当のスミスウィックですら越えられない完成度の高さ サスペンディングラトリンログ Suspending Rattlin’ Rogue ASDRB1200 / スミスウィック Smithwick

ショートビルジャークベイトスミスウィックルアーズ Smithwick Lures

 

ルアーがこの世に誕生して150年以上が経ちましたが、どんなにオリジナリティのあるルアーでも元を辿ればお手本となったルアーが存在します。

そして名品と呼ばれるルアーほどその ”お手本率” が高く、お手本とされることによってその ”壁の高さ” を世に知らしめていると言えるでしょう。

そんなルアーのひとつが今日紹介するジャークベイトの名作サスペンディングラトリンログ。

数多のジャークベイターから神ルアーとさえ言われているミノーです。

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サスペンディングラトリンログとは

ログは1960年代の終わりにリリースされてから現在に至るまで、常に第一線で活躍し続けているジャークベイト界のモンスター。

日本では80年代まで今ひとつブレイクしきれない地味なポジションでしたが、90年代初めにスミスウィックがプラドコチームに参画したことで飛躍的な成長を遂げます。

その成長の柱となったのがオリジナルモデルであるラトリングログであり、このサスペンディングラトリンログでした。

サスペンドモデルは元々バスプロショップスのみで発売されたエクスクルーシブモデル(当初はダイビングモデルのみ)でしたが、その売れ行きに押されて本家スミスウィックのレギュラーモデルに昇格したというエピソードを持つ、現場生え抜きのエリートでもあります。

そしてプラドコオートグラフシリーズの一員に選抜されたことで日本での知名度も一気にアップ。

それ以降の活躍ぶりはもう説明の必要はありませんね。

サスペンディングラトリンログのサイズ

今回紹介するログはASDRB1200と呼ばれる4.5インチ/115ミリ、1/2oz/実測12.5gのモデル。

既に生産が終了しているモデルも含めれば17種類もあるログファミリーの中で、最も実績があるモデルとしても知られています。

サスペンディングラトリンログの特徴

流麗なスレンダーボディ

ログの特徴は何と言ってもこのシャープなアングルのノーズと、ラパラのオリジナルフローティングを彷彿とさせるスリムなボディライン。

今でこそジャークベイトという呼び名が定着しましたが、おっさんアングラーにとってはやっぱりミノーという言葉がしっくりきますね。

だって当初はスミスウィックのカタログにすら”ジャークベイト”というワードは登場しておらず、ミノーもしくはスティックベイトの呼び名が一般的でしたから。

逆の言い方をすれば、それまではジャーキングというテクニックがまだ確立されていなかったとも言えるでしょう。

”ゲイラカイト”アイ

そしてスミスウィックのアイデンティティでもあるこの目。

おっさんアングラーの間では ”ゲイラカイトアイ” の通称で知られていますが、ゲイラカイトを知らない世代にとってはなんのこっちゃ?でしょうねw

お節介ながらも解説すると、ゲイラカイトとは1970年代に爆発的に流行ったアメリカ発祥のスポーツカイト(競技用の凧)のこと。

当時この走らなくても上がる凧を持ってたヤツはスターであり、持っていない子供達は ”ありがたくお借りして凧を上げさせていただく” という謎の主従関係wまで生み出すほどの影響力がありました。

ファミコンやスーファミの時にもあった、人気ソフトを買った途端に人気者になれるというアレにも似たヒエラルキー意識により、この目のデザインが少年達の心に深く刻まれ、のちにルアーの呼び名にまで影響するなんて日本人はホント面白い感覚を持ってますよね。

ちなみにこの目が米国でどう呼ばれているかを機会ある毎にコレクター連中に聞いたり調べたりしてますが、未だ核心を突いた回答には辿り着けていません。

スミスウィック内での呼び方も含めて絶対に”正式な呼称”があるはずなんですけどね。

どなたかご存知の方がいらっしゃったら是非ご一報を。

余談ですが、米コレクター連中に ”スミスウィックのペイントアイは日本じゃゲイラカイトアイ(Sky Spy Eyes)って呼ばれてるんだぜ” と話した事がありますが、同世代に話しても “スカイスパイアイ?なんだそれ?” な反応で、画像を見せても”全然似てないじゃん” でした。ちゃんちゃん。

