バスフィッシング歴の長いアングラー同士で話をすると、”昔めちゃくちゃ釣ったルアー” という話題になることがあります。
そんな話題で登場するルアーのほとんどは、【当時はそれがないと生きていけないほどだったけど最近は全く投げてない】というなかなか寂しい扱いとなってしまったものばかり。
そんなルアーの常連なのが今日のゲスト、コンバットポッパーです。
コンバットポッパーとは
コンバットポッパーはバスフィッシングブーム華やかなりし頃、エバーグリーンが放ったポッパーです。
コンバットクランク、コンバットペンシルなどと一緒に登場し、ショップに華を添えていた人気者。
デビュー当時はまだ入手しやすかったこともあり、多くのアングラーが一度は手にしたことがある日本のバスフィッシング史に残るポッパーと言っても過言ではないでしょう。
サイズ・重さ
コンバットポッパーのスペックは65ミリ。9.5g.
ベイトタックルで扱いやすいサイズまとめてくる辺りはいかにも関西のブランドですね。
単に重量のみならず、安定した飛行姿勢もあってキャスタビリティでは全くストレスを感じることはありません。
コンバットポッパーの特徴
ポッパーらしからぬ”おちょぼ口”
このルアーの最大の特徴は、ポッパーというには何とも控えめなカップ。
コンバットポッパー登場以前は、水を掴んでナンボ、ツバを吐いてナンボ的なデカ口のポッパーが多かったので、このルアーの形状は新鮮に映ったもんです。
ボディの幅よりもかなり小さくカップまとめているので、こんなんでちゃんとポッパーの仕事してくれるの?と不安になったアングラーは少なくありません。
しかしそこはさすがのエバグリ、『大きな音』ではなく『釣れる音』を追求した結果ゆえのカタチであることをしっかりと証明してくれました。(音の詳細は後述)
浮力を生むメタボボディ
しかし美味しそうな音を出すためにはアクションの元となるしっかりとした浮力も必要です。
そこでボディ幅を大きく確保することでクイックアクションに必要不可欠な浮力を確保。
一般的なポッパーはヘッドからテールに向かうにつれて細くなる紡錘型ですが、この時点でコンバットポッパーは ”一般的” でないことが分かります。
4種類のラトルが奏でるカルテット
しかしその浮力は機動性のためだけではありません。
ラトル配備による重量増をカバーする役割も担っているのです。
実はコンバットポッパーはこのサイズの水面プラグとしては異例ともいえる4種類のラトルを内蔵。
横方向の動きに反応するカタカタメインウェイト、縦方向の動きを担当するコツコツバランスウェイト、ヘッド部に仕込まれたシャラシャラグラスラトル、そしてハラの空洞に放り込まれた極小ビーズ、といった具合にポッパーとは思えないほどサウンドに厚みを持たせています。
特筆すべきは、これらのラトルがどの方向の、どんな小さな挙動にも確実に反応してしっかりとサウンドを鳴らすこと。
通常のルアーはある一定の方向でのみサウンド効果を発揮するものですが、コンバットポッパーは全方向どこからでもかかってこい仕様。
このルアーは波に揺らしておくだけで釣れると言われていましたが、案外大げさではないかもしれません。
ちなみに極小ビーズのサウンドは手に持って振るぐらいでは全く聞こえません。
しかし空気中と水中では音の伝わり方が違うことや、人間とサカナでは音を感じる器官が違うのでおそらく効いてはいるんだろうなと。
そう信じて使ったほうが楽しいですしね。
アクションはポッパーというよりもペンシル
コンバットペンシルのアクションは非常に素直なドッグウォーク。
ポッパーというよりはペンシルベイトとしてのキャラクターの方が強いセッティングになっており、小さな入力でも確実に首を振り、小さな小さな飛沫を飛ばします。
アクション特性としてはズイールのゲイリーウィッチ、ルーハージェンセンのP.J.ポップあたりに似ているので、それらがプラスチックでラトル入りになったとイメージすれば大きく外れることはないかと。

