シックスセンスのスタートダッシュを支えたマディカバー攻略用フラットサイド クラッシュフラット75X Crush Flat 75X / シックスセンスルアーズ 6th Sense Lures

6thセンスルアーズ 6th Sense Luresクランクベイトシャローダイバー

釣れるカラーと売れるカラーは違う

【 釣れるカラーと売れるカラーは違う 】

ルアー開発者やショップスタッフにとって、これほど身に沁みるワードはありません。

だって、アングラーのためにと思って頑張ってカラーリングを考えたのに、はたまた自分の経験をお客さんにシェアしようと仕入れたのに、売れるのは目を引く流行りのカラーばかり。

良かれと思って頑張ったのに、全部裏目に出ちゃうんですよ。

ルアーインダストリーにおいて、これほどツラい事はありません。

そんな切なくなってしまう言葉を身をもって証明してしまったこのルアーはクラッシュフラット75X。

今やすっかりメジャーになったシックスセンスルアーズの初期メンバーです。

シックスセンスルアーズのスタートダッシュを支えた一員

シックスセンスルアーズはテキサスに拠点を構えるルアーブランド。

オーナーでありデザイナーのケイシー・ソフザックが大学の寮の一室で始めたクランクベイトのカスタムペイントワーク、”シックスセンスカスタムルアーズ” が元々の始まりです。

当時のエピソードとして、アメリカの大学寮は基本的に2名で一部屋をシェアするのでルームメイトに大ひんしゅくを買ったと。

そりゃそうですよね。

せいぜい10畳ぐらいしかない部屋で同室者がシュッシュやってたらキレますよ、普通は😂

そんな話はさておき。

アメリカのクランクベイトフィッシャー、特に南部エリアのクランカーはクランクベイトのカラーに対して異様なまでのこだわりがあり、そのニーズに的確に答えた作品が支持を集め、2013年にルアーブランドとして正式デビュー。

このクラッシュフラット75Xは、クラッシュ300DD、クラッシュ50Xとともに、シックスセンスのスタートダッシュに一役買った存在なのです。

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クラッシュフラット75Xのサイズ

クラッシュフラット75Xは、ボディ長65mm、自重1/2oz (実測15.5g)のやや大きめのフラットサイドクランク。

南部水系特有のマディウォーターのカバーまわりでビッグワンを選んで釣るというコンセプトで開発され、レイクフォークのガイドでもあるケイシーの友人らとテストして出来上がったクランクベイトです。

フラットにこだわった”スクエアな”ボディシェイプ

マディウォーターでもしっかりと存在をアピールするため、ボディはなかなかのフラットっぷり。

この角の立ったボディがしっかりバタバタすることによって強い水の攪拌を生み出し、バスの側線を刺激するという目論見です。

フラットサイドクランクには珍しいカバー攻略特性

そんな水攪拌を作り出しているのがこのリップです。

標準的なフラットサイドクランクよりもややリーチが長めで角度が緩いのはカバーフィッシングを想定しているから。

もちろんスクエアビル形状になっているのは、障害物回避を見越しての設計です。

元々フラットサイドクランクはカバー向きではなく、広大なシャローフラットでバスの付き場が絞り込めない時に有効とされるものですが、その集魚力をカバー周りでも使ってやろうという意気込みがこのリップ周りに顕れてますね。

バルキーなフラットボディとロングリーチリップが生み出すバイブレーションは、ラインアイとフロントフックハンガーを結んだ線を軸にしたピッチの早いローリングアクション。

通常フラットサイドクランクは、ファットボディのそれと比較すると巻き抵抗が軽いのが一般的ですが、このフラット75Xは強い水攪拌を目的としているだけあって、結構な巻き抵抗の持ち主に仕上がっています。

