ある程度バスフィッシングをやってる人なら誰しも「ある特定の機能に惚れ込んで使ってるルアー」のひとつやふたつ持ってる事でしょう。
それはアクションだったり音だったり巻き心地だったりと惚れ込む要素は使い手によって様々。
今日紹介するテラー5/8ozはそんな「特定の機能」にヤラれてしまったひとつです。
テラー5/8ozはご存知ズイールが誇るウッド製ペンシルベイト。
アンカニーチャップ、ロジック、プロップ、ゲイリーウィッチ等と共にズイールの創生期を支えた主力メンバーの一員です。
ルアーのカテゴリーとしてはペンシルベイトですが、そのポジションは超オーソドックスで、ワンノッカーラトルだのブレード武装だのとは無縁の造り。
アングラーの間合いと技量で釣果の全てが決まると言っても過言ではないシンプルさがウリのルアーです。
ゆっくり巻いてればオートマチックに釣れちゃうイマドキトップウォーターとは真逆の存在ですが、一度ハマると抜けられないタイプのルアーでもあります。
テラー5/8ozの全長は110ミリ。
重さは言うまでもなく5/8oz…. と言いたいところですが、実測では15g前後と、5/8oz(18.5g)とは大きく違うのがズイール流。
このモデルは特に気に入って使ってる1993年モデルですが、y93モデルは15本ぐらい所有しているけれどもそれらの重量は軽いので14.1g、重量級は17.4gとなかなかの開きっぷり。
自然素材のルアーだからウェイトに誤差が出るのは当たり前なんだけど、20%近い誤差があると動きにも大きく影響するので、逆に個体差を楽しむなんて事も出来ちゃいます。
いつだったかズイールのルアーの ”バラツキ” を非難するネットの書き込みを見たことがあるけれど、重さだの動きだのにいちいちケチをつけるのは愚の骨頂なのです。
93年テラーの最大の特徴はノーズが尖っていること。
アメリカのルアーコレクター的な表現をするとポインテッドノーズってとこでしょうか。
単体で見てもイマイチ良く分からんと思いますが、他のモデルと比較すると違いが分かります。
2002年モデルと1993年モデル
よくテラーは「水押しペンシルベイト」と表現されることがあり、確かにググッと水を押す感じがあるのですが、のんだくれに言わせるとy93に関しては「水切りペンシルベイト」。
スラッシャーとまではいきませんが、ハチゴーテラーの中ではダントツで水を切るペンシルなのです。
そしてノーズからボディを経たラインはテール側も細身に仕上げられているのが特徴その2。
たったこれだけの違いですが、テール側の浮力が少なくなるのでほんの少しだけケツ下がりとなり、よりクイックなターンを生む運動性能を身に着けることに。
これらの要素が生み出すアクションに関しては後ほどたっぷりと。
そしてズイールのプラグといえばグラスアイでしょう。
使ってるうちに取れたりしてなかなか気難しい存在ですが、ズイールらしさという点ではこれほどまでに強烈なアイデンティティを放つ目は無いでしょう。
3Dリアルアイが主流になってしまった今、こういうのが減っちゃうのは淋しいもんがありますね。
テラーはモデルや年代によってリグが違うルアーでもありますが、これはカップリグを採用。
旧いタイプの ZEAL LURE PRODUCTS CO LTD 刻印は貴重なニヤニヤポイントその2。
アクションを一言で表すと、超絶ロングスライド。
セッティングにもよりますが、誇張ナシで1mぐらいスケーティングします。
元々テラーは足の長いスライドがウリですが、その中でもy93のスライドっぷりは別格。
使っててこんなに気持ち良いペンシルベイトはなかなか有りません。
その秘密はもちろん先述のポインテッドノーズと細身のボディ。
トレブルフックの水抵抗がありながらここまでスライドするのはやっぱりスゲーなと。
しかしスライド幅だけでないのがテラーの恐ろしいところ。
実は小技も利かせられる芸達者なのです。
先述のケツ下げ姿勢からのクイックターンはもちろん、ノーズが尖っているのでヘッドが水を被りやすく波っ気のあるスポットでもトビウオになる事なくしっかりと動かせます。
もちろんダイビングアクションもお手のものなので水面直下をミノー的にフラフラ泳がせて誘うことも。
