日本のシャッドプラグ黎明期を支えた力作  P-BOY シャッド P-BOY Shad / タックルハウス Tackle House

クランクベイトシャッドタックルハウス Tackle House

この間のスマックタックル/Gizz-4の記事で、やたらとコーデルのCCシャッドを意識した… みたいな事を書きましたが、日本にもそんなルアーがあったのを知ってます?

C.C.シャッドのヘビーユーザーが不満を解消するために自ら開発したデカシャッド ギズフォーシャッド Gizz-4 Shad / スマックタックル Smack Tackle
自分のお気に入りのルアーを使い込んでいくと、どうしても出てきてしまうのが、『もうちょっと◯◯◯だったらいいのにな』というヤツ。 オキニのルアーは思い入れも強く、使用頻度も高いだけに、一度気になりだし...

それがこのP-BOYシャッド。

あのタックルハウスがバスフィッシングに一生懸命だった頃に発射された、気合い入りまくりのホイル貼りベイトです。

随分前の記事でも書きましたが、コイツはポッパー、バイブレーションと一緒に三つ巴のP-BOYシリーズとして80年代後半にリリースされました。

80年代後半と言えば、国産ルアーメーカーの多くはまだアメリカの追っかけをしてた頃でしたね。

当時のタックルハウスはウッド素材を使った国産ならではというか、独自のセンスで頑張ってたメーカーだったので、アメルアちっくなこのシリーズが出てきた時はちょっと違和感を感じたのを覚えています。

このルアーの特徴は、この縦扁平の薄型ボディです。

このボディが水中で大きくはためいて、水をかき回してくれます。

この形状がシャッドプラグのいわゆる最終形なんでしょうが、形状はもちろん、アクションもあのCCシャッドを意識してるのは間違いないでしょう。

最近の国産シャッドにはあまり見られない扁平さなので、むしろ斬新な感じすらしますね。

シャッドラップとは対極に位置するバタバタ泳ぎのアメリカンシャッド C.C.シャッド CD12 C.C. Shad CD12 / コットンコーデル Cotton Cordell
日本のバスフィッシングに大きな影響をもたらした"シャッド"というカテゴリー 70年代終わり頃、西日本を中心にバスフィッシングシーンを席巻していたシャッドプラグがありました。 そうです、ボーマーのスピードシャッドです。...

しかし単なるフォローで終わらないのが我らがタックルハウス。

そのボディは、アメリカンルアーにはない何とも言えない流麗な曲線で構成されています。

こうして横から見ると、あのプロンソンとかバスクルーダーに通じるものがありますね。

シャッドプラグ特有のバタバタヒラヒラ泳ぎを演出しているのはこのダイビングリップ。

一見、深く潜行しそうな感じに見えますが、このリップのリーチはボディを激しく揺さぶるためのものなので、実際の潜行深度は頑張ってもせいぜい1.5m程度でしょう。

丁寧に処理されたエッジや、突き出たヒートンの先をカットするという細かな心遣いがタックルハウスならではの凛とした雰囲気を醸し出しています。

そしてこのルアーで見逃してはならないのがこのホイルワークです。

プラスチックボディに型押ししたホイルをひとつひとつ貼り付けていく作業は、その手間ゆえ、今の量産プラグでは絶滅してしまった手法のひとつですが、それをしっかりと手抜きなくやってくれているところがサスガです。

話は変わりますが、先日フィッシュアローのハドルジャック125・剥製アユバージョンに魚皮を貼った本人と話をする機会がありました。

以前から何度かお会いした事のある方が、実はその皮貼り仕事の本人だったので、その事実を知った時マジでチビりそうになりました🤣

その際に聞いた製作エピソードや膨大な手間で、あの剥製アユバージョンの価格【6,300円】がいかに安いかを思い知らされました。

このP-BOYシャッドは本魚皮ほど大変な作業じゃないにせよ、当時1,300円前後のルアーでクオリティを保ちつつ一枚一枚ホイルを貼っていくのは、ロスはもちろん、苦労が絶えなかったでしょうね。

