ジャケット買い、通常ジャケ買いという言葉があります。
一般的にはレコードやCDなどのジャケットだけで音楽性や演奏者のスタイルを予想して買うことを意味しますが、ジャケ買いのほとんどはハズレというなかなかギャンブルな買い方でもあります。
音楽マニアならばジャケ買いで失敗した経験は山ほどあるはずw
そしてその購入スタイルはルアーにも当てはまります。
今日紹介するマディストはそんなジャケ買いのんだくれの元にやってきたクランクベイトです。
マディストとは
マディストはティムコが2015年?にリリースしたクランクベイト。
”?”マークが付いているのは、当時このルアーの事を全く知らなかったから。
3年ほど前に三重県のショップ、クルーズに遊びに行った際、店頭で見つけて初めて知ったのです。
そしてこのザリカラーにヤラれて即購入w
このブログの読者ならもうおわかりだと思いますが、かつてこのカラーのナックルペッパーでイイ思いをしたことがあるので、脊髄反射で股間が熱くなってしまったのです。
つまりこのルアーの詳細は全く知らないにも関わらず、”ジャケ買い” をしてしまったというワケです。

サイズ・重さ
マディストのサイズはボディ長60ミリ、自重18.5g。
RC方式の基準でいうところの2.5サイズですね。
個人的にストームのマグワートが大好物なので、ほぼ同等のサイズ感にヤラれたのは否めません。
形状的もマグワートにちょっと似ているので、アクションに期待していたのもあるでしょう。

特徴
サーキットボードのコフィンリップを採用
このルアーの最大の特徴は大きく張り出したサーキットボード製のコフィン型リップ。
わざわざ障害物回避と謳わなくても根がかりしない事を強くアピールするその佇まいは、猫にマタタビならぬ、シャロークランカーにコフィンリップ。
あーこれでリップラップをガシガシやりてぇ!となることうけあいです。
リップ裏にはハーネスも備わっており、シャロークランカーのハートをしっかりと撃ち抜いてくれます。
これ一見どってことのない構造体に思えますが、リップラップや護岸をハードに巻くアングラーにはナニゲに嬉しい配慮。
こうしてワイヤーを補強することでチューニングが狂いにくいのはもちろんのこと、リップの取付強度も格段に上がるのです。
ハードに攻める過程でオキニのクランクのリップが曲がったり破損したりで雄叫びを上げたことがあるアングラーなら分かってくれますよね。
断面がスクエア形状のバルキーボディ
そしてボディ断面がスクエア形状になっているのもマディストの特徴。
断面をスクエアに近くすることにより、フラットサイド的な効果はもちろん、ラウンド形状になっているものよりも同じサイズでも大きな体積が確保できるのでその分浮力が稼げるという利点があります。
それによって確保された浮力によりアクションのキビキビ感、水面への復帰スピードなどなど複数のメリットがもたらされています。(詳細は後述)
ボディで増幅されるラトル音
そしてその大きな体積はラトルサウンドにもメリットをもたらしています。
ラトルボールの可動域がそれほど大きくないので、手で持って振るとそれほど大きな音はしませんが、水中で泳がせてみると強く響く特性を持っているのです。
これは勝手な想像ですが、おそらくボディ自体を使ってラトルの音だけでなく衝撃波も増幅(アンプリファイド)しているのではないかと。
大きな容積を持ったスピーカーの方がより音が響きやすいアレの効果です。
ボディ断面がスクエアだとラウンド形状のものに比べてラトルの可動域を大きく確保出来るはずですが、あえてラトルボールの可動域を小さくして泳ぎを安定させた。
そして大人しくなりがちなラトルサウンドをボディのアンプ効果で強調したんじゃないかと。
どーです? のんだくれの相変わらずなヲタ妄想w
あばれる君なパイパワーアクション
ほぼロールなしのウォブリング
気になるアクションはほぼロールなしウォブリング。
フロントフックあたりを支点としてブンブンとリップを振り回す感じのパワフルなアクションです。
その様はまるでやんちゃな中学生が、オラオラ道開けんかい!と木刀を振り回しながら進んでいるかのよう。
あーこれだったら根がかりしないよねと妙な安心感がある泳ぎです。
そしてそのイメージを裏切らず、障害物回避性能もバッチリ。
リトリーブを止めればピンポン球なみの速度で急浮上するので、何かに当たったら一瞬浮かせるだけで根掛り率を大幅に低下させられます。
サーキットボードチップ特有のソリッドな感触をしっかりアングラーに伝えてくれるので、ハードボトムだけでなく杭まわりの攻略もストレスを感じることはありません。
とはいえブッシュ系はちょっとムズいかも。
まあこの辺はアングラーのスキルやタックルセッティングでも大きく変わるので使い手次第でしょう。
意外と軽い巻き抵抗
特筆すべきはこんなバルキーなボディにも関わらず、意外と巻き抵抗が軽いこと。
軽いと言ってもそれなりではありますが、このブリブリ泳ぎを実現しながらもこの軽快さに仕上げたのはなかなかのもの。
重さの基準がリトリーブ抵抗最狂のマグワートになってるとはいえ、この軽さはマディストのメリットのひとつであることは間違いないでしょう。
まあマグワートは急先行タイプなので水抵抗をがっちり受けるのに対し、マディストは緩やかな角度で潜行するのでその辺で差が出てるんでしょうね。
ゆえにあんまり深く潜ってる感じはありません。
US16lbナイロンで投げた感覚だと潜行深度は2メートルちょいぐらい?
