80年代の名作にして迷作・ブラックスターの名の由来からイマドキのバスフィッシングを考えてみたというオハナシ / ブラックスター レーベル

 

 

バスフィッシングが最もエネルギッシュだった80年代を象徴するルアー、レーベルのブラックスター。

 

各社がそれまで追い続けてきたナチュラルプロファイル、ナチュラルプリントといった「本物に似せる」という方向性の正反対をいくこのルアーはアメリカはもちろんのこと日本のバスフィッシング市場に大きな衝撃をもたらしました。

 

 

 

近未来という単語だけでは表せないエキセントリックな造形、なんでこうなるの?としか思えないようなカラーリング、ボディカラーのきらめきとは正反対のグラファイト製ラインタイなどなど、当時のアングラーの理解の範疇を大きく超えるこのブラックスターは、バスフィッシングの未来を象徴する存在としてその名を轟かせました。

 

しかし発売から40年が経って改めてこのルアーを見直してみると、レーベルがルアーに何を求めていたのかが明確に盛り込まれていることが理解できます。

 

たとえばこの特殊な造形。

 

これは低速から高速まで安定したアクションを作り出すためのもの。

 

この画像では分かりにくいのですが、リップ前面がラウンド形状になっていて、水圧を逃がす設計になっています。

 

これは84年頃にリリースされた、早巻きでも泳ぎが破綻しない事を売りにした同じくレーベルのファストラックシリーズをより進化させたモデルだと捉えることが出来るでしょう。

 

実際、ブラックスターシリーズのリリース後、全く同じボディでリリースされたSST(サーモン、スティールヘッド、トラウトの頭文字)というモデルはトローリングや高速リトリーブでの安定性を売りにしていました。

 

リップ前面がラウンド形状になっているルアーといえば、シャロークランクの名作ワンマイナスがありますが、おそらくマンズはこの形状から何らかのヒントを得ているのではないかと。

 

そしてそれまでのバスルアーにはなかった斬新なカラーリングと幾何学的な内部造形。

 

これは水面から射してくる太陽光線を確実に反射させるだけでなく、段差のある内部構造がプリズムのような効果を発揮することにより、光のアンプリファイド(増幅)効果を狙ったもの。

 

カラーを変えることでルアーが放つ光の周波数を選べるようにする、というのがレーベルの狙い。

 

たしかにそう言われてみると、クリアからマディまで水質によって使い分けができそうなカラーチョイスになっています。

 

もちろんグラファイト製ラインタイにもレーベルの未来を見据えた考えがしっかりと詰まっています。

 

80年代中頃までのグラファイト素材はカーボングラファイトロッドに代表されるように、「軽量化」を主目的として使われてきました。

 

それはそれで大成功を収めてきたのですが、レーベルが着目したのは「強靭さ」というグラファイト素材の別の顔でした。

 

ご存知の通りレーベルは名作レーベルミノーに始まり各種クランクベイトを大量に輩出しているブランドですが、それらルアーのラインタイコンポーネントはどれもがヒートン、もしくはエイトリングのものでした。

 

これら金属製コンポーネントの最大の弱点は「変形」してしまう事。

 

大きな魚や根掛かりによる負荷はもちろん、まっすぐ泳ぐかどうか、つまりトゥルーランニング性能にも多大な影響を与えかねない金属製コンポーネントの問題に、このグラファイト素材で取り組んだ訳です。

 

金属のように変形することなく、かつ軽量なグラファイトのラインタイをボディに組み込むことにより、ルアーアクションが使用中に変わってしまうことを防いでいるのです。

 

もちろんそれだけではありません。

 

ラインタイをヒレのように薄く長くすることで、水流を大きく撹拌し、アクションも増幅する役目 ーー ちょうどラトルトラップの背びれのような ーー をもたせることにも成功しています。

 

ブラックスターに関するパテントの仕様書にはこれ以外にも沢山の項目が盛り込まれており、当時レーベルが米国ルアーブランドの未来を制する存在となるべく相当 血迷っていた  気合が入っていたということがひしひしと伝わってきます。

 

 

そして極めつけは「ブラックスター」というネーミング。

 

英語に馴染みのない我々日本人はただ単に「黒い星」としか読み取れませんが、ブラックスターという単語には「古いパターンの終わりと新しいフェーズの始まり」という意味があり、ルアーの概念を根底から変えてやろうというレーベルの意気込みを表していることが分かります。

 

バスプロショップスカタログの写真にはルアーの後方から射す光が表現されていることからもそんな気合いが伝わってきますね。

 

しかしそんな鳴り物入りで登場したブラックスターでしたが、あまりのエキセントリックさに時代がついてこれず、ミノータイプやジョイントモデルを出したのちひっそりと消えてしまいました。

 

そして今では当時の状況を知るGGYアングラーの記憶に残っているだけに。

 

実際釣果としても「よく釣れた」という話はほとんど聞いたことがなく、自身もデカいのを釣った記憶がないことから、やはり最後まで「キワモノ」の域から脱することは出来なかったんだなと。

 

でもそれでいいんです。

 

いつの時代にも「早すぎた天才」はつきもの。

 

こういった革新的なチャレンジがあって他社の創作意欲にも火が付き、市場が活性化することを考えると、むしろこういった挑戦はもっともっとされるべきことではないかと。

 

それを考えると昨今の日本のバスフィッシングの低迷には革新的なチャレンジが足りていないと思わざるを得ません。

 

時期が時期だけに、予算/マンパワー、流通的な問題や利益が確保出来るかどうかという現実の問題がつきまとっていることもあるでしょう。

 

しかしバスフィッシングは夢があってナンボの釣り。

 

毛の生えたサイコロやI字系ミノーでチョンチョンするのがバスフィッシングの核心ではないはずだし、メーカーもそういうルアーを買わせるために高いロッドやリールを作ってる訳ではないはず。

 

誰しもバビューンと投げてグリグリ巻いて、ガツン!というダイナミックなバイトを味わいたいはず。

 

本来それこそが我々日本人が楽しんできたバスフィッシングであり、今も追い求めてるバスフィッシングだったはず。

 

昔とは比べ物にならないくらい「JDMルアー」が米国で認知されているのであれば、かつて我々がブラックスターで度肝を抜かれたように、今度は国産ルアーでメリケンどものケツを蹴っ飛ばすぐらいの気概があってもイイんじゃないかなーと死にそうなGGYは思っとるわけです。

 

 

 

 

 

 

 

のんだくれ

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