スーパービー Super Bee / キャッチングコンセプト Catching Concepts

 

仕事柄、のんだくれは海外のいろんなハンドメイドルアーに触れる機会があります。

 

ご存知の通りハンドメイドの世界もピンキリで、超絶極めたアートと呼べるものからちびっ子の工作レベルまでまさに玉石混交。

 

そして海外ビルダー作品のほとんどは熱狂的なマニアにウケることはあっても、供給数やクオリティの持続性など商売ベースでは利益を出しづらいのが実情です。

 

しかし中には、そんなリスクを負ってでも取り扱いたい!と思う作品もチラホラ。

 

今日のゲスト、キャッチングコンセプトのスーパービーはそんなリスクテイクをしたくなったルアーのひとつです。

 



 

 

このブランドを一番最初に知ったのは確か2000年の初めごろだったと思います。

 

アメリカの友人のボックスに入っていたのが馴れ初めです。

 

その時の印象は特になし笑

 

キャッチングコンセプト Catching Concepts というちょっと変わった名前が引っかかったぐらいで、”ふーん… こんなのがあるんだ” ぐらいで終わりました。

 

 

 

しかしそれから随分経ってコトが動き出します。

 

先述とは別の友人のボックスでキャッチングコンセプトと再会したのです。

 

あ、このクランク知ってる、というのんだくれの一言をキッカケにその友人のキャッチングコンセプト愛が炸裂しw、ビルダーを紹介してやるよという流れになったのです。

 

その友人が持っていたキャッチングコンセプトは、初めて見た頃のモノとは全く違っていてクランクベイトとしてのクオリティはもちろん、ペイントスキルも飛躍的に向上していたので、え?紹介してくれるの? ラッキー!と即決で紹介してもらうことに。

 

 

 

キャッチングコンセプトの特徴は、ルアー本体の魅力もさることながら、ビルダーであるハーマンオズワルド Herman Oswald の経歴が非常に興味深いこと。

 

ハーマンは長年プロのツリークライマーとして国立公園の森林管理に従事していた人物です。

 

ツリークライマーとは高所の枝を払って樹木や森の育成サポートをする仕事で、時には60メートル以上の高さで作業をすることもある危険な職業。

 

そんなハーマンがオフシーズンにたまたま作ったクランクベイトがめちゃくちゃ釣れると話題になったところからキャッチングコンセプトが動き出します。

 

1980年代の終わりごろの話だそう。

 

ハーマン曰く、職業柄、樹木の特性を知り尽くしているので、クランクベイトに適した部材を選ぶのは A piece of cake、つまり朝飯前だからね、と。

 

もうこのバックストーリーを聞いただけでのんだくれは恋に落ちてしまいましたw

 

ルアーそのものに関する話は文献にしろネットにしろ掘り下げていけば出てきますが、こういったルアーデザイナーのライフストーリーは本人から聞き出さない限りはほとんど聞くことができないので、今度会いに行くからもっと話を聞かせてよ!と半ば強引に押しかけたのです。

 

その頃はまだ取引もしてなかったのに、今思うと迷惑なヤツだったなーw

 

 

 

ハーマンのファクトリーに行くと、作業場の案内もそこそこに近くのリザーバーへ。

 

そこで投げろと差し出されたのがこのスーパービーでした。

 

フラットサイドクランクが売りのキャッチングコンセプトの中では最もファットなクランクなので、なんでコレ?と思いながらも投げてみると、すぐにその答えがわかりました。

 

そのリザーバーはシャローにビーバーの巣が点在していて、バスをキャッチするには巣を構成する木の枝対策がキーだったのです。

 

つまりスナッグレス性能が高いクランクでないと釣りになりません。

 

 

 

木の枝が多いスポットを攻略するにはスクエアビルの障害物回避能力と強い浮力が必要不可欠だったのです。

 

日没から月が出るまで一時間ほどの短いトリップでしたが、ブラッシーなスポットから良型ラージをコンスタントに引きずり出すその性能に、のんだくれはすっかりノックアウトされてしまいました。