とはいえカバークランキング自体、メインステージがシャローなので潜行深度でもストレスを感じることはありません。
水面使いだってバッチリ
そしてマディストは水面使いも出来ちゃうのがスゴイところ。
ロッドを立ててスローに巻けば波紋で寄せるバド的にも使えるし、トゥイッチでちゃんと首振りも。
水門の奥に入れたらチョンチョン… フラフラ~っと誘ってバイトがなければがっつりクランキングなんて複合技も出来ちゃうのです。
ここまで読んでもうお気づきだと思いますが、このマディストはマグワートの上位互換バージョンなんですよね。
ストレスなく巻き続けられる扱いやすさ、強く水を撹拌するパワフルなウォブリング、水中に響き渡るラトルサウンド、そして水面でも使えちゃう汎用性など、それぞれの要素をしっかりと満たしてくれる最上位クラスの互換バージョン。
これに気付いた瞬間、ソッコー買い漁ったのは言うまでもありませんw
カラーはいかにも”ティムコ”
カラーはオキニのオリーブクロー。
ボディの上と下のコントラストがシビれる釣れ釣れカラーで、ザリ足の毛の感じがまんまボーマーのザリカラーなとこも萌えポイント。
でもティムコはザリ系カラーが少なすぎるのが難点。
ベイトフィッシュ系やアピール系ばっかりでザリ系カラーのラインナップが薄すぎる。
ルアーの性能が良いだけにホントもったない。
フックは前後でサイズを変えた実戦仕様
フックはフロントが#4、#2の変則サイズ方式を採用。
カバーでの抜けとフッキングの最大公約数からこうなったと思いますが、フックサイズを変えていろいろ試してみたいところですね。
ネームは…
ネームは背中に大きくデザインロゴを背負わせた一投入魂方式。
これはこれでカッコ良いんですが、マディストってどんな意味なんでしょ?
MAD(イッちゃってる)IST(人)ってこと?
それともカバークランキングだからMUD(=泥)にも掛けてる?
もしくは寡黙だが実力があることを表すモデストModestに掛けた?
名前由来の記述がどこにもなかったのでアレですが、個人的にはもうちょっといい名前なかったの?というのが率直な意見。
なぜならマディストという名前からはこのルアーの特性が全くイメージ出来ないから。
音の響きとしてはイイかもしれないけど、ルアーの性能が高いだけになんというか、チグハグな感じは否めない。
このネーミングだったらぶっちゃけファットベッパーシリーズの派生モデルにしちゃった方が良かっ… いや、もうヤメときましょ。
どこで入手できる?
そんなサイコーなクランクなんですが、残念ながらもう生産していないので入手は店頭在庫を探すか中古市場頼みとなります。
どちらかというと店頭在庫を探したほうが早いような気がしますが。
しかしなんで生産を止めちゃったんでしょうね。
再販の気配もないところを見ると、コフィンリップは人気無いんでしょうか。
おわりに
冒頭でジャケ買いに触れましたが、ルアーなんてのは本人の感性で選ぶものなので、本来ジャケ買いじゃないとダメだと思うんですよね。
今はSNSでよく見かけるルアーじゃないと売れないとか変な時代になっちゃってますからね。
巷で釣れると話題になってるルアーも否定はしませんが、それはアングラーのスキルとフィールドの条件が揃って初めて”釣れるルアー”になるという事実がすっぽり抜け落ちてる事実にすら気づかない人が多すぎる。
釣具屋でルアーと対峙し、あのフィールドのあのスポットでこうしてああして… という妄想抜きでは釣りは成立しないという考えはもうGGYマインドなのでせうか。