実際に使ってみなければ分からないこのルアーのスゴさ スナフヴィー Snaff Vie / クワイエットファンク Quiet Funk

クワイエットファンク Queit Funkシングルプロップスイッシャーペンシルベイト

使いこなすのにちょっと時間を要するルアーってありますよね。

誰でもそれなりに動かせるし魚も釣れちゃうんだけど、使っているとアングラー自身が技量不足を感じるというか、もうちょっと上手くなりたいと思うようになるルアー。

いわゆる玄人好みなんだけど、決して敷居が高いとか小難しそうというイメージを抱かせないやつ。

今日のゲスト、スナフヴィーはまさにそんなルアー。

あのクワイエットファンクが送り出したフラットサイドスイッシャーです。

のんだくれは元々縦扁平のシャッドシェイプを持ったルアーが大好物です。

その中でも特にスイッシャータイプには弱く、今でも見たらソッコーお買い上げの対象。

そこまで溺愛している理由は、バグリーのスピナーシャッド Spin’R Shad (画像を撮ろうとボックス漁ったけど見つからなかったから各自検索してplz)で飽きるほどの連発を味わったという強烈な記憶があるから。

そんな刷り込みがあるので、このスナフヴィーを見た時も本能には抗えませんでしたw

だって、この見事なまでのフラットサイドボディにリアプロップですよ。

確か5,000円ぐらいしたはずですが、使うかどうかなんて考えずにレジへまっしぐら。

のんだくれはこれをスルーできるほどの理性は持ち合わせてませんから😭

スナフヴィーは全長75ミリ、自重18gの典型的なゴーハチサイズトップウォーターです。

”ヴィー” と付くとおりウッド素材で出来ており、クワイエットファンクの中では一応ハイエンドのラインに属しています。

クワイエットファンクではウッド製がヴィー、プラスチックインジェクションがフィー、硬質発砲素材がトーイとカテゴリー分けされていて、ルアーの特性に合わせた素材チョイスがされるのが暗黒の掟。

ルアー自体が既に個性のカタマリなのに、さらに素材に独自のネーミングを施して独自の世界観を表現しているのは数多のプラグビルダーの中でもおそらく久保田さんだけでしょうね。

さてさて。

そんな唯一無二のイメージのクワイエットファンクブランドの中にありながら、このスナフヴィーはさらに突き抜けています。

その理由はコレ。

コイツったら真っ直ぐ浮いてくれないのです。

全くヤル気ありませんとばかりに約45度の角度で傾いて浮きやがるんです。

一番最初にコレを見た時、ファッ!?となりました。

だって5,000円もするルアーがこんなヤル気ナシ男くんですから、誰だってマジか!金返せ!って思いますよね。

でも動かした途端にそんな考えは吹っ飛ぶことに。

スナフヴィーったら、ドッグウォークさせる度にボディをペタンペタンと左右に倒して、めちゃくちゃ良く動くんです。

そしてボディが倒れた時に作り出すスプラッシュがこれまたシビれるほど生っぽい。

一般的なペンシルベイトが作り出すサイドスプラッシュは ”棒”の仕事によって作られたものですが、このスナフヴィーのスプラッシュはまさに ”板” によってつくられたそれ。

”棒” が水の塊を飛ばすのに対し ”板” は薄くスライスされた水を撒き散らすイメージ。

ガキの頃、プールの時間にビート板で水面をチョップするように叩いて水のかけ合いをしたことがあると思いますが、このスナフヴィーはそんなスプラッシュを連続して出せるのです。

そして面白がってペタペタ歩かせてるうちに、ある動きを思い出したんです。

あー!この動き、フナやギルのハタキそのまんまじゃん!

そうなんです。

産卵期にフナが岸際でビチビチやるアレとか、複数のギルが水面の落水昆虫を取り合いする時のアレにそっくり。

久保田さんの天才っぷりを思い知らされた瞬間でした。

その動きに気付いて各部を見ていくと、久保田さんの才能にさらに打ち震えることになります。

このボディには薄いスプラッシュを出すためのキモが詰まっているのです。

確実に水を切り裂いてスプラッシュを飛ばすためにノーズからチンにかけてエッジを立てたデザインになっているのですが、逆にフロントフックあたりから後ろはエッジをなくす事でローリングしやすく設計されていたのです。

