爆発的に釣れるルアーのことを反則ルアーとかエサなどと呼んだりしますが、時代の流れとともに反則ルアーも移り変わっています。
今日のゲスト、バグリーのマイティミノースピナーはかつてのんだくれの周りで反則扱いとなっていたルアーのひとつ。
なんてことのないシングルスイッシャーですが、 ボウズ逃れの最終兵器として活躍してくれました。
マイティミノーとは
マイティミノーはかつてバグリーのチビプラグ部門の主役として活躍していたシリーズです。
画像のシングルプロップモデルの他にダブルスイッシャーのツインスピナーと、シャローとミッドダイバーの計4モデルからなるラインナップでした。
それらのボディには全て同じブランクが使われており、トップからミッドレンジまで同じプロファイル/シルエットでアプローチできることをウリにしていたシリーズでもありました。
サイズ・重さ
マイティーミノースピナーは66ミリ、1/4ozのタイニートップウォーター。
バグリーにはスモールフライというリアル造形&リアルプリントを持つインパクト最強のシリーズが存在していたため、地味なマイティミノーが脚光を浴びることはあまりありませんでしたが、そのサイズゆえハマった時にはなかなかの破壊力を見せつけてくれたのです。
アクションは超シンプル
バグリーの十八番でもあるバルサボディなので強い浮力で浮くのかと思いきや、意外にも頭だけをちょこんと出した70度浮きでご主人様の命令を待ちます。
この状態からチョン!とやれば、イイ感じでダイブしてプロップがジュブッ!とエアを咬むというワケです。
しかし、それがこのマイティミノーに出来ることのすべて。
小気味良く首を振るわけでもなく、ベビートーピードのように派手に飛沫を撒き散らすわけでもないので、基本的にストップ&ゴーの強弱で誘うしかないルアーなのです。
なので、操作するという点ではイマイチ面白味に欠けるこのマイティミノーは徐々に出番が減らされ、終いには登板の機会さえ与えられず、いつしかベンチを温めるだけの存在に😭
”ある使い方” で炸裂する
しかし、とあるショップの親父の助言によりマイティミノーがいきなり先発投手になったのです。
その助言とは、プロップがギリギリ泡を咬まない速さで巻け。そしてバイトミスがあっても絶対に止めるな。 というもの。
ポーズも無しでただただ巻けばいい、と。
その言葉を聞いても最初は半信半疑でしたが、実際にやってみたら面白いように釣れたのです。
釣れるバスはチビばかりですが、ただ巻くだけで釣れるので、仲間内ではすぐに反則ルアー認定されることに。
秘密は何の変哲もないペラ
釣れるキモはこのオーバルプロップ。
バングオースピナーにも採用されているラウンド形状のプロップですが、このプロップが実に耳障りなサウンドを発してくれるのです。
そのサウンドとは、まるで遠くで蝉が鳴いているようなショワーーーーという断続的な音。
アングラーの耳に届くような音量ではありませんが、水の中では確実に拡散しているであろう系の音です。
バスのサイズは小さいながらも派手なバイトが多かったので、おそらくバスにとってはとてつもなく鬱陶しいサウンドなんでしょうね。
当時は特に考えることもなくマイティミノーはそういうモンなんだと思ってましたが、今改めて思うと、この音はミロルアーの5Mと同じ系統のスクラッチノイズであることが分かります。

そりゃバスも吸い寄せられますよねw
面白いのは、オーバーハングの奥やカバー脇に撃っても一切ポーズを入れずにいきなり巻くパターンで良く釣れた事。
トップウォーターアングラーの心情的にはどうしてもポーズを入れたくなるものですが、そのキモチをグッと抑えて、着水したらすぐ巻き始めることで多くのバイトが得られたのには何か理由があったんでしょうね。
しかしある程度使い込んでいくと、その音はプロップだけの仕事ではないことに気付きます。
実はバグリーには同じプロップを採用しているルアーが他にも多数存在している(スピナーシャッド、ダブルオーセブンスピナー、ポップンBなど)のですが、僅かながらもその全ての音質が違うのです。
そしてその音域も高音から低音までさまざま。
それぞれの回転性能が与える影響は除外するとして、音の違いは指で弾いただけでも分かるぐらいです。
これはのんだくれの勝手な妄想ですが、おそらくルアーのボディがアンプの役割を果たし、プロップの回転によって作り出されたスクラッチ音をボディ振動によって増幅し、ルアー全体から発する仕組みになっているんじゃないかと。
