このブログで何十回と書いてますが、のんだくれはチャグバグが大好きです。
しかしいくらチャグバグとて欠点が無いわけではありません。
チャグバグの欠点を挙げ出したらキリがないのですが、世の中にはその欠点をカバーしているルアーも存在します。
今日紹介するルアーはその代表選手。
微笑みの国、タイからやってきたカイマンポッパーです。
カイマンポッパーとは
カイマンポッパーはルアーズファクトリーがリリースしたペンシルポッパーです。
バンコク郊外ノンタブリに拠点を構えるルアーズファクトリーは欧米ブランドのOEM製品を中心にルアー製作をしていましたが、チャドー用ルアーの自社販売を始めたところ瞬く間にブレイクし、今ではソルト用ジグやロッドなど多様な製品をリリースするアジア屈指のルアーフィッシングブランドにまで成長しました。
そんなルアーズファクトリーがブレイクする寸前の2010年頃にリリースしたのがこのカイマンポッパーなのです。
サイズ・重さ
カイマンポッパーは全長90ミリ、自重18.5gの硬質発泡製ポッパーです。
ルアーズファクトリーが得意とする超リアルな造形が特徴で、良くも悪くも好みが分かれるインパクトがウリ。
仕事でルアーズファクトリーの工場に行った時がこのルアーとの初顔合わせでしたが、その時のんだくれの印象も ”うっわ!なにこれサイコー!😍 でも売れねーだろーなー😅 ” でしたからw
既に皆さんご存知の通り、外見に過度にこだわったルアーは見かけ倒しなモノが多いので投げた途端に ”あーあ😩” となる確率が高く、購入する側も警戒してしまうのでよっぽど好きじゃない限りはなかなか売れないのです。
しかしのんだくれはこのルアーに対して訝しみながらも、もしかして…. という読みもあったのです。
チャグバグの足りないところを補うカイマンポッパー
そして工場のテストタンクで動かしてみたところ、その読みが正しかったことに気付きました。
なんとこのカイマンポッパーはチャグバグが弱いとされている要素を全て克服したルアーだったのです。
チャグバグはチャグバグで良く釣れるルアーなんですが、どのルアーにもありがちな使い込めば使い込むほど欠点が目立つという側面がありました。
普通に使う分には問題なくてもいろんな状況で使っていくと、遠投性に欠けていたり、チャグサウンドの軽さだったり、水絡みの物足りなさだったりとアラが目立つルアーでもあるんです。
のんだくれはチャグバグのそういった部分も含めて溺愛しているんですが、それでも時にはUgghhhh!!!😤 となることも。
しかしこのカイマンポッパーは多くのバグ使いを苛立ちから解放してくれる夢のようなルアーだったのです。
何よりも圧倒的な飛距離
まず何といっても圧倒的な飛距離は大きなアドバンテージです。
チャグバグの3/8ozとカイマンポッパーの5/8ozでは比較するまでもなくキャスタビリティに大きな差が出ます。
テールヘビーで空力特性バッチリの逆デルタ形状の断面は、沖目のブレイク上で起きたチェイスにもストレスなく対応が可能。
チャグバグも決して飛ばないルアーではないんですが、ピッチング気味にカバー奥に送り込んだりする時には明らかにウェイト不足を感じますからね。
深すぎないカップが生み出す重低音チャグサウンド
そしてこのポッパーカップが生み出すチャグサウンドがなかなの重低音なのです。
チャグバグはその名前からわかる通りチャガーなんですが、実はサウンド的にはポッパーに近い軽い音がメイン。
もちろんロッドアクション次第ではゴブン!という低めのサウンドも出せますが、割と強めのロッドアクションを要するのでタフなエリアだと魚をスプークさせるだけで終わることも😭
しかしカイマンポッパーは軽く手首を捻るだけでドプン!という重いチャグサウンドが出せるのです。
深くくぐもった重いチャグサウンドはバスをディープから引き上げるのに非常に有効なのですが、チャグバグはシャローでフィーディングモードに入ったバス向けに設計されたルアーゆえ、この動作がちょっと苦手。
そんなチャグバグの苦手科目をカイマンはしっかりとカバーしてくれるのです。
このサウンド特性は先述の沖目のブレイク狙いも併せて非常に有効な武器になり得ますよね。
しかしエッジが丸く浅いカップであるがゆえ、チャグバグのように細かいスプラッシュを広範囲に飛ばすのは不得手という一面も。
この辺りは使い分けということでしょうね。
ソリッド素材ならではのねっとりとした水絡み
そしてこのルアーはアクション特性も素晴らしいのです。
硬質発砲素材にありがちな特有のピコピコ感が全く感じられない、まるでウッドのようなねっとりとした水絡みはプラスチックのインジェクションでは得られない感触。
軽快さをウリとするチャグバグのアクション特性とは全く正反対の、まるで周りの水を絡め取るような動きは、ドッグウォーク時にも移動距離が少なくじっくりとアプローチすることが可能です。
アクションに好影響を与えるボディの凹凸
そんな重厚な動きの演出に一役買っているのがこの表面の凹凸です。
カイマンワニの表面をリアルに表現したものなのですが、この表面が水の抵抗になっているのです。
設計した本人はその効果にまで考えは及ばなかったそうですが、これは嬉しい副産物ですよね。
ちなみにこのルアーの元型はルアーズファクトリーの社長であるナタウィト・サクソンブーン氏の手彫りによるもの。

