです。
オリジナルサイズに対して全長比で27%、重量比で50%ダウンサイジングされています。
水押しとスプラッシュ、そしてラウドなラトルサウンドで強力なアピールを誇るスーパースプークですが、いくら弟分だからといってそのアピアランスまで縮小するわけにはいきませんから、このJr.を開発したチームが味わった苦労は並大抵ではなかっただろうなと。
そして開発陣が費やした苦悩の日々が見事に報われたのは皆さんご存知の通り。
しかーし!
そんな鳴り物入り君としてデビューしたスーパースプークJr.ですが、早い段階でモールドが変わってしまうのです。
しかも両方ともサイコー!な感じに。
新旧スーパースプークの外観の違いはこの3Dアイの大きさです。
米ルアヲタの界隈では、旧モデルをスモールアイ、新モデルをビッグアイと呼んで区別しています。
アメリカ人は3Dリアルアイが大好物なので、最初のんだくれは見た目だけをリフトアップした仕様変更なのかと思ってましたが、実はフルモデルチェンジと言ってもイイぐらいの大きな改良が加えられていたんです。
百聞は一見に如かず。 説明の必要はありませんね。
これだけ浮き姿勢が違うと、同じスーパースプークJr.という名前であっても完全にベツモノになっています。
旧モールドが移動距離を抑えたテーブルターンとダイビングが得意なのに対し、新モールドはスプラッシュを飛ばしながらのロングスライドが得意という変身っぷりです。
しかしプラドコの凄いところは、180度の方向転換なのにも関わらず、どちらのパフォーマンスも最強に仕上げて来ていること。
おそらくプラドコとしてはワンノッカーラトルを効率良く鳴らしたいが故にスライド特性を強調したと思うんですが、このスーパースプークJr.の仕様変更は、ルアーのモールド変更の際に必ず聞こえてくる “あっちの方が良い” という声が皆無なぐらい、それぞれの分野で振り切れている非常に珍しいケース。
もちろんルアーのアクションはアングラーの好みによって左右されるので、のんだくれの嗜好が全てに当てはまるワケではありませんが。
ルアーのモールド変更の全てがこんな具合に成功してくれたらあれこれ探しまくる必要がないのになぁ。
ちなみに先に述べた通り、ロングセラーと言われるルアーは程度の違いこそあれ、必ずと言って良いほどモールドを変更しています。
ストライクキングのプロシリーズクランクベイトなんかその典型ですね。
ポッパープロッパーというリバー2シーが2011年にリリースしたルアーがあるんですが、このルアーはのんだくれの知る限りではこの10年で4回モールドが変わっています。
しかし外観は全く変わっていないので、普段から使い込んでないとその違いには気づかないほど。
あれ?なんか巻き心地が軽くなった?とか、音がちょっと変わった?とかほんとにわずかな変化だけ。
浮力アップ、ボディの回転抑制、生産工場の変更など、モールドがを変えた理由はさまざまですが、面白いのはこういった仕様変更を一切アナウンスしないところ。
モデルを改良したら必ずと言って良いほどポジティブなプロモーションに繋げる日本のメーカーとの大きな違いです。
なんでそれを告知しないの?と聞いたら、なんでそれを告知する必要があるんだ?と逆に聞かれたぐらいですから😂
しかしそれを国民性の違いのひと言で終わらせるわけにはいきません。
なぜなら市場には改良によって微妙に仕様が違うモデルがいくつも存在するのにそれに関するアナウンスが無い、もしくは日本まで届いていないので、これがいわゆる “アメモンの品質のバラつき説” に繋がってしまうんです。
もちろんハンドメイド物などは本当のバラつきwがあるので全面的に否定はしませんが、アメリカンルアーのバラつきのほとんどは意図的に仕様変更したものであるということを覚えておくと、寛容に海外モノを見られるようになります。
随分話が脱線してしまったので軌道修正しましょう。
初期カラーにオリジナルサイズと同様、反射インサートを仕込んだフロリダバス(カラーコード HFB)をラインナップして二匹目のどじょうを狙っているところがいかにもアメリカですね。
ちなみにカラーもオリジナルモデルと同じ4つのカラーバリエーション(フロリダバス、レイクフォークシャッド、オキーシャッド、ブリーディングシャッド)でデビューしています。
デフォルトで装着されていたフックは例のエクスキャリバーロテートトレブルの#4でしたが、アレはすぐ錆びる上にスペアが手に入らないので、ショートシャンク&ラウンドベンドのVMCフック#9651で代用しています。
同様のフックを何種類か試しましたが、一番ロテートフックに近いのはコレでした。
まあどのフックでもほとんど変わらんのですが、こういうしょーもないところにこだわるのがルアヲタのダメなとこですよね😂
ネームはオリジナルサイズ同様にボディの両サイドに入っていますが、こちらにはプロのサインは入っていません。
ネームヲタとしてはこっちにもオートグラフを入れて欲しかったんですが、契約とか色々ありますから仕方ないすね。
この旧モデルはかつて中古屋などでも頻繁に見られましたが、現行モールドになってから久しいので、さすがに最近では絶滅危惧種となってしまいました。
でも案外ソルトウォーターコーナーに塩水モデルがちょこんと掛かってることもあるので、気になった人は探してみるとイイかも。
立ち浮きペンシル好きなら探す価値はあると思いますぞ。