最高気温が30度を超える時期になると楽しくなるルアーのひとつにポッパーがあります。
さすがに日中は暑すぎて釣りにはなりませんが、昼間はバスがスローになる分、朝晩のマズメ時が濃密なポッパータイムになるのです。
そんな時に投げたいのがチャグバグの兄貴分、ビッグバグ。
オリジナルチャグバグのパフォーマンスはそのままに、オリザラの汎用性を身につけて無敵へと進化した逸品です。
ビッグバグのノー書きをタレる前に、オリジナルのラトリンチャグバグについて説明しておかなければなりませんね。
ラトリンチャグバグは従来のチャグバグを改良する形で1993年にリリースされました。
ノンラトルの初代チャグバグ(以下初代)からの変更点は、その名前にもなっている通りラトル機能の搭載。
ノンウェイト構造で水平浮きだった初代のテールにラトルとなるウェイトを入れて斜め浮きにしたことで運動性能が大幅に向上し、それに合わせて大々的なプロモーションを行った事でホッテントット、ウィグルワートに次ぐ大ヒットを記録します。

初期のラトリンチャグバグはテールのウェイトが前後するだけの中低音コトコトサウンドでしたが、デビューの翌年に極小BBを4個、もしくは5個追加した高音ラトリンモデルへと進化を遂げ、大ヒットにさらに拍車がかかるスーパーヒットとなります。
余談ですが、中低音の初期ラトリンモデルはネームの文字が小さい上に文字間隔が広いので見ればすぐに判別できます。

上から初代ノンラトル、初期中低音ラトル、後期高音ラトル
のんだくれが600個以上集めたラトリンチャグバグの中でも初期の中低音ラトリンモデルは2個しかなかったという遭遇率の低さなので、もし中低音モデルを見つけたら向こう3年分の運を使い果たしたと思ってくださいw
ちなみにネームは初期ラトリンなのに中身は後期高音ラトルというイレギュラーなタマも存在するので悪しからず。
おヒマなら探してみては?
話を元に戻しましょう。
ラトリンチャグバグの空前のヒットを受けて、ストームはサイズバリエーションの展開を始めます。
その第一弾が今回のゲスト、ビッグバグでした。(後にラトリンチャグバグを二連結したダブルバグ、ダウンサイジング版となるベビーバグをリリース)
ビッグバグはオリザラよりも大きい112ミリ、重量は7/8オンス(実測もぴったり24.8g!)という当時の淡水用ポッパーとしては弩級のサイズでデビューしました。
オリジナルサイズの寸法のままサイズアップしたのかと思いきや、長さでは25%、横幅では29%と微妙に設計変更しているあたりにストームのヤル気が漂っていますね
チャグバグの強みはなんといってもこの絶妙な深さとスラント角を持つカップです。
深すぎず浅すぎないカップは、ツバ吐きはもちろんスムースなスライドアクションや首振りも難なくこなすのですが、ビッグバグは体積が増して慣性モーメントも大きくなった分、それらのアクションがよりパワフルになっています。
ラトリンチャグバグはドッグウォークさせる際にルアーの向きを考慮しながらロッドを操作しなければならないという繊細さが求められますが、ビッグバグは何も気にすることなくロッドをチョンチョンするだけで勝手に首を振ってくれるオートマチックさがウリ。
そういった意味ではオリザラの使い易さも兼ね備えているルアーと言えるでしょう。
そうなると気になってくるのが、ラトリンチャグバグとビッグバグの音の違いですよね
見た目も浮き角も変わらないのでサウンド特性も同じかと思いきや、実は全然違うのです。
ラトリンチャグバグの方は捕食音に近いグボッ!というポップ音で、ビッグバグの方はプシャッ!というスプラッシャーに近いポップ音を発します。
そのサイズの違いからビッグバグの方が派手な捕食音を出せるのかと思いきや、実際は全く逆。
これはおそらくスパニッシュマッカレルやレッドフィッシュなどを対象としたソルトウォーターフィッシング用にアレンジを加えた結果だと思われます。
米国ソルトウォーターフィッシングでのチャグバグは、スピニングタックルで遠投したら割と早めにリトリーブしながらトゥイッチを加えてツバ吐きをさせるスプラッシャー的な使い方が主流なので、ビッグバグはそれに対応したのではないかと。
しかしその特性はバスフィッシングにおいても大きなメリットをもたらします。
オートマチックに首振りする特性もあって、マズメ時の岸際でスプラッシュを撒き散らすとバスの反応がすこぶるイイのです。
ラトリンチャグバグが虫系、もしくは落水昆虫を捕食するギルを演じるルアーとするならば、ビッグバグはさしずめネズミなどの小動物を演じることができるルアー。
ボディをアンプ代わりにしてラトル音を共鳴増幅させられるので、バスをイライラさせるノイズメーカーとしてもイイ仕事をしてくれます。
そしてフロロを使えばこんなナイスなダイビングアクションも楽しめちゃいます😁
サイズバリエーション展開したルアーはオリジナルモデルのパフォーマンスを超えられないという暗黒のジンクスがあるのですが、それを見事に破ったという点でもこのビッグバグは秀作ですね。
単にオリジナルモデルを巨大化するだけでは終わらせなかったストームの熱意がここに実を結んでいるのではないかと。
そしてチャグバグといえばやはりこの深く彫られたエラとトボけた目ですよね。
しかしこのエラはお飾りなどではなく、首振りの際にバブルを水中に引き込むという重要な役割を担っています。
ラパラに移籍してもこのエラの形状は引き継がれていますが(彫りはやや浅い)、それは見た目だけが理由ではないのです。
しかしそんな緻密な設計をしてるのにも関わらず、ペイントにホコリが混入しているという間抜けっぷりがストームのストームたる所以w
まあこういうところが愛されてるんですけどね😁
カラーはストームの定番色、#204 ブルフロッグ。
複数あるストームのフロッグパターンの中では最も地味なカラーです。
へドンのブルフロッグとはまた違った趣きで、フロッグカラー好きのハートを見事に射抜いてくれちゃいます。
どうでもいい事ですが、旧ストームのビッグバグの商品コードはRCPでしたが、ラパラ移籍後はビッグバグの名前は消えて単にラトリンソルトウォーターチャグバグ、商品コードはCBS11に変わっています。
フックは前後とも#1サイズの堅牢仕様でパイクなどの大型プレデターにも対応。
ソルトウォーターモデルにはショートシャンクのラウンドベンドカドミウムフックが採用されていますが、テールのティンセルは変わりません。
スプリットリングも堅牢仕様でそれなりの重量があるので、フック交換の際には重量バランスを考慮したサイズを選ぶのがポイントです。
ちなみにデフォルトのフックとリングの重量は約1.9g、前後で4g弱となるので参考まで。
ただ唯一残念なのはネームプリントが “ビッグバグ” になっていないこと。
初期のものはビッグバグ専用のネームを採用していたのですが、いつの間にかラトリンチャグバグの流用になってしまいました。
のちに発売されたベイビーバグもラトリンチャグバグの流用であったことを考えると合理化の一環だったと思われますが、これだけインパクトのあるルアーだけに専用ネームじゃないのは残念ですね。
日本のソルトウォーターでも人気があるルアーなので、今でもラインナップに残ってくれていますが、知らない間にシレッとカタログから落とすことで定評のあるラパラwですから、気になる人がいたら早目に入手しておいた方が良いかも。
でもこのサイズのチャグバグを店頭在庫で置いてる店を見た事ないんですよね😭