ボディに刻まれたヘキサゴナルパターン

そしてログといえばボディに刻まれたこのヘキサゴナルパターンが有名。

ボディ表面に凸凹加工することで水がボディにまとわり付くのを防ぎ、よりキレのあるアクションを生み出すと言われています。

が、のんだくれはこの凸凹加工の効果は懐疑的な目で見ています。

ゴルフボールのディンプル効果もあるので言いたいことは分からんでもないのですが、本国カタログなど公式な発行物にその説明文言が載っているのを見たことがないというのが理由のひとつ。

そして最近モノではあまり見られませんが、ちょっと前まではこのパターンを塗り潰すかのような分厚いペイントワークを施したログが普通に出回っていた、というのが2つ目の理由。

もし本当に凸凹にそんな撥水効果があるなら、ご丁寧に厚塗りするようなマネはしないよね、と思ってるのです。

でもね、矛盾しちゃいますが、そういう検証しようがない要素も引っくるめての ”ルアー” なので、この手の理論はむしろ大歓迎。

だってログでデカいの釣ったら、”バイトに持ち込んだあのジャークはこの凸凹が効いてたな” とか思い出してニヤニヤ出来るじゃないですかw

仮に撥水効果が全く無かったとしても、そのニヤニヤだけで、あの時ログを使って良かったなーってなれるんです。

ルアーは生きるために使う”漁具”ではないので、どこまでいってもオモチャ。

同じオモチャだったら信じる信じないはともかく、妄想ネタが多いほうが楽しくなると思いません?😁

サスペンディングラトリンログのアクション

水中では常に頭下げの状態で御主人様からの命令を待ちます。

水温にもよりますが、スナップかフロロカーボンライン使用でスローフローティングになる設定。

リトリーブによるスイミングアクションは、ミドルフックのやや前を支点としたX字のウォブンロールといったところでしょうか。

肝心のアクションレスポンスはジャークベイトのお手本となっているだけあって、非常にクイック。

小さな入力でも機敏に反応し、ピリリッ!と泳いだ後は急制動を見せるなど、緩急を付けたアプローチをしたい時にはピッタリ。

どちらかと言うと近年のジャークベイトが得意とする横っ飛びダートの要素は薄いので、背中と腹の色彩明度差による明滅効果を意識した使い方がキーになるルアーといえるでしょう。

その運動特性はログのカラーチャートを見ても分かりますよね。

独特なカラーリングもログの特徴

ドットに秘められた法則

カラーリングといえばこのドットもログの特徴。

バスがバイトする際の目安となるという考え方から、バイトマーカーとかストライクドットと呼ばれています。

しかしログのこのドットにはある一定の法則があるんです。

先出のカラーチャートを見てもらえば分かりますが、ペイントフィニッシュとクロームフィニッシュとではドットの位置が違うのです。

ペイント系はフロントフック辺りのボディ側面に黒いドットが入っていますが、クローム系はミドルフックのすぐ後ろ、やや下側に赤いドットが入っています。

そしてこの法則もモデルによって微妙に違ったりしています。

この違いについてもいろいろ調べましたが、いろんな説はあるも、目の呼称同様に核心を突いた回答には辿り着けていません。

なのでこの謎を解く明快な答えをお持ちの方がいらっしゃったらご連絡を待ちしてます。

実際のマークメネンデスモデルは全く違うものだった

ちなみにこのカラーはログの定番スレッドフィンシャッド。

誇張しまくってるので、このカラーのどこにスレッドフィンシャッドの要素があるのか分かりませんがw、スミスウィックのカラー名はちょっと変わったテイストなので、これもメリケンの大好きなワードプレイと見るのが正解でしょうね。

ちなみにこのカラーはプラドコオートグラフシリーズのマークメネンデスMark Menendezモデルのベースとなったカラーで、オートグラフシリーズの生産終了後にレギュラー化された人気色。

