はじめに

良い意味でも悪い意味でもまことしやかに囁かれるアメリカンルアーの製品個体差、いわゆる「バラツキ」。
製品管理が日本ほど徹底されておらず、使えるから問題ないでしょ?的なイージーマインドゆえの米国モノによくあるアレですね。
国産ルアーの均一品質に慣れていると、モノによって性能が変わってくるなんて!と鼻息フンガーになっちゃいますが、あえてその違いを楽しんじゃう手もあるのがルアーの世界。
そんな変わった御仁に勧めたいのが今日のゲスト、スーパーセダークランクです。
スーパーセダーとは
希少素材を使ったクランクベイト

スーパーセダーとは、現ヤキマベイトが擁するブランド、ポーPoe’sがリリースしているウッド製のクランクベイト。
ポーは1950年代にミルトン・ポー氏が創業したブランドで… という歴史は各自で調べてもらうとして、このルアーの特徴は素材にカリフォルニアシダー、いわゆるセコイアの木を使っていること。
セコイアは米国北西部を中心に群生している樹高が100mにもなる巨大な杉。
絶滅危惧種に認定されているので州政府の許可がないと伐採はもちろん、倒木ですら持ち出すことは出来ない希少樹木のひとつです。
耐水性が高い事もあってウッドデッキ材として人気ですが、現在市場に出回っているものは州政府によって計画伐採された合法モノ。
比重が高く比較的硬いのでルアーに向いている反面、強いアルカリ性なので扱いには注意が必要な素材として知られています。
フラットサイドクランクビルダー、キャッチングコンセプトの代表であるハーマン・オズワルドはかつてこのカリフォルニアシダーを伐採出来る政府公認のランバージャック/ツリークライマーでした。
田辺哲男&リッククランによって一躍有名に

そんなスーパーセダークランクを日本に広めたのはかのノリオタナベ氏。
彼が米国でこのルアーの実力を知って日本で紹介したのが最初だったと記憶しています。
その後リッククランのウィニングベイトになったことでお墨付きとなり、ディープクランクブームと相まって一気に拡散したという具合。
この時期に琵琶湖でグリグリゴゴン!を味わった人は数知れず。
スーパーセダー#200のサイズ

そんなスーパーセダーですが、コンペティションモデルも含めるとなかなかのモデル数になるので今回はその中でもシリーズ200と呼ばれるシャロー〜ミッドダイバーに焦点を当ててみようかと。
シリーズ200、通称#200のサイズはカタログ値でボディ長65mm、自重1/2ozになっていますが、自然素材な上に成形が均一ではないので同じモデルでも個体によって大きさも重さもまちまち。
サイズは±3mm、ウェイトは±2g程度の誤差があるものと思っておいた方が精神衛生上よろしいかと。
これが先述の「バラツキ」な訳ですが、コレだけ違うとさすがに同じモデルでも完全なる別物なので、逆に好みのアクションや浮力の個性を探す愉しみもあるという面白いルアーでもあります。
その詳細はまたのちほど。
オリジナリティてんこ盛り
伝家の宝刀パックマンアイ

そんな個性満載のスーパーセダーですが、各部仕様も個性炸裂しています。
まずは何と言ってもポーのアイデンティティでもあるパックマンアイ。
誰がこう呼び始めたのかは分かりませんが、日本でだけパックマンと呼ばれて愛されているのは皆さん御存知の通り。
ポーのルアーはトップからディープまで全部この目ですが、画像のように黒目がズレたものもあるなど愛嬌たっぷりなので目の違いで集めているマニアもいるほど。
力強さを感じさせる無骨なボディシェイプ

そしてポーといえばやっぱり無骨で個体差ありまくりなボディシェイプ。
旋盤でグリグリされたんだろうなと想像できてしまうぼってりボディが特徴ですが、ヘッドがフラットで潜行の手助けいなっているなどちゃんと機能も忘れていないのがメリケン流。
そしてボディシェイプの個体による違いに関しては言うまでもありませんね。
ヘッドがシュッと細いものからぼってりテールまで、よくここまで違うものが出せるなと逆に関心するほど。
個人的にはそれを面白いと思えるので違うのを引くとテンション上がりますが、セダークランクで釣れたから追加で買ったら全然違ったなどの「被害報告」が後を絶たないのもこのルアーのウリだったりしますw
好き嫌いがはっきり分かれるグリッターフィニッシュ

そんな好き嫌いに拍車をかけるのがこのギラギラグリッターフィニッシュです。
元々はペイント系のカラーがメインでしたが、かつてビルノーマンが仕掛けたグリッター戦争に参戦してからこの手のカラーリングがほとんどを占めるように。
個人的にグリッターカラーは大好物なので全く気になりませんが、キライ派も多いのでこれがスーパーセダーの使用率にも大きく影響しています。
尚、このルアーは経年とともに塗装が侵食されたように黒ずんでくるのですが、これは先述の素材が持つアルカリ性ゆえの劣化。
下処理さえしっかりやっていればこういった事象は起きにくいのですが、そのあたりが徹底されていなかったであろう初期のモデルはやはり変色しがち。
まあこれも年輪みたいなもんだと寛容に受け止めておくのがポーのルアーとの付き合い方なのです。
フックハンガーはぶっといヒートン