そんな苦労を知った上でホイル貼り後を眺めてみると、単なる継ぎ目もなんだか愛おしくなってくるからフシギ。  …ってキモ過ぎですかそうですかすみません。

ちなみにハラの中には大小のラトルがテンコ盛りに詰め込まれてて、ジキジキシャラシャラと騒々しく泣きわめきます。

のんだくれの知る限り、縦扁平のシャッドプラグでこれほどまでウルサい奴は居ないんじゃないかと。

フックは当時のままのオリジナル。

よーく見ると、今のショボい中国製よりも更にショボかったりします笑

でもこれがエエんです。

当時は何の疑いもなく使ってて、しかも何の問題もありませんでしたから。

他のP-BOYシリーズ同様、ネームは背中にステンシル吹きされてます。

でもシリーズ共通のロゴのみで、シャッドの記述はドコにも無し。

これでフルネーム入ってたら100点なのになー。

それにしても P-BOY の P って一体なんの略なんでしょうか。

当時はティファのゼブラシャッドと共に国産シャッドの代表として活躍してくれたんですが、タックルハウスのバスルアー撤退を受けてあえなく消滅。

今、縦扁平でヒラヒラジャラジャラと泳ぐ国産シャッドクランクが見当たらないだけに、コイツはコレクターズアイテムというよりも、実戦クランクとして貴重な存在ですね。

時々中古屋で見かけるので、見つけたら迷わずゲットしてくださいな。

 

コメント
*投稿時にいただいたコメントをそのまま転載しています

 

1. としくん April 03, 2011 09:27
リップが飴色に(笑)
これの、オーロラフィルムを貼り付けたタイプがあるのですが、
アルミ箔より密着しにくいようでして、ボデー表面の凹凸が…
その為か?まっすぐに泳ぎませんでした(泣)

 

2. tei-g April 03, 2011 18:01
同じカラー持ってますが、チビリコといい、このころのタックルハウスはいいですよね。
P-BOYは変にコレクターズアイテム化してないから安価で買えますし。
P-BOYの名前がついた手で曲げられるメタルジグもありましたね。

 

3. のんだくれ April 03, 2011 22:26
としくん
そうそう、初期のオーロラフィルムって今とは比べ物にならないぐらいの厚さでしたもんね。
実際p-boyポッパーのオーロラ版を持ってますが、貼りがゴテゴテ。(爆)
でもそれでも許されちゃった時代ですから。(笑)

 

4. のんだくれ April 03, 2011 22:27
tei-gさん
チビリコシリーズはあれは名作ですよ。
最後の方はチビリコとは呼べないデカい奴も出してきて、カオス状態になってましたが。(笑)
しかしそんなジグがあるとは知らんかった!
ちょっとググって来ます。

 

5. いるか April 04, 2011 10:01
最後にリップまでウレタン処理してるからかな?リップの黄変が時代刻んでますね。
ハンドメイドかじった者からすれば、ホイルフィニッシュで1300円っちゃあ恐ろしい価格破壊ですよ。
バグリーの小学生夏休み工作みたいなしわくちゃ張りだって、手間からすればあの価格(1500円)は妥当ですもん。
そーいやもう一つ、CCシャッド・リスペクツなのがありましたよね。
泉サンのTDフリックビート!セールス大失敗、初期ロット終了っぽかったけど、マニア垂涎の逸品なのか中古ではほぼ出回らないアレ。
重心移動付きで『飛ぶCCシャッド』等と反則級の性能だからか(笑)

 

6. ブッシー April 05, 2011 23:43
ロドリ連載お疲れ様でした^^
P-BOYはガキの頃なんだか高級感あって好きでした。
タックルハウスというブランドに踊らされていたのかなw
だから、使えなかったので性能は判らないまま保管継続中w
中古であまり見ませんね~^^;

 

7. 国産ルアー April 06, 2011 05:27
5今日は 当方 ピーボーイシャッド、同じ色 もっています(滝汗)
ゼブラシャッドと ゼブラのディープ版 シャロー版ももっています o(^-^)o

 

8. のんだくれ April 07, 2011 05:05
いるかさん
シーーーッ!
フリックビートについては言っちゃダメって事になってるじゃないですか!(汗)
あれはハンソクです、マヂで。
元々出回ってる数が少ないのか、中古屋での遭遇率は低いですし、
マットブラックのヤツにいたっては… あ、もうこれ以上はやめとこ。

 

9. のんだくれ April 07, 2011 05:08
ブッシーさん
ロドリ連載は一旦お疲れさんだったんですが…  まあ結果はそのうち分かります。(笑)
タックルハウスというブランドがちょっと高級なイメージだったのは間違いないので
使うのに躊躇してたってのはのんだくれにもありましたよ。
あのままバスルアーで走ってくれてたらサイコーだったのに、ヒッジョーに惜しいです。

 

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