最新のルアーがどんどん進化しているように、パチモンの世界も進化しています。
3Dスキャンの技術により、一昔前のコーモランのような ”見るからに模造品” というものは減り、性能面でもクオリティの高いクローンと呼んでも良いぐらいのものもチラホラ。
今日の千一夜はそんなクローンのルアーを紹介しましょう。
米国のスポーティンググッズ量販店・アカデミースポーツのプライベートブランドからTWSトップウォーターです。
アカデミースポーツ Academy Sports + Outdoors は1970年代にテキサスで産声を上げた量販店です。
当初はテキサス州を中心に出店して順調な成長を遂げていましたが、2011年に大手ファンドに買収されたのを機に南部エリア全土に大規模な出店攻勢を仕掛け、爆発的ともいえる伸び率を記録します。
そんなアカデミーの成長の起爆剤のひとつになったのが自社PB・ H₂Oによる販売戦略。
バスプロショップスのXPS(Extreme Performance Series)に対抗するかの如く、どこかで見たようなルアーやタックルwを安く、大量に、しかも多品種リリースする手法に出たのです。
しかしそこは後発のアカデミー、ちゃっかりバスプロショップスの弱点を攻める戦略を取っていました。
それはバスプロショップスのXPSと比べ、H₂Oは同じパチ系でありながらクオリティが高く、”使えるもの” が多いのです。
XPSはどちらかというとハズレが多いのですが、H₂Oはガチなアングラーの期待に十分に応えてくれるものが多く(もちろんゴミなやつもあるw)、同じ金額を出すならH₂Oだよねーと思わせるやり方で人気を獲得。
そして6ドルのKVDスクエアビルのすぐ横に3.99ドルのH₂Oスクエアビルを陳列するなど、メジャーブランドのルアーのすぐ横に同カテゴリーのH₂Oを並べて陳列し、利益率の高いPB商品を手に取らせる心理マーケティングを活用しています。
これはバスプロショップスの陳列がアイランドごとにブランドが分かれていて他社ブランドと比較しづらいという弱点を突いた巧妙な作戦。
そんな姑息なw手法をバスプロショップスを圧倒する店舗数でやるんですから、ランチェスター戦略的にも無敵というワケです。
その戦略を遂行すべく投入された兵隊のひとりがこのTWSトップウォーターです。
全長100ミリ自重13.5グラムの、どこかで見たようなフォルムwのペンシルベイトですが、3.99ドルという劇的な価格で販売されています。
そうなると気になるのがクオリティですよね?
結論から言うと、サミーと比べて遜色ないレベルに仕上がっています。
ぶっちゃけ細かいところを見れば、あーやっぱりパチモンだよねーなところも目につきますが、サミーを使い込んだアングラーでなければまず気になることはないでしょう。
事実、アカデミースポーツのサイトにも、Poor man’s Sammy (貧乏人のサミー)という高評価レビューがつくほど。
本家ラッキークラフトの値段で三個も買えちゃうんですから、ブランドにこだわってないアングラーならこっちを買っちゃいますよね。
そしてPBの方が圧倒的に利益率が高いのでアカデミーも高笑いできるという仕組みです。
これがクローンルアーの恐ろしいところなんですよね。
クローンルアーは、もう安かろう悪かろうのパチモンレベルではないのです。
TWSトップウォーターはサミー譲り?の垂直浮きからスムースなダイブ、首振り、ツバ吐きを難なくこなす高い運動性能を備えています。
あえてサミーとの違いを挙げるとすれば、スライドの幅がやや短いのと、ダイブ時の水面への復帰がわずかに遅いぐらい。
バスプロXPSにもサミーもどきのペンシルベイトがありますが、それは比べるまでもないレベルの別物なので、このTWSを見るとよくここまで見事に再現したねと褒めたくなってしまうほどw
のんだくれはまだこれでは釣ったことありませんが、これは普通に釣れちゃうでしょう。
しかもオリジナルには存在しないナチュラルフロッグカラーまで出してオリザラ派まで取り込んじゃおうというしたたかさですからねw
このプリントもよく見れば稚拙感が否めない仕上がりですが、3.99ドルだったらアリですよね。
でもせっかくのプリントアイに3Dアイを載せちゃってるトコはもったいない気もしますね。
ちなみにヘッド部にはサミーと同様にハイトーンのグラスラトルを内蔵しています。
音の鳴り方までそっくりなので、このルアーの企画担当者は相当サミーを研究したんだろうなと。
そしてH₂Oエクスプレスのウリがこのフックです。
全シリーズ統一でVMCフックを採用していることを大々的にアピールしています。
これもバスプロXPSを意識して差別化したポイントだと思われます。
昔よりは随分マシになりましたがXPSのフックはヒドいですからねー😂
ルアー自体にネームはなく、シリーズ共通のロゴがスタンプされているだけのシンプルなもの。
価格から言ってもこれに個別のネームをプリントしろというのは無理な話ですよね。
サミーの完コピークローンなのに、ロゴマークにはしっかりと™️(トレードマーク商標)登録しているあたりにコーモラン的なしたたかさを感じずにはいられませんw
バスプロショップスと違ってアカデミースポーツは国際通販には対応していないので、入手はeBayで出品されているものを買うか、米国の友人などに頼んで送ってもらうしかありませんが、もしチャンスがあるならゲットしておいて損はないペンシルベイトではないかと。
近年の日本のトップウォーターシーンはハネモノ一辺倒になってしまってペンシルベイトが売れないルアーになりつつあるだけに、こういうハズし技も面白いかもしれませんぞ。
…. と、いつもならここで終わるのですが、皆さんちょっとモヤモヤしてますよね?
だってサミーとの比較画像がひとつも出てこないんですから
でもご安心を。
そんなことだろうと思って、ちゃんと両者の比較を用意してますよ😁
あえて細かい説明はしませんので各自でゆっくり妄想してくださいな。