昨年連射されたBack to Classicカラーといい、プラドコは過去のリソースを再生させるのが上手いですよね。

余談ですが、オートグラフのマークメネンデスモデルはサスペンド仕様でしたが、後に彼のインタビュー記事を読んだところ、実際に使っていたのはフローティングのフロントフックにシンカーを付けた「スローシンキング」だったとの事。

彼曰くフロントのフックにウェイトをぶら下げると、ボディにウェイトを貼った時よりも不安定な動きとなりバスに違和感を与えてバイトされやすい、と。

こういう情報を知ると、世の中に存在する多くの ”シグネイチャーモデル” は、釣具に限らずメーカーの都合によって仕様変更されてるんだろうなと思っちゃいますね。

シグネイチャーモデルといえども基本的には「名前貸し」ですから「焼肉 小倉優子」程度のもんだと理解しておくのがよろしいかと。

フックはエクスキャリバーの#6

フックはヒネリの入ったロテートフック#6が装着されていますが、ログは時期によってショートシャンクの赤鉤だったりクローポイントだったりするので、どれが標準なのかは不明。

個人的にはこの時期(2013年ぐらい)のブロンズで錆びにくく進化したロテートフックが好み。

そしてログといえばフックがボディと強烈に擦れるルアーでもあるので、こまめなフックポイントチェックをお忘れなく。

ジャークベイトはポーズ中の甘噛みが多いルアーなので、これに気をつけるだけで釣果は確実に変わります。

ネームはリップ刻印のみ

近年のモデルはボディにネームの類いは一切なく、リップに刻印があるのみ。

リップ刻印のルアーも少なくなってしまった昨今では貴重な生き残りですね。

でもさすがにモデルナンバーの ”ASDRB1200” まで入れる男気はないようですw

そうそう、モデルナンバーといえばログはモデルによる特性の違いが分かりにくいルアーとしても知られています。

使ってみたいんだけど、似たようなモデルナンバーが沢山あって何がどう違うのかよく分からん、なんか偏狭マニア向けみたいでとっつきにくい、などという声が多いのもログの特徴のひとつ。

かつては当のスミスウィックも明確な定義でプロモーション出来ていなかったようで、80年代のカタログでは頭のAが付いてたり付いていなかったり、そもそもモデルナンバーが違ったりとなかなかの迷走っぷり。

確実にAを付けてモデルによる違いを明確化したのはエクスキャリバーのジムビッターモデル以降とニラんでますが、実際のトコはどうなんでしょうか。

俺はログにはうるさいぜ!という方に是非お聞きしたい。

アメルアならではの落とし穴も

しかし褒めるところばかりではないのがアメリカンルアー。

過信するとヲイヲイな事もあるのです。

このログはアメリカで買ったものですが、帰国してよく見てみたらラインアイの付け根のプラが欠けてグラグラになってました😂

のんだくれはアメルア耐性が出来てるのでこの程度の事ではなんとも思いませんが、国産ルアーの検品クオリティに慣れきったアングラーがこれを見たらアゴ落ちますよねw

結果的にはエポキシ樹脂でしっかり固めたので使用には問題ありませんが、アメルアにはこういうモノがあると肝に銘じて接する必要があります。

過去にもリアペラの無いベビートーピードとかラインアイが無いビッグオーなどの物件に出会ったことがあるので、購入前のチェックは必須項目。

個人的にはそんなのを見つけたらテンション爆上がりですけどねw

おわりに

ラトリンログは間違いなくスミスウィックの金看板を背負ったスター選手ですが、同時にアングラーからは古いイメージを持たれてしまっているというメーカーにとっては諸刃の剣でもあります。

スミスウィック自身もはるか昔からこの問題に取り組んでおり、古いイメージを払拭すべくログの新製品を投入し続けています。

しかし残念ながら、どのモデルも基本モデルとなるサスペンドを越えられていないんですよね。

サイズや潜行深度違いなどあらゆる角度からオリジナル超えにトライするも、当のスミスウィックですらラトリンログの壁の高さに苦しめられているのです。

そんな ”お手本ルアーであるがゆえの苦悩” に思いを馳せながらジャークしてみると、今までとはちょっと違った見方が出来るかもしれませんね。

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