で、たまたまマイティミノーのボディが発する音がバスの嫌う(好む?)周波数と一致したんじゃないかと思うわけです。
というのも、当時バグリーのあらゆるシングルプロップをタダ巻きで使ったのですが、マイティミノーほどの反応を得ることができなかったのです。
全く同じプロップなのに装着しているルアーによって釣れ方が違うとなると、考えられるのはボディによるアンプ効果の違いぐらいしかないんですよね。
そう考えると、プロップの前後にルーズにリグられたカップにもスクラッチサウンドを増幅する効果があるのかもしれませんね。
凸凹ホイル貼りにナチュラルプリント
釣れるルアーとなればお約束のヲタタイムです😁
スモールフライシリーズ同様、ホイルの上にナチュラルプリントが施されているのを眺めてニヤニヤする日々の始まりです。
最初手にした時は、”ホイルの貼り方が雑だ!”とディスってたのに、オサカナが釣れた途端、”このホイルの手貼り感がイイよねー” に変わってしまうという節操の無さはもうビヨキw
裏側のホイルワークなんて、遠足に持ってきたおにぎりそのまんま。
食べ終わった後、丸めたアルミホイルでキャッチボールするヤツが登場しても不思議じゃないくらいのおふくろテイストです。
でもこのテイストがあってこそのバグリーなんですよね。
淡麗さすら感じさせるラパラの緻密なホイルワークとは対照的だからこそアメリカらしいクラフトマンシップを感じるところは少なからずあると思うのです。
だって、もしこれがラパラのように綺麗にシワもなく貼られたホイルだったらちょっと興醒めしちゃいません?w
しかしひとつだけ気になるのは、ラインアイヒートンの根本に盛られたパテ?の意味。
実は数あるバグリーのシングルスイッシャーの中で、マイティミノースピナーだけにこのパテがあるのです。
最初はホイルが剥がれないように固めているのかと思ったんですが、ホイルカラーだけでなくクロームやペイントカラーにも同様の処理がなされているんです。
浸水防止のためかとも思いましたが、真意は未だわかりません。
どなたかこのパテの謎を解ける人がいたら是非ご連絡くださいませ。
フックは#6ショートシャンク
フックは前後ともショートシャンクの#6を採用しています。
80年代後半バグリーのお約束フックですね。
このフックはめちゃくちゃポイントが甘いのでしっかり研がないと使い物になりませんが、研いだら研いだで今度はボディのトップコートを削って傷めてしまうという非常にもどかしい存在でもありました。
消えゆくネーム
ネームプリントはご覧の通りハラ側に ””(クオーテーションマーク)つきで押されています。
画像のものは未使用なので綺麗に残っていますが、これもフックによって擦れて消えゆく儚い存在です。
ちなみにマイティとは力強いとか強い印象を与えるという意味ですが、おそらくこのマイティミノーの場合は、小さなボディとは相反するワードを使うことでちょっと自虐しながらも、実はスゲーんだぜ的なニュアンスが込められていると思われ。
小さな巨人ミクロマン的なヤツですね。
このマイティミノーに限らず、ルアーのネーミングの裏にはネイティブでないとなかなか理解できないディープミーニングが込められている事が多いのがアメリカンルアーの特徴でもあります。
なので海外のフィッシングショーに行くと、オーダーも入れないのにいちいち名前の由来を聞いてまわるキモい東洋人と化してしまいますが、これはもう治癒不可の慢性疾患ですから仕方ないですね😁
おわりに
決して売れなかった訳ではないけれど、スモールフライほどのビッグセールスにはならなかったマイティミノーは、バグリーがウィンターヘブン工場を閉鎖したタイミングで生産終了となり今に至ります。
のんだくれ自身このマイティミノーを投げなくなって久しいのですが、このポストを書くために久々に動かしてみたところ、あーコレ今でもフツーに釣れちゃうヤツだね、と妙な満足感を味わう事ができました。
いや、誰も使ってない今だからこそ釣れちゃうかもしれません。
さすがに新生バグリーで再販されることはないと思うので地道に中古市場で探すしかないと思いますが、ミロー5Mの威力を知っている人ならば、タダ巻きローテーション要員として必ず出番が来るルアーだと思うので、是非とも頭の片隅に置いておいて頂きたいなと。