ご存じストームの名品、その名もバグプラグ。
虫プラグですよ、虫プラグ。
どんだけ直球ネーミングやねんとツッコミたくなりますが、そこがまたストームのイイところ。
35年以上も前にルワー少年たちのチンコを硬化させたチームの一員です。
バグプラグというからにはそりゃ虫ですよ。
もう言い逃れもできないほどそのまんま虫。
当時は勝手にカブトムシちっくなイメージで捉えてましたが、今改めて見てみると果てしなくコガネムシ系ですね。
当時のストームはウィグルワートやホッテントット、スーパーシャイナー等々、見るからに釣れそうなルアーが目白押しだったので、どちらかというとB級寄りのこのバグプラグは、金持ちの息子が他のルアーのついでに買って、使わないけどボックスに転がしておくようなルアーでした。
今思うと、ガキの頃の貧富格差って結構残酷だったなぁ。
のんだくれの中学同級生に超金持ちの息子が居たんですが、そいつの家にはなんとインベーダーゲームのテーブル筐体がありました。
なんでもゲーセンで長時間待たされた上でプレイした事を親父に話したら、ゲームを待つ時間がもったいないからこれで遊びなさいと買ってきたそうw
そんなヤツが突然バス釣りに興味を持ち、それを聞いた親父が買ってきたタックルは大使にコノロンに…… あーもー思い出すだけで悲しくなるのであとはご想像にお任せします😭😭😭
しかーし!実際に現物を見てみると、日本のガキどもの勝手な位置付けとは裏腹に、このバグプラグはかなり考えられたルアーだということが分かります。
それがこのボディ容積のスマートな確保術。
クランクベイトのキビキビアクションには不可欠ともいえる浮力を、甲殻デザインを過度にデフォルメすることなくボディ後方に持たせているのが分かりますね。
その浮力のおかげで、ゴトゴトとよく響くヘビーラトルを搭載しているにも関わらず、水面ではこの姿勢でご主人様からの命令待ち。
ワンアクション目から悩ましいモンロー泳ぎを見せてくれます。
ちなみにラトルは大小の2重奏。
でも前の小さなラトルはサウンド目的ではなくて、どちらかというとスイム姿勢を安定させるスタビライザー的な役割の方が大きいんでしょうね。
せっかくウェイト入れたからラトルルーム作って鳴るようにしとくかー的な(?)
しかしイイ色してますね。
若干の経年劣化はあるにせよ、バスが落水昆虫を喰ってる様子を妄想するには十分すぎるほどの艶やかさ。
またボディ後方内部に余計な構造物がなくてすっきりしたアメ色なのがタマりません。
この空間がラトルサウンドを共鳴させる役割も果たしているので、水中での音の響きもなかなかのもの。
この表情なんか見てるだけで楽しくなっちゃいますね。
この時期のストームは創業者でもあるゲイリー・ストームが自らデザインしていました。
彼はジェームズ・ヘドンのようにその名前がメディアに出ることはほとんどありませんでしたが、名品ウィグルワートといいルアーデザイン史に名を遺す名匠であったことは間違いありません。
彼が取得した特許は今でもネットで閲覧できますが、ウィグルワートからタビィまでさすがのラインナップなので、出願していないものを含めたら相当な件数だったのは容易に想像できます。
フックは当時のストームのお約束、イーグルクローのショートシャンクを搭載。
このフックを搭載していたルアーは当時ストームぐらいしかなかったので、そのカッコよさにマジで身もだえしてました。
でも実戦投入するとすぐにサビてしまうので、オールド物はオリジナルフックではないものが多いですね。
リアフックハンガーの設置位置もバグプラグのシビれポイント。
テールエンドでなく、少しだけ下げた位置にリングを出すことで、ボディを上から見たときにエイトリングが見えないようになってるんです。
こういう細かいところの作り込みを見ると、CADもない時代に、どれほどの愛情と熱意を持ってルアーデザインに取り組んでいたのかが分かりますね。
ネームプリントはストームの定石に倣ってリップ裏側にドットプリントされています。
でもご多分に漏れずインクは激薄。
この画像はコントラストを強めに調整してるのでギリギリ見えますが、エフェクトかけなかったらほとんど見えません。
まあこの儚いネームプリントを解読することがネームマニアの愉しみでもあるんですけどね。
のんだくれ以外にネームマニアなるヘンタイが居れば、の話ですが。
ご存知のように、後にバグプラグは日本が誇るパチの権化、かのコーモランにパクられました。
【コーモにパクられたら一流】という、一部のヲタにしか通用しない名言を当てはめると、このバグプラグも一流ルアーだったんでしょうね。
余談ですが、先出のゲイリー・ストーム氏は2004年に亡くなっています。
カンザス州にゲイリーと親しくしていたフィッシングライターがおり、その彼と話をしたことがありますが、ゲイリーは日本のアングラー(いや、当時はバスマンと呼ばれてましたね笑)に自身のルアーが受け入れられた事をいつも誇りとしていたそうです。
そんなゲイリーもコーモランに認められたことを天国で喜んでいるでしょ・・・・ んなワケないか。