これにはホントクラクラしました。

やられたーと思いましたね。

しかしこのスナフヴィーの凄いのところは、そんなテクニカルなアクションをこなすのに一切の気負いを感じさせないところ。

ペンシルベイトを動かしたことがある人だったら誰でも動かせる敷居の低さなのです。

そして興味深いのは、使えば使うほど深淵が見えてくるところ。

分かりやすくいうと、波立ったところで安定したスプラッシュを出し続けるにはちょっとしたコツがいるなど、いくつかの動きはルアーと真剣に向き合わないと出せなかったりするんです。

そしてスプラッシュを出すこと自体は簡単なんだけれどもその力加減によって生っぽいサウンドになったり人為的になったりと、アングラーの技量も問われるのです。

アングラーの技量というワードを聞くとどうしても頑固なトップウォーター原理主義を連想しがちですが、そんな厄介なものでは一切なく、自然と ”コレをうまく動かせるようになりたいなー” というキモチが湧いてくるというか、FUN的な要素が濃い感じ。

ハトリーズの干支シリーズの一部にも同様の感情を抱かせるものがありますが、お高くとまってはいないけれど、使いこなすにはそれなりの覚悟が必要だよみたいなルアーですね。

いつだったかチェスト114の杉原さんとメシを食った時、彼が ”物理的にではなく、精神面でも一生付き合えるルアーを作りたいし実際それをやってる” と言っていましたが、このスナフヴィーはまさにその類い。

世間の流行り廃りとは全く別次元の楽しみをもたらしてくれるルアーなのです。

そんなルアーなのでスイッシャーのプロップもさぞかし良く回ると思いきや、これも見事に予想を裏切ってくれます。

全然回らないのです。

もう見事なぐらい回らないw

でもこの回らないペラは完全なるスナフヴィーの仕様です。

このプロップの役割は、他のスイッシャーのようにジュビビッ!と回転によるスウィッシュサウンドを出すためのものではなく、薄く大きなスプラッシュを出すためにググっと踏ん張るアンカーとして装着されています。

その効果はプロップを外してみればすぐに分かります。

プロップを取り払ったスナフヴィーは踏ん張る事ができないので、スプラッシュが小さくなるだけでなくドッグウォークにもパワーがなくなってしまい、水面でピコピコ動くただの木片になってしまうのです。

そして回らないプロップには回らないがゆえの強みもあるんです。

それは水中にバブルトレイルを引っ張り込めるということ。

分かりやすく言えば、ダーターをスイープ気味にダイブさせるとカップの両脇からエアのヒゲが出ることがありますが、アレがスイッシャーでも出せるのです。

こんな深い設定が一切の説明なしに販売されているクワイエットファンクって一体….. ゴクリ。

ウウウ… おそるべし久保田ワールド。

ヴィーには随所にハンドメイド感が残ってるところも高ポイントです。

エアが混入したままの樹脂アイやアイホールにバリがそのまま残ってるところなんていかにもハンドメイドですよね。

昔はこういう仕上げにいちいちフンガー!😤 してた時期もありましたが、こういう部分も含めて受け入れられるかどうかで満足度が決まると気づいてからはありのままでヨシと思えるように。

もちろんルアーとしての機能が失われていたら声を上げますが、それ以外は個性として見られるようになりました。

そういう意味ではルアーも人と変わりませんね。

粗探ししたら余計に腹立ってキーッ!ってなるけど、そういうもんだと思ったら腹も立たないってヤツです😁

フックはフロントがトイレットシートリグでリアはヒートン方式を採用。

トイレットシートリグはサーフェスリグよりもフックの自由度が制限されますが、その分ラインを拾ってエビになることが少ないので、このスナフヴィーのように大きく左右に倒れるアクションにはピッタリ。

クワイエットファンクはトイレットシートリグを採用しているルアーが数多くありますが(というかほぼ全部)、スナフヴィーがその良さを一番引き出しているんじゃないでしょうか。

ネームは他のQFルアーと同様に背中にステンシルで吹かれています。

一般的に Snaff とは犬が匂いを嗅ぐ時のクンクンを表す擬態語ですが、ルアーの動きのイメージとはちょっと違うので、他に何か意味があるのかもしれませんね。

そしてプロップに刻まれたQFロゴはお馴染みですね。

昔、一番最初にピカソフィーに装着されたこのプロップを見た時の衝撃は今も忘れません。

最近は羽モノ人気ということもあってデカダンス以外で名前を聞くことが少なくなってしまったクワイエットファンクですが、その強烈な個性を知らない新世代もいることですし、羽モノ以外でも引き続き頑張って欲しいですね。

ズープヴィーとかビッグヤーンフィーなんて一度使ったら麻薬レベルでトリコになっちゃいますから!

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