そして壁際でのトリックには最高のパフォーマンスを見せてくれるのです。
首振りの度に護岸など硬い壁にヘッドをツンツンしながら巻いてくるのですが、要するに壁を登りたくても掴まるところがなく仕方なく泳いでる小動物を演じることが出来、これが足の長いスライドアクションとの相性バッチリ。
護岸狙いのアングラーには超定番の使い方なのですが、実際にこれをやろうとすると意外と難しく、コンスタントに壁ドンならぬ壁ツンし続けられません。
そんな時こそy93テラーのクイックターンと足の長いスライドの出番。
y93テラーは首振りだけでもそこそこスライドするので、壁ツンに最適な距離がキープしやすく容易にツンツンし続けられるのです。
その気になれば壁から50cm離れたところからも毎回壁ツンする事も。
壁に当てる事でラトルとはまた違ったサウンド要素を付加することができるので、実際これで沢山いい思いをさせてもらいました。
この手の演出はルアーがシンプルだからこそ出来るものであり、ある程度使い込んでルアーのクセを理解していないとなかなか出来ませんが、使いこなしてる感を楽しみたい場合は最高。
今日は釣れなかったけど思うように動かせたからいいやって思えるルアーがほとんど見当たらない昨今、非常に貴重な存在と言えるでしょう。
カラーはYAMABE(ヤマベ)。つまりオイカワの事。
今や貴重となってしまったシンプルでクラシックなカラーでラインナップが組まれてるのも嬉しいですね。
しかしズイールはダントツでカラー数が多く、更に製造年によって同じカラーでもトーンが全然違うのでコレクターにとっては悩ましい存在。
ちなみにy93テラーは全10色での展開で、コンプリートまであと1色を残すのみに。
ぶっちゃけラスト1色は入手しようと思えば出来るけど、コンプしたら楽しみが無くなってしまうのでガツガツせずに自然な出会いを待つことにしています。
未完成であるがゆえに楽しいってのあるでしょ。
とはいえズイールは塗膜が剥がれるのがある意味仕様みたいなもの。
たとえコンプしてもスペアが要るのでy93を探す旅は永遠に続くのです。(BGM:草原のマルコ)
フックは前後ともクローポイントのトレブル#2。
ぱっと見イーグルクローなのかと思いきや微妙に違うのがズイールフック。
ゆえにフック交換の際は、同じフックが手に入らないのでヒジョーに困るのです。
水面プラグはフックも含めて全てのシルエットがデザインだと思ってるので、錆びても交換するのを躊躇しちゃうんですよね。
そしてネームはご覧の通りのボロボロ仕様。
フックポイントが当たるので仕方ないですね。
昔はネームが無くなるのが嫌で嫌で仕方なかったんですが、ある時期から朽ち果てていくネームを愛でるように。
これぞ日本の侘び寂びなんじゃないかと大層な視点で眺めるようになりましたw
そんな芸達者なy93テラーですが入手にはちょっと頑張りが必要です。
人気モデルでそれなりのタマ数は出回っているのですが、発売から30年以上経ってるので出現率は低め。
ズイールは元々神奈川県のブランドで、かつバスフィッシングブーム以前のモデルなのでどちらかといえば関東圏の方が遭遇率は高いのですが、令和の今、このモデルを探してる人はガチコレクターばかりなのでなかなか予算通りのモノが出てこないのが難点でしょう。
のんだくれのようにコレクション用と実釣用の両方を探してる人が多いのもあるでしょうね。
このy93テラーに限らず、ルアーは特化した部分を見つけたもん勝ちだと常々思ってます。
誰もが知ってるルアーだけど、誰もそんな使い方していないというキモを探すのはルアーフィッシングの楽しみであり、それでひとり爆釣しようもんなら醍醐味どころか天下を取った気分にもなれます。
でもこういうキモを知ってて、ひとりニヤニヤしている人は意外と沢山いるんですよね。
皆さんの周りにも居ますよね?
同じルアー使ってるのに何故か一人だけめっちゃ釣るって人が。
本人が自覚してるしてないはともかく、そういう人は大抵そんなキモを押さえてたりするもんです。
毎月のように新作ルアーが出て、どんどん消費されてしまう現在だからこそひとつのルアーを使い込んで秘めたるポテンシャルを見出す力を身につけておきたいものです。