 

 

 

 

翌日も朝イチからボート上でクランクベイトの講義です。

 

スモールマウスの聖地としても知られているアルメナー湖 Lake Almanor の超クリアウォーターを教室にして、各モデルの特徴や紫外線がカラーに与える影響、6mボトムでザリガニを食っているスモールを2mダイブのクランクで釣る方法などなど、チンコ立つ余裕もないほどの濃密レクチャー。

 

 

 

そしてそこでもこのスーパービーは大量のバスをもたらしてくれたのです。

 

正直なところ、なんでこのクランクがよく釣れるのかは分かりません。

 

ただ一つ言えるのはワイドだけど早いピッチのウォブリングとそれに伴う大きなディスプレイスメント、そしてボディをフラつかせながら急浮上する動きは他にはあまり見られないのでそのあたりにキーがあるのかもしれません。

 

 

 

テールエンドの幅が大きく取られているところも、動きにキレを残しつつ浮上時の水抵抗を増大させる役割が。

 

初期のキャッチングコンセプトはいわゆる一般的なフラットサイドクランクの造形でしたが、90年代の終わり頃からこの面取りフォルムに移行して今に至るので、数多くのプロからのオーダーをこなしていくうちに何かが見えてきたんでしょうね。

 

 

 

そしてキャッチングコンセプトのこだわりはリグパーツにも溢れています。

 

ラインアイは全てブラスのフラットワイヤーを手曲げで自作。

 

フロントフックのウェイト兼フックハンガーも汎用品は使わずに、鉛を流して自作するほどのこだわりよう。

 

このこだわりは70年代のバグリークランクの存在が大きく影響していて、ハーマン自らがガチのバグリーコレクターであることから自身の作品に妥協したくないという職人気質の表れでもあります。

 

 

 

そこまで細部にこだわるぐらいなので、カラーリングに対する熱の入れようはもう超人級。

 

このギルの婚姻色ひとつを取ってもウロコの大きさを変えてラメの量も少なくするなど、あーこれこれ!と言いたくなる仕上がりを実現しています。

 

ベースとなるレギュラーカラーだけで悠に50を超え、オーダーごとにトーンの強弱やラメのサイズなどの細かいリクエストを受けるので、組み合わせは無限大。

 

しかもどの色も最強のクオリティで仕上げてくるので頭が下がります。

 

プロからの細かい色指定を妥協することなくこなしてきたからこそ身についたスキルだと本人も言っていたので、コトの違いはあっても、技術を上げる最短距離は数をこなすことなんだなと改めて教えられました。

 

 

 

カラーにこだわるぐらいなので、フックへのこだわりも半端じゃありません。

 

キャッチングコンセプトではそれぞれのモデルに最適な形状のフックを装着しており、これも全てハーマン自身の実釣テストからのフィードバックの結果。

 

フックの解説もボート講義で全部聞いたんですが、情報量の雪崩でほとんどトンじゃいましたw

 

そのあたりの解説はまた聞いておきます。

 

 

 

キャッチングコンセプトのルアーには個別のネームは入っていませんが、全てのモデルにはスイムテストをパスした証としてハーマンのサインと製造年が手書きで入っています。

 

米人のサインとしてはスゲー達筆ですよねコレw

 

手書きゆえ、遊び心から時々イレギュラーなサインを混入させるので、サイン+製造年以外の表記を見つけたらレア物ですぞ。

 

 

 

のんだくれ的にはこの腹側のスペースに何も書かれていないことが気になりますが、そこはあえて触れないのがオトナということでw

 

 

 

そんなキャッチングコンセプトですが、最近やっとファクトリーの引越しを終えて生産体制が整ったので近々入荷する予定となっています。

 

具体的な時期やどのモデルが入るのかは来てからのおたのしみ。

 

アメリカには注目すべきハンドメイドクランクが数多く存在していますが、西海岸の元木こりが制作する南部スタイルのフラットサイドクランクもチェックしておいて損はありませんぞ。

 



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