好きな人はとことん追いかけるけど、そうでない人は見向きもしないナチュラルプロファイルのルアー。
ナチュラルプロファイルとは、ベイトフィッシュなどの外見をリアルに再現したルアーの事ですが、言うまでもなくのんだくれの大好物。
古くはナチュラルアイクに始まり、クランクベイトコーポレーションのブルキャットにレーベルナチュラルズ、レロイブラウンなどなど、のんだくれはナチュラル造形のものには一通り手を出して来ました。
それらのほとんどは見掛け倒しで、長く使うにはちょっと気がひけるモノばかりwですが、中には優秀なものもあるんです。
それが今日のゲスト、ライブターゲットのサンフィッシュクランクベイト。
もうちょっとネーミングに力入れたら?と言いたくなってしまうそのものズバリなクランクベイトです。
このルアーはライブターゲット起業当初からの最古参メンバーなので、知ってる人も多いでしょう。
創業当時のライブターゲットは、シャッド、クローフィッシュ、ヘリング、フロッグなどベイトとなる対象の造形を超リアルに再現したルアーをウリにしており、このブルーギルもその一員として華々しいデビューを飾りました。

サンフィッシュクランクベイトは80ミリ、21.5gのやや大きめのクランク。
この手のナチュラル造形ルアーは、まず造形ありきで開発がスタートしていることが多いので、ルアーとしての性能はなおざりなものがほとんどなのですが、このクランクはちょっと違いました。
造形以前に、ルアーとしての十分な性能を備えているのです。
第一の特徴はスイミングアクション。
アクション特性としては強めのウォブルロールですが、扁平ボディであるにもかかわらずしっかりとした浮力を備えているので、その振りが非常に力強いのです。
しかしそんな強いアクションにもかかわらず、巻き抵抗が非常に少ない事に驚かされます。
同サイズのダイビングクランクとは比較にならないほどスルスルと巻けるのに、手元に伝わるブルブルはしっかりしているというなかなかの優れモノに仕上がっています。
そんな絶妙な巻き心地を実現しているのがこのリップ。
ぱっと見、強大なリトリーブ抵抗を生み出しそうなリップですが、軽い巻き抵抗のクランカー思い設計になっています。
潜行深度を5〜6フィートと浅めに設定していることもありますが、このボディサイズでこの巻き抵抗ならアリアリのアリ。
しかもこのリップのリーチが、シャローボトムをタップしながら巻くのに絶妙な長さなのです。
イメージとしてはボトムの水棲昆虫なんかをついばみながら泳ぐブルーギル。
60-70度ぐらいの前傾姿勢でコツコツと砂煙を上げながら右へ左へいい感じに這い回るのですが、そのリーチゆえスタックしにくい上に、リトリーブを止めれば強い浮力でキックバック気味に浮上するというレスポンスの良さも。
さらにほぼ水平のリップはキャスト時の飛行姿勢を安定させる効果があるのか、力まなくても余裕で30mは飛ぶなど飛行隊員としての一面も。
このパフォーマンスの高さにはちょっと驚きました。
そしてそれらの性能をさらに高めるかのように、ヒレにもちゃんと性能を仕込んでいます。
これが水中で大きくはためいて強い水の攪拌を生み出してくれるんですが、その角度と大きさが絶妙なのです。
フロントフックハンガーがアクションの支点だとするとリップが力点であり、このヒレはまさに作用点。
ジュリアナ扇子のごとく大きくヒラヒラと動く事で、荒木師匠も真っ青なディスプレイスメントを作り出してくれるんです。
外見にこだわったルアーのはずなのにヒレの形だけ妙に抽象的になっているのは、水押しと泳ぎのバランスを突き詰めた結果なんだろうなと。
そういう目で見てみると、この細かな作り込みにもなんか意図がありそうに見えて来ちゃいますね。
今でこそ当たり前になりましたが、当時は北米ブランドからマットフィニッシュのナチュラルブルーギルが出るなんて思いもしませんでした。
ちなみにボディ内部にはラトルがカタカタと良く響くラトルを内蔵。
重心移動システムを搭載せずに固定にしているあたりにもライブターゲットのヤル気が見え隠れしています。
フックは前後ともダイイチブランドの#2サイズを採用。
ライブターゲットは全てのルアーにダイイチのフックを採用していましたがそれは今も変わってないんでしょうかね?
ブランドロゴが背中に入っているだけでルアー名の表記は一切ないのがライブターゲットの掟。
今に始まった事じゃないけど、ネームプリントがないのはホントもったいないなー😭
とはいえネームプリントがあったところでなんのヒネリもない名前だから有っても無くても変わらんか😂
デビュー当時にあれだけ揃ってたリアル兄弟達でしたが、年を経るごとにひとつ消え、そしてまたひとつという具合にメンバーが減り続け、いまでは当初の1/4以下に。
しかしこのサンフィッシュクランクをはじめ現存するモデルはそれなりの評価を得ているようで、カタログ落ちもせずに今もちゃんとデリバリーされています。
やはりルアーとしての基本性能が高かったからなんでしょうね。
でもどう考えても日本ではウケないですよね、こういうのは😅