はじめに

最近、フリマサイトなどでパチモンルアーがニヤニヤしながら跋扈しているのにお気づきだろうか?
いや存在自体は昔からあったんだが、近年はその完成度が「ナイナイwww」から「うーん、もしかしたらアリかもしれん」と格段にレベルが上がってきているのだ。
そう。今日の主役はそんな思わず手を出してしまいそうになる通称中華パチクロー、レイダンにスポットを当ててみようかと。
中華パチクローとは何か

中華パチクローとは、かつてゼニス/ガンクラフトがリリースしたスラローム系ペンシルベイト、Z-クローのコピー品の事。

いや、この中華パチクローに関してはコピーなんて生易しい言葉ではなく、完全なるZ-クローのクローン品と言ってもいいだろう。
かつての中華パチルアーに漂っていた、ある種のニセモノ臭というか、ヲイヲイwwwと突っ込みたくなる愛嬌など全く見られない、まさに生き写しのルアーなのだ。
そしてそこには元ネタへのリスペクトなど砂漠の砂一粒ほどもなく、まるでドヤ顔で完コピっぷりを見せつける厚かましさすら感じるほど。

しかもこのルアー、オリジナルのZ-クローには存在しないサイズ展開までやっちゃってくれてる念の入れよう。
“いかにコストを下げるか” に注力するのがコピー品なのに、丁寧にダウンサイジングモデルまで出してルアーオタクのハートを強かに鷲掴みにしようというのだから恐ろしい。
ゼニス期からZ-クローに惚れ込んでるのんだくれとしては、悲しいかな抗うことなんて出来んワケですよ。
ということで今回はオリジナルにはないチビサイズにスポットライトを当ててみようかと。
中華パチクローのサイズ

どうです。このサイズ感。
本家Z-クローが100mm, 20gに対し、ダウンサイジング版は86mm,14g。
たった14mmの違い。 されど14mm。
「Zクローはもちろん大好きだけど、一回り小さいヤツも欲しいんだよなー…」
そんなのんだくれの心の声はきっとパチモンを企画した人間に筒抜けだったに違いない。
オリジナルモデルのダウンサイジングを本家より先にやってのけるという、これはもうパクリというより、パクリ元のニーズを先取りした大胆不敵な「パクリフォワード戦略」と呼ぶべきではないか。
感心せざるを得ない中国のコピー能力+α

まず注目したいのはそのコピー精度の高さ。
高精度のスキャナーがあるんだからそんなの当たり前でしょと思うなかれ。
かつてのコピー品にあったような、まんま型取りしました候のような造形の甘さが全く見られないのだ。

むしろエラ周辺の造形はオリジナルにはないボリューム感が見られるなど、アップグレードしている部分もあるほど。

もちろん目だって♪きっと来る〜的な最新のリング系3Dアイを採用しており、無表情で無機質な本家との差別化も忘れていない。

Z-クローのアイデンティティでもあるセッパリ感をしっかトレースしつつ、滑らかな造形を再現したのはさすがコピーの匠、中国。
そしてZ-クローのウリでもある前後に配置されたカウンターウェイトもばっちり再現したことで、アクション面でも妥協が見られない万全の仕上がりとなっている。(泳ぎの詳細は後述)
もうね、ここまでやられちゃうとあっぱれとしか言えなくなっちゃうね。
アクションはオリジナル譲り… いやそれ以上か

気になるアクションもこれまたオリジナル譲り… いや、ダウンサイジングモデルならではの性格が顔を覗かせていると言ってもいいだろう。
素直に首を振るペンシルベイトしての基本性能は言うまでもないんだが、小さくなったことでクイックな動きによりキレが出て、しっかりスプラッシュが飛ばせるようになっているのだ。
オリジナルZ-クローの首振りはやや頭を水中に突っ込むような挙動のため、オリジナルザラスプークに見られるような派手な飛沫は出しにくい味付けだが、その点この中華パチは小魚ピシャピシャアクションもお手のもの。
左右へのクイックな270度ターン、スプラッシュ、シルキースムースなスライドアクション、首振り時のエアの噛み具合、しっかりと響くラトル音… その全てが「バッチリ」なのだ。
これはもうパクリではない。オリジナルに対する性能改善の提案の域に達しているのだ。
うーん… おそるべしパチクロー。
しかし、ちょっと冷静になろう。あくまでもこれはコピー品。
オリジナルと比較して、「ここが違う」とニヤニヤしながらケチをつけられるのが本来の役割だったはず。
オリジナルを超える性能を持ってしまったら、まるでレッドサクソンズのスター選手を潰すジョー・ギリアンになっちゃうじゃないか。
カラーはいかにもなホログラムも

しかしパチクローはまだまだ手綱を緩めちゃくれない。
泳ぎだけでなくカラーもオリジナルを上回るクオリティで攻めてきているのだ。
いかにもなトランスパレント系ボディに薄く乗せたホログラムがいかにもトレンドといった感じ。

しかしギラギラ感を前面に押し出したホログラムカラーもあったりして、中華パチ特有の過剰な主張も忘れていない。
この中華パチ感こそが、偏愛者の心をくすぐるのだから困ったもんだ。

さらに、本家には存在しないソリッドパールホワイトがラインナップ。
ここまでくるともう何も言えなくなっちゃうね。
“自称” BKKフックを装備

フックは前後とも#6サイズを装備。
商品説明によるとかのBKKを採用しているとの事だが、これの真贋については疑問符付きと言わざるを得ない。
この手のパチモンはフックを替えて使うのがお約束なので、あまり神経質になる必要はないけれど。

リアのフックハンガーがテールエンドではなくやや下に設置されているのは岩盤撃ちアングラーには嬉しい配慮ですね。
謎のネーム

ネームは背中にLEYDUNの文字のみ。
これがブランド名なのか、はたまたルアーの名前なのか全く分からんが、こういったミステリアスさが中華パチルアーの面白いところ。
中には漢字やカタカナでネームが入ってるのもあるからねw
入手はジャックさんトコで。

そして、我々がこの魔性のルアーを手にいれる方法は今のところアリエクスプレスのみ。
かのジャック・マーが立ち上げた中華版アマゾンだ。
そこで2個500円ほどで入手できるので、もはや中古屋でボロボロのルアーを漁るよりも手っ取り早い。
オリジナルを上回る性能とサイズバリエーションなのにスタバのコーヒーよりも安いなんて、脳がバグりそうになるけれど。
おわりに

このパチクローに限らず中国製コピー品は市場に大量に出回り、その品質は年々向上しているのは皆さん御存知の通り。
中にはそれをまとめて仕入れてメルカリなどで販売し、ひと儲けしている者までいる状態だが、この流れは今後ますます加速するだろう。
かつての「ジャパチ」や「コーモラン」はどこか微笑ましく愛嬌があり、我々は笑ってそのルアーで遊ぶことができた。
しかし今の中国製コピー品の進化はもはや笑い飛ばすことができないレベルに達している。
そんな状況を踏まえてこのパチクローは
「オリジナルとは何か? 性能が本家を超えた時それはコピー品と呼べるのか?」
と問いかけているような気がしてならない。
それはもはや模倣ではなく、本家ですら気づかなかった最適解を提示しているようにも見える。
パクリ品を愛用するのは、本家であるメーカーへの裏切り行為であるのは間違いない。
しかしコストと性能のバランスがあまりにも魅力的すぎるのだ。
今後、この本家とパチモンとのギャップにどう対応していくかがメーカーにとって大きな鍵になるのは間違いなさそうだ。