フラットサイド特有の巻きの軽さが物足りないと思っているアングラーにはジャストライトな味付けではないかと。

ボディ下部もハンドメイドのフラットサイドクランクのように平面化されており、”いかに強く水を動かすか” を念頭にデザインされているのが分かりますね。

徹底的に調律されたラトルサウンド

しかしそんな早いピッチのクランクベイトなのに、意外にもラトル音は控えめに調律されています。

これはクラッシュ300DDの、”うるさ過ぎず静か過ぎない ( Not too loud, Not too quiet )” というサウンド概念をそのまま適用したもので、レイクフォークのようなメジャー&ハイプレッシャーフィールドでもバスをスプークさせないためのもの。

そのサウンドはカラカラでもコトコトでもなく音量もそれほど大きくはないのですが、アングラーにはしっかり届くという音質のもの。

おそらくラトルチャンバー内でのラトル可動域を小さくすることで調律していると思われますが、確かに同様のフラットサイドでは見られないラトルサウンドになっています。

ストライクキングの”あのカラー”にも通ずるBFカラー

そしてこのルアーの最大のウリがこのカラーです。

ボーンベースにパールパープルを吹いたシンプルなカラーですが、これはケイシーもイチオシのBF(バーフィッシュ) カラー。

バーフィッシュとはイエローバスの事ですが、実はこのカラーリングはどの水系でもハマるという、ある必殺パターンに則ったカラーなのです。

その必殺パターンとは、ストライクキングのオイスターカラーに代表されるような、膨張色のベースにパールのアクセントが入るカラーのこと。

詳しくはリンク先のインスタグラム投稿を読んで貰えば分かりますが、このカラーがマディからクリアまで実に良く効くのです。

 

 

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しかーし!

そんな良く効くカラーなのに、見た目があんまりベイトフィッシュぽくないせいか全然売れないのです😭

イエローバスが生息していない日本で売れないのはまあ仕方ないとしても、イエローバスがポピュラーなアメリカ南部でも売れないんですから、嫌になっちゃいます。

これぞまさに “釣れるカラーと売れるカラーは違う” なんですよねー。

いくら釣れるカラーとは言え、売れないカラーをラインナップに残しておくのは非効率的な上に営利活動としても致命的です。

ケイシー肝入りのBFカラーでしたが、敢えなくワンシーズンでカタログ落ちしてしまいました。

彼は元々ペインターだけあってどのカラーの反応が良いのか良く知っていて、さらに数多くのクランカーからの細かい要望に応えるだけのペイントスキルを持ってるだけに、釣れるカラーをラインナップから外すのは断腸の思いだっただろうなと。

フックはサイズを変えたデカバス仕様

フックはフロントが#2、リアが#4とサイズを変えてあります。

これはやはりビッグワンをしっかりとフックアップさせたいのと強い水撹拌、そしてカバー抜けを意識したもの

逆の言い方をすれば、フロントがこのサイズでもちゃんとティンバーの中を抜けてくるというスナッグレス性能を表しています。

ケイシーはフックにもこだわりがあって、ソルトウォーターモデル以外は全てブラックニッケルを採用しています。

最も光を反射しにくいとか、その理由を色々言ってたんですが詳しいことは忘れちゃいました😂

唯一の欠点はネームプリント

ネームは背中にブランドロゴだけ入っているシンプルなもの。

せっかくクラッシュというカッコ良い名前があるのにデザインロゴだけなんて超もったいない!

ネーム入れないの?と聞いたら、そのうちね… という気の無い返事だったので、ネームプリントの重要性をあんまり認識してないみたい。

ちなみに名前のクラッシュは “衝突” の意味だと思いがちですが、この場合のクラッシュは CRASH ではなく “U” の方の CRUSH。

押しつぶすという意味の他に、何かに対して憧れているとか、好きだという意味もあり、Crush on you であなたに片想いしてるとかの意味になります。

でもおっさんがそんなワードを使ったらキモいだけなので、知識だけに留めといてください😂

まとめ

発売から既に8年が経つにも関わらず、未だに高セールスを続けてるのはやはり釣れるルアーだから。

でも釣れるルアーなのに釣れるカラーがラインナップしてないのはちょっと寂しいですよね。

のんだくれのストックも少なくなってきた事だし、そろそろBFカラーを復活させてくれないかな〜 (切望)

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