
いつの頃からかミノーはジャークしてナンボな空気になってしまった感がある。
ジャークはストップ&ゴーや古のグリグリメソッドの延長線上にあると思えば納得はできるが、シンプルなタダ巻きの威力も忘れちゃなんねぇ。
ジャークは見切られる事が多いので、一定の速度で巻き続けるタダ巻きはフローティングラパラの頃からのある意味伝統メソッドといえるだろう。
しかしこのシンプルなテクニックは忘れられた存在になりつつある。
なぜならあれこれ講釈をタレるにはシンプルすぎるから。
シンプルでわかりやすい方法は、能書きの多い “玄人” にとっては自身の凄さというか、アピールポイントがないと捉えられがちなのだ。
確かにジャーキングは奥が深いし能動的に誘って食わせたという達成感もあるのでそれ自体は否定しない。
しかしどこまで行ってもルアーのひとつの使い方でしかないので、“ジャーク=高等テク”のような言い分はちょっと違うだろと。
特に西の方の某ショップのようにジャークを ”何年も修行して会得するもの” と高らかに謳ってるのを見るとマジでゲー出そうになる。
ショップが自ら初心者参入のハードルを上げて悦に入ってどーするんだ?ジャークで釣ることがそんなにエラいのか?と
これはジャークベイトに限らず全てのルアーに言える事だが、なんでも難しい言い回しをしたがる日本人の悪いクセでもある。
あえて難解な事を説くことで我々はワンランク上にいるんだぞというアピールでありマウンティング、聞こえの良い言い方をすれば “差別化” なのだ。
と同時に、メーカーにとってもこんな美味しいネタはない。
小難しい理論はそのまま新商品のネタとなり、それがバズればその分野でのパイオニアになれるからだ。
つまりメーカーやショップなど情報発信する立場の人間にとって、あえて難しいことを語るのはマーケティング的にメリットがあるのだ。
しかしちょっと俯瞰で見てみると、ほとんどの場合、発信者の独りよがりな事が多い。
そのネタが難解であるがゆえただのスタンドプレイになってしまい、消費者がついて行けなくなっているのが散見される。
理解できる人だけついてきてね、という考えは高尚なイメージがある反面、選民意識も見え隠れするので諸刃の剣となってしまう。
この刃を使う側はそのリスクも承知の上で振りかざしているはずなんだが、厄介なのは発信者にはその難解ネタに同調する熱狂的信者層が少なからずいるのでそのリスクが見えなくなってくる。
その一部の熱狂的信者によって発信者は盲目となり、さらに難解ネタを加速させるのでもう一般の消費者は要らないと思うようになる。
つまり「ウチは分かる人だけ来てくれればいい」という、良くも悪くも独走体制に入るのだ。
しかし一旦この状況に勢いがついてしまうと、それまでついて来てくれてた信者もどんどん置き去りにしてゆくので気付いた時には誰も居なくなったという事が往々にして起きるのである。
その観点で見てみると、日本のバスフィッシングは難解ネタの宝庫である。
業界覇権を目論む新リグや “新機軸” という名の二番煎じが溢れかえっており、もはや初心者が参入して気軽に楽しめる余地はほとんどない。
皆さんも見たことがあるでしょう。初心者の質問に対して専門用語テンコ盛りで説明している量販店スタッフを。
そりゃそうですよね。新たに出てくる製品やメソッドはお約束の難解ネタで武装されており、それまでの経緯を理解していなければ使いこなせないものばっかり。
それをビギナー向けに噛み砕いて説明するなんて相当な手練スタッフでない限りムリなオハナシですから。
ぶっちゃけメーカーの人間でもちゃんと説明できる人は居ないでしょう。
それは問屋の展示会の様子からも良く分かります。
問屋の展示会は小売店に新商品を買ってもらう(注文してもらう)場なのだが、ここでの商品説明が既に難解になってて、「一般消費者にどう説明すれば売れるか」というメーカーとしての基本中の基本の作業が抜けているのだ。
その難解な説明を聞いた小売店の発注担当も「なんかよく分からんけど凄そうだしメディアにも出てたから売れるだろ」というざっくりとしたキモチで注文するので、その結果店頭での説明も専門用語テンコ盛りになってしまうという悪循環。
この程度の認識で “バイヤー” を名乗ってるのは勘違いも甚だしいなと思いながら薄目で小売店とメーカーのやり取りを見てたのはここだけのハナシですけどw
メーカーもメーカーで、”相手はプロだから売り方まで説明しなくても分かるだろ” と都合良く解釈してるのでもう無法地帯と言ってもいいでしょう。
つまり現在のバスフィッシングは情報を発信している側の人間ですらコントロール出来ないほどの難解でカオスな状態になってしまっているのです。
だけどバスフィッシングってこんなに難しいものだったっけ?
一体いつから何年も修行しなきゃ楽しめない遊びになっちゃったの?
フィールドの変化などタフな状況は分かるが、本来ルアーって投げて巻けば釣れるものだったはずなんだけど。
かの村田基氏も言うように、バス釣りを難しい釣りにしたがってる層というのが一定数存在していて、業界全体がそれらに引っ張られてしまっている。
つまり自分で自分の首を締めてる事に気がつかないまま幾年月… なのだ。
そしてもっとタチ悪いのが、それらを模倣してるYouTuberなどの一般人が増えていること。
「難しい理論を会得してるオレってクールだろ?」という自己満足が溢れかえっているのだ。
これじゃバスフィッシングを始めようとはとても思えない。
そりゃ衰退するはずだわ、バス業界。
しかし冷静になって考えて欲しい。
ネットで名が通った「その道の達人」も最初のうちはメソッドだの状況だの難しいことは考えずに釣れてたはず。
なのでそういう “達人” こそ原点に立ち返ってもっと噛み砕いたシンプルでわかりやすい発信を心がけるべきではないかと。
釣り業界内では既に泥舟と揶揄されてるバスフィッシングだけど、素人であれ玄人であれ今まで難解ネタを発信してたヒトタチは今後の立ち回り方次第で3年後の景色が大きく違ってくることを肝に命ずるべし。