右端のタトゥー男がナタウィト。タイの山奥リザーバーのフローティングキャビンをベースにチャドー三昧した時のもの。ちなみに奥の金髪ガイジンはラッキールアーズ社長のヤンピーター。
彼はヘビーロックが大好物で全身タトゥーまみれ、酒と女に目がないという特濃キャラながら、類い稀なる彫塑のセンスを持っており、ほんのちょっとの隙間時間で精緻なカエルを掘ったりして周りを驚かせています。

ナタウィトが掘った日本の河童をモチーフにしたポッパーの元型。
タイ人は手先か器用だと言われていますがあれはほぼ真実。
その辺に居そうなTシャツ短パンビーサンのお兄ちゃんが事も無げに塗装をサクサクこなします。
手練かと思いきや、実は数ヶ月前に入ったばっかりとか😱
そして下ネタも大好物w pic.twitter.com/XnCfXhTov7— ルアー千一夜 【公式】 (@lure1001) September 15, 2021
余談ですが、同じく小動物系リアル造形ルアーを作っているタイのブランド、ミミックス Mimix は元々ルアーズファクトリーにいたスタッフを引き抜いて立ち上げた会社です。
厳密には引き抜いたというよりも、ルアーズファクトリーの乗っ取りを企てるも失敗した男を信じてしまったスタッフ、ということになるのですが、この話を始めるとエンドレスになるので続きはミミックスの記事でゆっくりと。
リアルにこだわり過ぎたがゆえの弊害も…
さてさて。
話を元に戻しましょう。
そんな欠点が無いようなカイマンポッパーですが、残念ながら諸手を挙げて絶賛できないところも。
それがこの目の仕上がり。
リアル造形にこだわり過ぎてしまったので、目が小さ過ぎる上にここだけ塗り絵感が出てしまっているのです。
先日ポストしたスペルトリガーもそうですが、目はルアーの表情を決定づける最重要ポイントなのに、ここだけ魂が抜け落ちているかのようにショボいのです。

ここだけはリアルから離れて大きくデフォルメして欲しかったですよね。
かつて【人形は顔が命です】というCMがありましたが、それと同じようにルアーは目が命なんですから、ここはもうちょっとアングラーのモチベーションも考えて欲しかった。
フックはオーナー製を採用
フックはオーナー製の#2サイズを採用。
元々チャドー用に作られたルアーなので、フッキングと強度を考えて日本製をチョイスしたと。
貫通ワイヤーフレーム共々、ガチなハンティング仕様になっています。
チャグバグとほぼ同じサイズなのに最初から#2サイズを標準として設計されているのは嬉しいですね。
まとめ
のんだくれのペンシルポッパーの基準はどこまで行ってもチャグバグなので、今回の記事は比較対象であるチャグバグをディスったかのような内容になってしまいましたが、ルアーは使う人の好みで適材適所ですから、どちらも使えるルアーであることには間違いない事実。
人間と同じように欠点を知ることでより長所が見えてくるということもありますからね😁