ブルーギルをはじめとしたパンフィッシュは、バスにとってはシャッドと並ぶ格好のベイトフィッシュだけにルアーの造形の元となる事が多いのは皆さんご存知の通りですね。
そんなブルーギルを徹底的に模したのがこのシリーズX。
スイムベイトで知られるベイトスミスがリリースした初のハードベイトです。
ベイトスミスは、ハド(=Hudd)の愛称で知られるハドルストンスイムベイトを追っかけて興された米国の会社。
しかしハドルストンのテールの形状をパクったとかパクらないとかでハドルストンから訴えられたりと、当初よりその身辺が騒がしい会社でした。
まあハドルストンはあのチャターベイトのZ-マンと並んで、類似商品を見つけては片っ端から訴える事で有名なので、ある意味、米バスフィッシング業界のお約束行事みたいなもんなんですけどね😁
そんなソフトベイトを主力商品としているベイトスミスが突如としてハードベイトをリリースしてきたので、ついにソフトスイムベイト市場に見切りをつけたのか?と湧き立ったのを覚えています。
しかし手元に届いた情報には、ちょっとヲイヲイなところがあって、N.I.B.トレーディングの取扱いブランドであるにも関わらず、のんだくれは眉をひそめてしまいました。
その理由は… もう皆さんお分かりだと思いますが、一応説明しておきましょう。
まずパッケージを開けると、何故かこのラインがぴょこん!と飛び出してきます。
そのラインを伝っていくと、こんな具合にオサカナの口に開けられた穴を通り…
背中に開けられた穴から抜けたラインはテールのラインアイへと繋がれます。
これでもうお分かりですね?
このルアーはロッドアクションによって引っ張られたラインがテールを上下にヘコヘコと動かし、瀕死のブルーギルを演じるというギミック付きだったんです。
言うまでもなくこの手のヘンタイ系ルアーはのんだくれの大好きなテイストですので、普通ならば無条件で飛びつくんですが、今回ばかりは少々状況が違いました。
なぜならば、この構造はミンダルアーズのインジャードミンダそのまんまだったから😂😂😂
水面ではこんな感じにテール下げの状態でご主人様の命令を待ちます。
この状態でロッドを細かくシェイクさせるとピコピコとテールが動くという直球仕様な仕掛けです。
しかし実際にやってみると、ピコピコアクション自体は問題なくしてくれるものの、シェイク時のラインテンションによりルアー自体が予想以上に手前に引っ張られてしまいます。
構造上仕方ないのかもしれませんが、インジャードミンダが割と移動距離を抑えられていたのでちょっと残念ポイントですね。
インジャードミンダはパッケージにステーショナリーベイトと記述があった通り、可能な限り移動距離を抑える事を目的として開発されていました。( この場合のステーショナリーは文具の Stationery ではなく、動かない事を意味する Stationary )
インジャードミンダを発売したミンダルアーズは、元々社長のジョンが副業で始めたビジネスだったこともあり、本業の多忙により廃業してしまいました。
まだ個人的に繋がっているので時々話しますが、また機会があればルアー制作をやりたいと言っているので今後に期待したいですね。
おおっと、また話が外れてしまったので軌道修正しましょう。
構造上のオリジナリティは置いといて、ルアーの造形や作り込みレベルはかなりクオリティが高いです。
元々このベイトスミスという会社名は、鍛冶師を意味するブラックスミス (=Blacksmith) を語源としており、ベイトスミスという名前にはベイト職人、ルアー職人という意味合いが込められています。
このシリーズXに施された細かな造形は、ベイト職人の何恥じる事なくリアルなペイント技術が如何なく発揮されてますね。
エラやヒレなどの見た目はもちろんですが、硬質発泡プラの特性をうまく生かしたジョイント部分などは開発の苦労が見え隠れしてて、ルアヲタならずとも見入ってしまいます。
気になるアクションはレスポンス性の高いドッグウォーク系。
