日本的進化を果たした北米ルーツのクローラーベイト ラウドジャック Loud Jack / ジャックインザボックス Jack in the Box

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ルアーの歴史はコピーの歴史でもあります。

既存の商品に新たな解釈や機能を付加された商品がさらにコピーされて進化していく。

コピーが繰り返されなければルアーフィッシングはここまで発展しなかったかもしれません。

しかし世に言うコピーとはちょっと違った系統のものもあります。

それはオリジナルを忠実にリメイクしたレプリカというスタイルです。

オリジナルが入手できない、もしくは入手しづらい状況において敬意をもって制作されたクローンのようなもの。

今日はそんなクローンルアー、ラウドジャックのオハナシです。

 

ラウドジャックとは

 

ラウドジャックは国産ルアーメーカー、フィネスがリリースしたトップウォータープラグ。

「ジャック・イン・ザ・ボックス」のブランドから発売されました。

見ての通り羽根が生えたクローラーベイトですが、このルアーはかつて米ペンシルバニアに存在したブランド、リブーフベイトカンパニーLe Boeuf Bait Comapnyのクリーパーのリメイク/レプリカ品としてリリースされました。

クリーパーは販売期間が短かっただけでなく既に生産が終了しているので入手困難なルアーとして知られており、米中古市場での取引額は軒並み100ドル超えというコレクターに人気のルアー。

かつて入手困難なクリークチャブのビートルをリメイクしたスカラブというルアーがプラスティックイメージからリリースされた事がありましたが、それと同じ系統のレプリカスタイルでの登場です。

入手できないものをリメイクしたらコピーではなくレプリカという解釈には議論の余地もありますが、オリジナルへの敬意ゼロでコンセプトだけごっつあんなルアーに比べたらかなりの優等生なんじゃないかと。

 

ラウドジャックのサイズ・重さ

 

ラウドジャックのスペックは70ミリ、19g。

水面系アングラーの標準であるハチゴー(5/8oz)サイズに収められています。

このルアーにはオリジナルと同様、マスキーサイズもラインナップされており、昨今のデカハネ流行からマスキーに手を伸ばしたくなりますが、のんだくれとしては圧倒的にオリジナルサイズがオススメ。

 

 

その理由は後ほど解説しますが、ルアーは大は小を兼ねない事をまず覚えておいて欲しいのです。

 

ラウドジャックの特徴

羽根の可動域を制限した圧倒的使いやすさ

 

ラウドジャックの特徴は誰がなんと言おうとこの羽根でしょう。

大きな開放角のステンレスウィングをボディに留めているヒンジは専用開発。

 

 

後ろだけでなく前側にもストッパーを設けることで前後の可動域を制限し、クイックな立ち上がりと安定したアクションを実現しています。

そのヒンジの効果は閉じ角の大きさを見れば明らか。

ラウドジャックとクレイジークローラーのウィング閉じ角の比較

 

着水後は確実にハの字になるのでクレイジークローラーで時折見られるような、羽根が正常に開かないことによる「ワンアクション目の悲劇」が起こりにくくなっています。

とはいえ、この手のルアーに機能のシビアさを求めるのはちょっとお門違い。

本題とは矛盾するけれど、クローラーの釣りはたとえワンアクション目で羽根が開かなくても「アカンやんw」と笑い飛ばすぐらいの余裕を持って釣るのがお作法。

一撃必殺でデカバスを狙うアングラーならともかく、そういった欠点も含めて楽しめる人が使うルアーなのですw

またオリジナルサイズは羽根がステンレス製なので耐久性が高いのがウリ。

軽量化を狙ってアルミニウム製の羽根を採用するクローラーも多いのですが、耐衝撃性はもちろん、調整を繰り返すと金属疲労で折れてしまうなど難点も。

その点、耐久性の高いステンレスならそういったストレスからも開放されます。

ちなみに兄貴のマスキーラウドジャックはアルミニウムの羽根で強度にやや難あり。

なので魚を釣ったあとやオーバーハングにぶち込んでしまったなどの後にはアクションチェックがマストとなるのがオリジナルをオススメする理由その1。

 

横割れボディ

 

ボディは上下でパーツを張り合わせたいわゆる横割れ構成で、フックや羽根などのリグをそのままウェイトにしたノンウェイト構造。

オリジナルのクリーパーには採用されていなかったサーフェイスリグを採用することで低重心を実現しています。

 

 

ラインアイはオリジナルクリーパー同様、プレートリグを採用。

スナップ使用が前提となりますが、トップウォーターはクラシカルな雰囲気を重視するアングラーが多いのでこれは嬉しい配慮。

 

安定したアクションを生むスラントシェイプ

 

オリジナルクリーパーに準じたアゴは水を受けて揚力を生み出すスラントシェイプ。

羽根自体の重量でどうしても前のめりになりがちなクローラーベイトですが、この形状によりロッドティップを下げた状態でも安定した水面アクションを見せてくれます。

 

徹底的にカエルを意識した造形

 

オリジナルクリーパーは別名ワドルフロッグと呼ばれていた通り、徹底的にフロッグの造形を意識していたのも特徴のひとつ。

目玉から腸骨にかけての背中のラインには思わずニヤリ。

 

 

そして黒目がちの大きな目も注目ポイント。

カエルモチーフのルアーは魚モチーフのルアー以上に目の表情が重要で、アングラーのモチベーションにも大きく影響するところ。

そしてなによりも元となるオリジナルクリーパーと比較されるので、絶対に手が抜けないポイントでもあります。

 

伝統的クローラーアクション

 