最近でこそあまり聞かなくなりましたが、当時は『誰でも動かせるルアー』というのが宣伝コピーの常套句でしたが、そのコピーのまんまのパフォーマンスを実現していますね。
しかしポップ音という点では、一般的なポッパーが出すような、ボワン!というサウンドではなく、ギルなどが水面でモジると気に発する、ポチュ!といった感じなので、大きなサウンドを期待したアングラーだと肩透かしを食らうかも。
これは水面静止時の喫水ラインの高さゆえ仕方のないことですね。
とはいえ、小さいながらもそれなりにスプラッシもポップ音も出せるので物足りなさを感じることはありません。
この辺の過不足ないセッティングはホント上手いなあと。
実際のフィールドでの使用においてもその控えめなポップ音を生かした使い方で多くの実績を挙げました。
岸際やオーバーハング奥に入れたら静かな弱めのアクションでプチュっと鳴らし、長めのポーズを取る感じ。
小さな挙動でもしっかり鳴るラトルが活きてくるシチュエーションです。
反対にクイックなノンストップドッグウォークでめちゃくちゃ釣ったという人もいるのでそれだけ操作の幅が広いという事なんでしょう。
そういえば最近グラスラトルを入れたペンシルベイトって見なくなりましたね。
もうトレンドじゃなくなったんかなw
カラーは天下のプリスポーンダイナマイト
カラーはエバグリの超定番色、プリスポーンダイナマイト。
メガバスのデッドリーブラックシャッドと並ぶカラー名の傑作ですね。
”名カラー名” ってなんだか変な感じですけどw
カラーチャートにはこれ以外にも多くの色がラインナップしていましたが、一度この色でイイ思いをしてからはほぼこれ一択となりました。
しかし初期のプリスポーンダイナマイトは画像のようにタイガーパターンが消えてしまうという欠点も。
近年のものは改善されているようですが、これは大きなマイナスでしたね。
最近のルアーでは少なくなったストライクドットもいかにも90年代って感じ😁
フックは#6サイズ一択
フックは前後とも#6サイズでリアのみフェザード。
これ以外のサイズも試しましたが、コンバットポッパーにはこのサイズ以外は不可。
なぜならフック重量が変わると先述のカップの喫水ラインが変わってしまって美味しそうなポチュッ!サウンドが出しにくくなるから。
ダブルフックとのスワップもよろしくなかったのでこのルアーは#6がゴールデンルールだと思うべし。
そういえば一時期フロントにもフェザーフックを装着して水面をゆっくりタダ巻きするなんて事もしてました。
今思えば近年流行りのベイトフィッシュ系I字引きだったな。
ネームはよろしくない
ネームはハラにプリントされていますが、ルアーのカラーと同化してしまって読めやしねぇ。
これはよろしくないですねー
プリスポーンダイナマイトはエバグリを代表するカラーなのにそれに対応していないと言う点ではマイナス100ポイント。
のんだくれはネームプリントにキビしいのです。
どこでも手に入るお手軽ルアー
そんなコンバットポッパーは当時死ぬほど出回ったので今でも中古屋の常連。
しかも300円前後でいくらでも手に入ります。
釣れるルアーがどこでも激安で買えるってこんなイイことありません。
それ故にミレニアム以降でバスフィッシングを始めた人には是非とも使って欲しいんですよね。
釣れると話題の最新入手困難ルアーを使うのと、釣れるルアーをロストを恐れることなくブチ込むことのどちらがサカナに近いのかなんてアホでも分かりますよね。
おわりに
コンバットポッパーが世に放たれてから20余年。
発売当時はヤングwだったアングラーも確実におっさんとなりクソGGYへの歩みを進めている一方、コンバットポッパーをはじめとした90’sルアー達の性能は衰えるどころか未だにGOLDなワケですよ。
ノスタル爺全開で『アレめっちゃ釣れたよねー』と空を見つめるのではなく、『あれマジやべーよ。え?使ってないの?』ぐらいのテンションの現在進行形鼻息フンガー😤状態でいれば、将来マカドリンクとかの世話にならなくても済むかもよ?😁