良くも悪くも日本のルアーフィッシングに多大な影響を与えたコーモラン。
80年代バスフィッシングブームを知るおっさんアングラーにの中には、パチモンの絶対王者として畏怖の念すら抱く者も。
そんなコーモランが暴走しまくっていた1986年、その暴走エンジンにニトロをブチ込むかのような最強の、いや最狂のシリーズがデビューしました。
その名はナチュラルナイス21シリーズ。
ナチュラルナイスとは、偽メドウマウス、偽レーベルクローフィッシュ、偽クレイジークローラー、偽フィンガリングなどなど、ありとあらゆるパチモンを21種類もラインナップし、まるで自社が開発したかのように大々的に売り出した、世界的に見ても非常に稀有なシリーズ。
そんな狂ったシリーズの一員としてデビューしたのが今日のゲスト、サーフパンフィッシュです。
サーフパンフィッシュはご覧の通り、パンフィッシュ系の縦扁平ボディを持つフラットサイドクランクです。
65mm、11.5gという大きさはどう見てもサーフ用じゃねーだろ!と突っ込みたくなりますが、コーモルールではサーフは浅場用、ダイブは深場用を意味します。
浅場深場ってなんだか懐かしい響きですが、時々変則的にシャロー/ディープの表記が出てくるなど、ブレっぷりがテンコ盛りなのはコーモランの仕様なのでお気になさらずに。
ちなみにパンフィッシュとはブルーギルやスナッパーなど、平べったくてフライパンサイズの魚の総称。
生物学的な分類とは別のカジュアルな呼称として広く使われています。
アメリカでブルーギルやクラッピーが釣れると同船者から “美味そう!” と言われる事がよくありますが、それらは大体フライパンに2〜3尾並べられそうな食べごろサイズ。
日本人がブルーギルを見て美味そうと思うことはほとんどありませんが、我々日本人もサビキサイズのアジを見て南蛮漬けと焼酎を思い浮かべてるのでまあ似たようなもんです。
このサーフパンフィッシュの特徴は、なんといってもフラットなボディから飛び出たカメレオンアイ。
硬質発泡素材によってボディと一体成形で作られていますが、このインパクトはなかなかのもの。
もしかしたらメバルとかそっちの方面に憧れてたのかもしれません。
45度のアングルで設置されたリップからは、ブルブル泳いでやるぜ!的なヤル気が伝わってきますが、ここで注目して欲しいのはリップの装着方法。
実はこのリップ、単なる一枚のプラ板では無いのです。
この画像で見ると分かりやすいのですが、リップの根本までしっかり作り込まれた、立派な “パーツ” になっているのです。
つまりリップをボディに “差し込む” のではなく “はめ込む” 方式。
これはおそらくリップの強度アップと、取り付け角度などルアーとしての精度を上げる目的で専用設計にしたんだろうと思われ。
もしかしたらこのリップは他のルアーにも流用できるように設計されてるのかと思いきや、少なくともナチュラルナイスシリーズには同型リップを採用しているモデルはなし。
つまりこれはサーフパンフィッシュのためだけに作られた完全なる専用リップなんです。
こういう意外なところで本気度をチラ見せするあたりがいかにもコーモランですよね。
本気度といえば、カラーリングもナチュラルパターンを採用するなど、当時のコーモランとしてはなかなか頑張ってくれています。
描きました感満載のヒレなんか安っぽくてサイコーですよね。
でもこのサーフパンフィッシュがリリースされた86年は、実はもうナチュラルカラーブーム(79〜82年頃)が去って久しい頃なので、時期的にはちょっとハズしてるんですけどね。
まあその辺りのユルさも含めてのコーモランということで😁
目玉だけでなくエラの部分にも凹凸をつけるなど、魚に寄せるための努力の跡も見られます。
顔とエラと身体でウロコをナニゲに描き分けているところにもご注目。
改めてよく見ると、和彫り昇龍のウロコに通じるものがある… ワケないか。
ちなみにこのルアーの元ネタになったルアーはシマノのエクストリーム401という説が有力なんですが、実際のところはどうなんでしょうか。
ネームはこの時期のコーモランのお約束で、リップにロゴがエンボスモールドされてます。
70年代のコーモランルアーにはカタカナで “コーモラン” と入ってましたが、この頃は英字に変わってますね。
これはパチモンルアーで世界を征服してやる!というコーモランの野望の表れです。アクロイヤーかよ。
かつてのコーモランはイーグルクローの日本代理店だった関係上、フックだけはwイイやつが装備されています。
しかしボディサイズに比べてフックの小さいこと!
当時のバスのアベレージサイズを考慮しても小さ過ぎるし、見た目のバランス的にもおかしいのを当時の担当者は何とも思わなかったんでしょうか。
それとも過剰在庫のサイズを消化したかった?
ちなみにこのサーフパンフィッシュには “X-18” という品番めいたものが付けられていました。
参考までにナチュラルナイス21シリーズの全ての品番と名称を載せておきますのでオカズにしてください。(2022年11月 ネタとなったであろうルアーを追記しました)
[table id=8 /]
名前だけじゃどれがどれだかワカラン!という声が聞こえてきそうですが、いずれ記事としてじわじわとアップしていきますのでそれまでガマン汁を垂らして待っててください。
こういうのは達成した時の快感レベルが上がるから焦らされた方がイイんです。
いつかの初体験を夢見てエロ本片手に自家発電してた中学生の頃は、今思えばスゲー楽しかったでしょ?
やったらやったでめんどくせー事が待ってるのも知らずに股間を硬くしてた時がどれほどシアワセな事だったか… ってカンケーないか😁
という事で、今日のノー書きはこの辺でおしまい!と言いたいところですが、今日の記事では肝心なことに触れてないのに気づいてました?
そう、サーフパンフィッシュのスイミングアクションについて一言も触れてないんです。
え?なんで書いてないのかって?
それはですね…
それはですね…
こんなにも使えないヤツだからなんです!
ナナメに浮くとかならまだしも、完全に横になっちゃってて、もう泳ぐとか泳がないとかのレベルじゃないんです😂
リップの取り付け精度にこだわってんのかと思ったらこれですもん。
すばらしいルアーフィッシングにとかホザいてるヒマがあるならウェイト入れろっつーの!
使えないルアーなんですコイツは。 もう使えなさにも程がある!
なけなしの小遣いをためて買ったルアーがこんなんだったら、ハラ立ちますよねー
こんなのを純真無垢な少年たちに売りつけてたなんてホントに恐ろしいメーカーですよ、コーモランってヤツは。
しかしニンゲンってのは不思議なイキモノで、こういうのに限ってちゃんと覚えてて、しかも時間とともに懐かしさを感じるようになっちゃうんですよね。
思ひ出美化というやつでしょうか。
ゆえにこのルアーもかつてのバス少年たちの恰好の収集対象になってます。
ハッ!もしやコーモランはそんな未来まで見越してたのか???