気になるアクションはトプトプ泳ぎの典型的なノイジーアクション。

一回一回しっかりと水を掻き、アングラーだけでなく水中にもよく響くクリスプなサウンドを発してくれます。

この泳ぎやサウンドはクローラーベイトではなく、あえてノイジープラグと呼びたいところ。

クレイジークローラーのマイルドで甘いサウンドとはまたちょっと違うので、アングラーによって好みは分かれるかもしれません。

 

 

肝心の泳ぎだしはクイックそのもの。

着水後の静止状態で既に確実に開いているので助走距離が10cmもあれば動きも音も完全な臨戦態勢に入れます。

セッティングがバッチリなのでパケ出しの状態でも水キレ抜群のセッティングになっているのも高ポイント。

ゆえに昨今のトレンドであるデカハネのようなデッドスロー系とは正反対に位置するクローラーと言ってもいいでしょう。

デカハネにはデカハネの良さがあるけれど、ラウドジャックはこのサイズならではのアクションのキレを全面に押し出してサーチベイト的に使うルアーだと割り切りたいですね。

マスキーラウドジャックの泳ぎにもキレはあるのですが、どうしてもその体躯ゆえのゆったり感は否定できず、キビキビ感は損なわれてしまいます。

この辺は完全に好みの世界ですが、クイックな動きであるがゆえのアピール力は外せないというのがオリジナルサイズを推す理由その2。

 

そういえばデッドスローといえばこんな話があります。

以前何人かの米国友人に頼まれて国産のデカハネを送ったことがあります。

それらはいずれもビッグバスハンターとしてソーシャルメディアなどで紹介されていたデッドスロー系。

日本のアングラーがクローラーを咥えたデカバスの写真をバンバン上げているのでガマン汁が止まらなくなってしまったのです。

しかしその後、彼らに釣れたかどうか聞いてみると全員が口を揃えて「Too Slow」だ、と。

つまりデッドスロー系のクローラーは、米国のようにまず魚を探すところから始めなければならないフィールドでは効率が悪過ぎて使いにくいのです。

そもそも彼らの多くはスパイベイトですらシビレを切らすような性分ですから、弱い波紋でバスを寄せるルアーはガマン大会以外の何物でもありません。

デッドスローのクローラーよりもラットベイトのような派手なウェイカーを結んでしまうのです。

こういうのを見ると、昨今のバス用クローラー人気は日本だけのものなんだなと実感しますね。

 

おっさん殺しのカラー

 

カラーリングはヘドン系のクラシック色をメインにメタリックカラーも加えたおっさん殺し系。

オリジナルクリーパーはカエル系のカラーリングのみだったのでこれはレプリカならではの嬉しい展開ですね。

フィネスの代表はオールドヘドンなどに精通するガチモンのコレクターなのでカラーの再現度は高く、なんちゃって感を微塵も感じさせません。

 

クローラーにはクローポイント

 

フックは前後ともクローポイントの#2サイズを採用。

形状的におそらくイーグルクローのL375Gなんじゃないかと。

太軸フックを使うことでより低重心となるので水面でひっくり返ってしまうのを抑えてくれます。

サーフェイスリグなので前後のフックが干渉することもなく、フッキングも ”ちゃんと研ぎさえすれば” 問題ありません。

しかしこの手の水面系ルアーはフックひとつでルアーの雰囲気がガラッと変わってしまうので交換の際には同系のフックが絶対条件。

最近はクローポイントをいつも置いてる店は水面系のみになってしまったのでちょっと淋しい気もします。

 

ネームプリントは要改良

 

ネームプリントは腹にステンシルで吹かれていますが、すべてゴールドで吹かれているのでベースのカラーによっては全然読めねー!

これは大きなマイナスポイント。

カラーによって色を変えなくとも、ブラックとか見やすいカラーにして欲しかった。

可能ならば是非とも改良して欲しいところですね。

 

 

ちなみにジャックインザボックスとはゼンマイ式のびっくり箱のこと。

そのシリーズのラウド担当という位置付けでこの名前になったと思うんですが、名は体をあらわすの言葉通り、騒々しいルアーに仕上がっています。

ジャックというワードはスラングとして色んな意味で使われているのでネーミングの由来も気になるところ。

 

入手は水面系ショップで

 

そんなラウドジャックが生息するのはほぼトップウォーター系ショップのみ。

中古市場ではほとんど見かけません。

昔は量販店などでも見かけましたが、デビューしてから結構な年月が経っているので新規で入荷することはまず無いでしょう。

価格的にもプロパーとなるので好きな人でないとなかなか手を伸ばさないと思いますが、オリジナルクリーパーに何万円も払うことを考えたら激安なのでwボックスにひとつ忍ばせておくのもイイかも。

 

おわりに

 

バスフィッシングブーム華やかなりし頃にはいくつか見られたレプリカも令和の今となってはほとんど見られなくなりました。

それは単純にアングラー人口の減少だけでなく、レプリカの制作には通常のルアー開発以上に手間と時間とコストがかかるからです。

外見とアクションの両方を忠実に再現するのは並大抵のことではないので、時には貴重なオリジナルルアーを解剖分解したりと想像以上に骨の折れる仕事なのです。

そこまでしてレプリカを制作するのは、やはり作り手としての情熱があるからこそ。

手軽に3Dスキャンが出来るようになった昨今、似たようなルアーを見たらとりあえずパクリだとするのがお約束になってしまった感はありますが、アングラーならば言葉の前にまず試してみて制作者の意図を汲み取ろうとする姿勢ぐらいは欲しいところです。

そういう意味ではアングラーはレプリカルアーに試されてるのかもしれませんね。

 

 

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