フックハンガーはぶっといヒートンで無骨感がさらにパワーアップ。
通常米製ハンドメイドクランクは下記画像のような市販のベリーウェイト、もしくは専用のベリーウェイトを使用しますが、スーパーセダーの場合はフックハンガーとなるヒートンで強引にウェイトを押さえ込む力技w

こういうところにも古き良きアメリカ的な力強さが現れててシビれますね。
ちなみに塗膜が強いのか、ウェイトの伸縮が小さいのか、バグリーでよく見られるベリーウェイト部の塗装割れが見られないのセダークランクの特徴のひとつ。
キレを生むレキサン樹脂リップ

そしてリップにもちゃんとこだわりが。
リップが厚くならないようにハンガーがしっかりフラット化されているのが分かります。
これにより見た目からは想像できないキレのある泳ぎに。
のんだくれはこのリップが気に入ってしまったので自作ルアー用に未使用の純正リップまで仕入れてしまいました。
が、いつものパターンで「いつか作ろう」のままはや幾年月😩
おそらくこの先これがクランクに装着されることはないだろーなーとw

好みのアクションを探す楽しさ
パワフルなワイドウォブル

気になるアクションはパワフルなワイドウォブリング。 ウッドの無垢素材の特徴を如何なく発揮したブルンブルン泳ぎで周囲の水を暴力的に撹拌します… と言いたいところですが、セダークランクに関しては「この個体は」という特定詞付き。
先述の通り個体差があり過ぎてすべての#200がそのように泳ぐとは限りません。
もうロストしてしまいましたが、これの前に使ってたタマは泳ぎが破綻するので早巻きは出来ないけれど、トンでもなく暴れ系のアクションで活躍してくれました。
逆にもっとタイトな泳ぎのものもあったりして、こればっかりは実際に泳がせてみないと分かりません
それ以来#200を見つけては投げてを繰り返しましたが、前の泳ぎを上回るものには未だ出会えず。
でも逆の言い方をすれば見つける楽しみが残されてるという事なので全くのモウマンタイ。
なのでキイロでパックマンアイを見つけるとついつい連れ帰ってしまうビヨキは一向に治る気配がありませんw
低活性時に効くスローフローティング
ちなみにセダークランクにはスローフローティングという共通事項があります。
これが低活性時に効くと言われる所以。
確か田辺氏も当時の雑誌でその特徴に触れていた記憶が。
なのでフロロを使えばサスペンドちっくな使い方も出来たりします。
ただこれは素材の特性によるものというよりは、ウェイト設定によってそうなっているんじゃないかと。
というのも、同じセコイア/レッドウッドを使っているキャッチングコンセプトのクランクは素材の部位選択もあってむしろ浮力強めの設定になっているので、このあたりは設計による違いと見たほうが懸命じゃないかと。
カラーリングも無骨そのもの
カラーリングも無骨なボディに合った骨太クラシック系。
イマドキのキレイなルアーを見慣れているアングラーにとってはアンティークにしか見えないでしょう。
しかしこのルアーで釣りまくったアングラーにとってはよだれジュルジュルの美味そうな色。
そう考えるとサカナが釣れた/釣れないだけで嗜好が変わっちゃうなんてニンゲンの好みはつくづくテキトーだなとw
オリジナルフックはレギュラーのラウンド

画像のフックはVMCショートシャンクの#4ですが、オリジナルはレギュラーのラウンドベンドだったような。
まあクランカーはみんな好みのフックがあるのでお好きにどーぞ。
ネームが無くても溢れる個性

ボディにはネームが一切ないのもポー家の伝統。
まあパックマンアイなどなど、アイデンティティのカタマリのようなルアーですからネームなんて要らんのでしょうね。

ただリップにだけは刻印が入ってます。
このリップ刻印もモデル名が入ってたりそうでなかったりと統一性がないので、せめてモデル名だけでも入れてほしかった。
ちなみにCEDARを「セダー」と表記するのはこのルアーに対してのみで、木材業界では「シダー」表記になるという使い所のないマメも置いときます。
まぁ分かればどっちでもイイんですけどね。
入手はカンタン

そんなスーパーセダーですが、このモデルに限らず比較的タマ数も多くて価格も安いので入手しやすい部類でしょう。
そして先に述べたようにペイントが劣化してるものもあるので黄札になってる事もしばしば。
更に「あぁ… かつてはクランカーだったんだろうな」と思わせるアングラーの卒業大量放出もあったりするので、注視してると面白い動きが見られます。
ウッド無垢素材ならではの水撹拌を味わったことがないのであれば試す価値はアリアリのアリではないかと。
ただ、同じものは2つとないので、その点だけは覚悟の上で笑
おわりに

このルアーが大ブレイクした80年代と今とでは釣り場の環境も釣れ方も大きく変わってきてるので、ぶっちゃけ今投入したところで苦戦することの方が多いかも知れません。
しかしそんなタフな状況だからこそ、ルアーの個性を見極めて相性が良いルアーで釣りたいですよね。
昔のように釣れなくなったとボヤくのはカンタン。 誰だって出来ます。
でも釣れないなら釣れないなりに愉しみを見つける創造力を持ちたいもんです。
ドッグシェルターから相性が良さげな保護犬を引き取るように、中古屋のハンガーから好みに合いそうなスーパーセダークランクを選ぶってのも愉しみのひとつに加えてみては?