インジャードミンダのように止めてピコピコ動かすルアーかと思いきや、意外にも速いテンポでシュパシュパするのが基本とのこと。
え? だったらこんなテールが動くギミックは要らんのじゃ… なんてオトナゲない事は言っちゃイケマセン。
こういう果てしなくアホなスパイス 高尚な思想があってこそのアメルアなんですから😂
フックは前後ともがまかつのEWGトレブルを採用。
米国にはこれと同じ形状のフックがいくつかありますが、あえてコストが2倍以上するがまかつフックを装備しているあたりに、ベイトスミスの本気度がうかがえますね。
という具合に、少々胡散臭い背景を背負いながらもなかなか健闘しているルアーなんですが、残念なお知らせもあるんです。
なんとベイトスミス社の迷走により、コイツが過去のルアーになってしまうかもしれないんです。
詳細は定かではありませんが、のんだくれの元に届いた情報では、役員の意見の相違から会社が分裂してしまった様なんです。
それを裏付けるかのように、現在ベイトスミスという会社は存在しておらず、従来のベイトスミス商品を扱う会社は【スミスベイト】という名前になっています。
もうベイト職人でもなんでもなくて、ただのスミスさん家のベイトになっちゃってます😅
一応ウェブサイトは存在していてオンラインでの販売もしている模様ですが、素人が見てもウェブストアの構築がメチャクチャな上に、価格もバラバラなので、多分機能していないのではないかと。
2020年9月 追記:
その後の情報により、改名した理由はベイトスミスという名前が既に商標登録されていて訴えられそうになったから、との事。
更に “ベイト” から “ベイツ” に改称されています。
会社分裂ではありませんでしたが、いずれにしてもキナ臭い話が付きまとう会社だなー笑
ベイトスミスには、ハドルストンにはない9インチのモデルがラインナップされており、さらにソフトスイムベイトには珍しく耐久性のあるフィニッシュが売りという貴重な存在。
局所的ではありますが、モンスターアカメをアングラーにはマグナムトラウト9インチが必携ベイトとされてるだけに、個人的にも何とか持ち直して欲しいと願うばかりです。
コメント
*2012年投稿時にいただいたコメントをそのまま転載しています
1. ヌマヤン March 10, 2012 08:36
インジャードミンダが欲しくてN.I.Bさんのホームページでオンラインショッピングの再開を待っているボクには刺激がつよすぎる!!!
欲しいッス。
どちらかだけでも販売してください~。
2. のんだくれ March 10, 2012 13:39
ヌマヤンさん
刺激強すぎましたか(笑)
インジャードミンダは現在、デザインも含めたコンポーネントの見直しをしてるところなので、
近日中にはリリースされると思うんですが、米国ではソフトベイトが好調なので、話を聞く限りではどうもそっちに忙殺されてる感じですね…
このまま気長に待つこととします。(笑)
3. チグハグ March 10, 2012 23:41
4戦前から存在する、ヘドンやアーボガスト等の傑作トップに並ぶプラグを、
私はいつまでも「モーラーハウス」で「水飲み鳥」
のごとく潜んで待ち続けますよ。
そして「ジャンクション」や「スライム」のCMのように叫びたいです。
手を振る飾りを自転車の前に付けて。(当方’67.S42)
バスプロの「イッシュ・モンロー」さんが、以前スナッグプルーフのオレンジベリーのフロッグで優勝されたとき、
「カバーに潜んでいたバスが、ブルーギルを捕食していたので、
腹がオレンジ色の雄ギルに似た??フロッグで釣ったのさ」
と勝者インタビューで語られたそうです。
そもそもバスが「ギルだ!」と思って食いついたのか、
水面下からフロッグのオレンジ色の腹が識別できるのか?
勝利者インタビューは鵜呑みにできないのか?と、
地下鉄を・・(略)朝まで眠れそうにないです。
4. ヌマヤン March 11, 2012 02:38
そーなんですか?いつか手にする日を夢見て(笑)ぼくも気長に・・・待てるかな?